温度と消費電力
最後に温度と消費電力を見てみよう。温度は、AMD OverDriveユーティリティにて、消費電力はシステム全体の電力を測定するワットチェッカーを使って計測をした。
アイドル時はOS起動後、30分放置したときのもので、省電力機能(Cool'nQuiet)を有効にした状態にて、Windows Vistaの電力モードを「バランス」と「高パフォーマンス」に設定したときの状態を計測している。高負荷時は3DMark VantageのCPU TEST2を連続して5回実行し、もっとも高かった時の温度と消費電力を取得している。なお測定時の室温は24℃前後だ。
室温を下回っているデータがあるものの、傾向的には問題がないので、このデータを元に述べるが、消費電力と照らし合わせてみると、X4 905eの効率の良さがよく分かる。対してX3 705eは、4コアのうち1コアが切られているものの、内部的には完全に分離されているわけではなく、動かないけど通電している状態のため、X4 905eとほぼ同じ消費電力という結果となった。とはいえ、TDP 65Wの利を生かしているのも事実で、X2 550BEに対してX3 705eはCPU温度は同等ながらも消費電力はワンランク低くく、「e」モデルの面目躍如といったところだろうか。
ゲームパフォーマンスならX2 550BE
X4 905eは価格次第
現在、Phenom IIシリーズのハイエンドであるX4 955BEと比較すると、いずれのCPUもパフォーマンス的には、かなり差が開いているため、その観点で選ぶとX4 955BE一択なのだが、ゲームパフォーマンスや消費電力を考えると、X2 550BEはかなり健闘している。一方、X4 905eはクアッドコアの利点が生きるエンコードやレンダリングではX3 705eやX2 550BEに対して大きなアドバンテージがあるものの、CPUクロックが低いためX4 955BEには及ばないという微妙な位置にある。
X4 905eは確かに消費電力および温度は低いのだが、価格もX3 705eと比較して1万円前後の差があることを考えると、これといった決めてに欠く。そうなると価格差でX3 705eがベストバイと言いたいところだが、今度はゲームパフォーマンスでX2 550BEに劣る局面が出てくる。よって、X2 550BEがベストバイ・・・と言いたいところだが、エンコード(トランスコード)の差を見てしまうと、やはり最低でもX4 905eが欲しいところ。そして冒頭に戻る、という堂々巡りに陥るわけで、今回のラインナップは本当に悩ましい選択をユーザーに迫ることになりそうだ。
実はこのタイミングで筆者は、PCの新調を考えていたのだが、ゲームパフォーマンスに目をつぶれば、X2 550BEより低い消費電力、エンコード性能を考えてX3 705eのコストパフォーマンスの良さに惹かれつつも、実際に使うとなれば、X4 905eのパフォーマンスは欲しいところ。それならいっそ、X4 955BEを選ぶべきなのだが、X4 955BEはさすがにちょっと熱く、最近省エネなPCを作ることに目覚めた筆者としては選びにくい。つまり、どれも一長一短の落差が大きすぎて、選ぶに選べない状態なのである。PC情報記事を提供する側の人間が選べないようなラインナップをAMDさんにはどうにかして貰いたいというのが筆者の本音なのだが、最大公約数を取るとやはりX4 905eがベストな選択肢になるだろうか。
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