今日もどこかでブログが燃えている。 コメントが殺到し、閲覧不可能になってしまう、世に言う「炎上」である。炎上を過度に恐れ、ブログをビジネスで使うことに及び腰の企業が存在する。しかし、直接的な顧客やユーザーとの接点の場を持つことができるというメリットを考えれば、ブログを利用しない手はない。炎上アナリストとして数多くの炎上ブログを観察してきた専門家が、そのメカニズムを解明し、ビジネスシーンでのブログ活用術をアドバイスする。
史上最大の炎上
最近ニュースで、「ブログが炎上した」等との言葉を聞く事が増えてきました。ネットの世界での炎上とは、主にブログやSNS(ソーシャルネットワークサービス)に投稿した自分の発言に対して、批判的なコメントが殺到する状況を指します。炎上するブログやSNSの話題は多岐に及んでおり、作者も学生から社会人、企業の担当者や芸能人まで、ほぼ全てのユーザーが遭遇する可能性のある現象です。とはいえ、ブログやSNSを利用したからといっても必ず炎上するわけではなく、逆にブログやSNSに参加することで得るものの方が大きいでしょう。ですので、皆さんにはブログやSNSを積極的に書いていただきたいと思います。
私はかつてライブドアに在籍し、「ライブドアブログ」というブログサービスを手がけました。そこで、私自身も「いじちのblog」(現「新いじちのblog」を書いていましたが、今年1月のライブドア事件の影響で、ブログの1つに投稿や批判、それについての議論のコメントが一度に1000件以上付いたことがあります。
「新いじちのblog」2006年4月16日
http://blog.livedoor.jp/ldijichi/archives/50395405.html#comments
この事件の時、当時の私の上司であり、ライブドアの代表だった堀江(貴文)氏のブログ「livedoor 社長日記」に至っては、コメントが1万件に達しています。Webページのデータ量が多くなりすぎたことでPCの処理能力が追いつかず、ユーザーが閲覧し難い状況となったために、これ以上増えないよう追加コメントの受付をやむなく中止しました。
これ程の炎上は他に見たことが無く、後にも先にも「史上最大の炎上」だったと言っても過言ではないでしょう。その後、堀江氏のブログは自分の意思で閉鎖されたようです。
炎上と間違われやすい現象に、「荒らし」という行為があります。これはサイトの運営を妨害する目的のものであり、炎上に見られる反対意見や批判的な意見とは異なるものなのです。炎上と荒らしを混同し、貴重な意見である反対や批判的な発言を切り捨ててしまうことは、ブログやSNSの特長である双方向性を放棄するに等しいわけです。これでは、ブログやSNSを続ける意味はないでしょう。
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最終回
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コミュニケーションインフラへ進化していくブログ -
第9回
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第8回
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もしも類焼してしまったら -
第7回
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燃えやすい話題に触れ炎上 -
第6回
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コミュニティ内の炎上 -
第5回
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混在する2種類の炎上 -
第4回
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炎上の見事な鎮火例 -
第3回
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不謹慎な発言で炎上 -
第2回
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やらせ系ブログの炎上 -
第-1回
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実例に学ぶ ブログ炎上 <目次> - この連載の一覧へ