このページの本文へ

マーケティング戦略立案

2006年08月04日 09時00分更新

文●田嶋 節和/株式会社サーフボード 代表取締役 Webマスタースクール 校長

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

前回は、売上の方程式を説明しました。この方程式を構成する各要素(Webアクセス数・転換率・リピーター数・購買単価)については、もう少し後の号で説明します。各要素を説明することは、具体的な戦術について解説することになります。まずは、戦略立案から稿を進めます。

 企業は、収益を上げることを目的として営業活動をしています。その収益を上げる方法は2つしかありません。

1) 売上を伸ばす
2) コストを下げる

 の2つですね。非常にシンプルです。大企業では人員削減や工場閉鎖などいろいろコストを下げる対策を打てますが、中小企業は日頃からコストを切り詰めていますので、常に売上を伸ばすことが優先されます。では、1)の売上を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?

1) マーケットを拡大する
2) 新商品やサービスを開発する
3) 固定客を確保するための信用・信頼作り

 この3つが優先事項だと思います。今回は1)のマーケットを拡大するとはどうしたらよいかについて、解説します。

■ ブランド化戦略、差別化戦略、オンリーワン戦略の立案

 日本国内では商品やサービスが巷であふれかえっています。その中できらりと光る存在になるためには商品やサービスを絞り込み、絞り込んだものに集中することです。沢山の商品がある場合、数を絞り込んでください。

 最近、ロングテールという法則が話題になっています。例えば本のネット販売で有名なアマゾンを例に、年間数冊しか売れない本でも、本の種類を沢山集めればアマゾンの総売上で3割以上を占めるとのことです。ネット時代の新しいマーケット法則としてロングテールが注目されています。
 しかし、直近で収益をあげることが最大の命題になっている人たちにとっては、これまで言われてきたパレートの法則である、20:80の比率が重要だと思います。
 20%の商品で80%の売上を占める、20%のお客様が、80%の利益をもたらしてくれるとの法則です。すなわち主力の商品20%に選択集中させるということです。】

■ マーケット・ターゲットの明確化

 最近の消費者層を表すトレンドとして、セレブ、ちょい「不良(ワル)」オヤジ、団塊Jr、2007年団塊世代、LOHAS(ロハス)、健康志向世代、シニア世代などが話題になっています。

 これらの消費者層は、それぞれ消費に対する価値観が違います。商品やサービスによって、どのターゲットへ的を絞るかを考えます。

■ 強み、こだわり、自信についてキーワードを洗い出す

 自社の商品やサービスについて、強みなどを明確に出すことが重要です。そのための簡単な方法として、スタッフも交えてフリーディスカッションを行い「強み・こだわり・自信」について具体的に単語を200個以上あげることです。

 この単語は、Webサイトがオープンした時点のSEO対策に受け継ぐことになります。

■ 市場調査、競合サイトの調査

 リアルなマーケットに比べ、インターネット上のマーケットでは競合サイトの調査がいたって簡単にできます。調査に当たっては、Yahoo!オークションを使って自社の商品と同じようなものがどれくらいの価格で、どれくらいの人数がオークションの入札に参加しているかで判断できます。また、楽天市場などのショッピングモールでの共同購入の参加人数でもある程度は予測できます。

 また、競合サイトはYahoo! JAPANやGoogleの代表的な検索エンジンを使って、前項で洗い出したキーワードや商品名で検索することにより調べることができます。

■ 価格政策

 ネットショップも含めた通信販売では、商品の粗利は5割以上必要だといわれています。最近はネットショップへの参入企業が増えたため、売上の1割以上をプロモーションに投資する傾向にあります。
 今後ますますプロモーション費用が嵩むことが予想されますので、自転車操業に陥らないためにも、必要原価と販促費を把握し、売価を決める必要があります。

■ 他の通信販売手段との併売

 通信販売には、TVショッピングやカタログ通販、DM通販、FAX通販など幾つかあります。資本力とマーケット規模などを考慮のうえ、併売できないかを検討します。

■ 販売チャネルの開拓

 ギフトショーなどの展示会や百貨店主催の地方物産展、大手カタログ通販会社や百貨店のバイヤーを窓口にした取引など、ネットショップ以外の販売チャネルも検討します。

<次回のテーマは>

3)まずは、商品力、サービス力そしてバージョンアップです。

そこで、皆さんのECサイトは下記の5項目

  1. Webアクセス数アップ(集客)
  2. 転換率アップ
  3. リピーター確保(購買頻度アップ)
  4. 購買単価アップ
  5. タイミング

の中のどれを重点的に改善せねばならないか、その具体的な戦術を考えてください。

  1. Webアクセス数アップ(集客)
    Webのアクセス数が1日に100件程度でしたら、まずアクセス数を2倍3倍にせねばなりません。
  2. 転換率アップ  
    折角Webサイトへのアクセス数を確保したにもかかわらず購買率が0.1%程度と低い場合は、Webサイトの構成やデザインを見直し、また、キャンペーンなどの企画を行います。独自ドメインサイトの場合、転換率の目標を1~2%に設定して下さい。モール出店の場合は2~4%と高く設定できます。
  3. リピーター確保(購買頻度アップ)
    リピーターを確保することは、新規のお客様を確保するのに比べコストがかからないためとても重要です。一般的に新規のお客様獲得の5分の1のコストですむといわれています。
  4. 購買単価アップ
    1人当たりの購買単価が現状3,000円ならば、3,500円にアップさせることで、売上は16%アップになります。
  5. タイミング
    「商売にはタイミング」が重要です。ギフト商品ならバレンタインや父母の日、お中元お歳暮シーズンにターゲットを絞ることです。

次回から、各項目について詳しく説明していきます。

著者プロフィール

名前 田嶋 節和 tajima[アットマーク]surfboard.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社サーフボード
サイト http://www.surfboard.jp/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事