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健康食品・健康用品に関するサイトの審査基準

2007年08月29日 09時00分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役

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 現在のところ、健康食品について明確に規定した法令はありませんが、一般的には、健康の保持増進に良いとされている食品を指すとされています。またこれらのうち、国の定めた安全性や有効性の基準を満たしたものは、「栄養機能食品」もしくは「特定保健用食品」として位置づけられています。
 今回は、これらの健康食品や、医療機器ではない単なる健康用品が、どのような広告規制を受けているのか、そしてどのような記述があるとYahoo!登録が承認されないのかについて、重要な点をピックアップしていきましょう。

健康食品の位置づけと広告規制

 健康食品は、健康の保持増進によいと考えられていたとしても、制度上はあくまで食品に変わりありません。医薬的な効能効果を記載できるのは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の4品目だけです。健康食品・健康用品はこの中に含まれないので、医薬品や医療機器だと誤認されるような効能効果を表示することはできません。また用法用量についても、摂取時期や摂取量などを細かく記載することは、医薬品だと誤認されてしまうため、原則認められていません。薬事法の規定に違反していれば、当然Yahoo!登録の申請が承認されることもありません。

 ここで、医薬品等4品目と、健康食品・健康用品との違いが分からない方もいらっしゃるかと思います。医薬品等4品目の定義の説明は割愛しますが、医薬品等4品目を開発し元売業者となるためには、それぞれ『製造販売業の許可』が必要になります。その他、製品を実際に製造するには『製造業の許可』が必要で、また化粧品以外の製品については、品目ごとに『製造販売の承認』が必要になりますが、どちらにしろ『製造販売業の許可』がなければ、医薬的な効能効果を持った製品は開発できません。
 たとえば、『化粧品の製造販売業の許可』を持たないECショップの運営者が、自社オリジナルの「手作り石鹸」を開発したとしても、それは化粧品ではなく、たんなる健康用品として位置づけられます。当然ながら健康用品ですと、化粧品で認められている効能効果の表現を記載することはできないのです。

 なお健康食品の中でも、「栄養機能食品」や「特定保健用食品」については、ほかの食品に比べ表現できる内容は広がりますが、それでも限られた範囲の内容になります。それぞれのカテゴリーごとに表現できる内容をまとめると下記のようになります。

1.医薬品など4品目

  • 製品ごとに承認を受けた効能効果を表示できる
  • 服用時期・服用間隔・服用量などを定める表現を行うことができる

2.特定保健用食品

  • 「お腹の調子を整える」など、製品ごとに許可された健康増進が期待できる旨を表示できる
  • 服用時期・間隔・量などを定める表現を行えないが、食品としての目安量は記載できる

3.栄養機能食品

  • 栄養成分量について、基準値を満たしている場合、その栄養成分の機能表示ができる
  • 服用時期・間隔・量などを定める表現を行えないが、食品としての目安量は記載できる

4.いわゆる健康食品・健康用品

  • 医薬品・医療機器と誤認させるような効能効果を表示できない
  • 服用時期・間隔・量などを定める表現を行えないが、食品としての目安量は記載できる

 健康食品・健康用品では、医薬品や医療機器と誤認させるような、医薬的な用法用量や効能効果が記載できません。また当然ながら、医薬品として使用される成分を含んでいてはなりませんし、医薬品的な形状であるアンプルの形にしていてもいけません。Yahoo!登録の申請を行う場合は、広告規制に違反している文章を削除するか、認められている範囲内の表現に修正する必要があります。
 では、どこまでが一般的な広告表現で、どこからが医薬的な表現になるのでしょうか。この点について、くわしく掘り下げていこうと思います。

用法用量の記載

 医薬品はその効果を発揮し安全に使用するため、服用時期や服用量がはっきりと決められています。そのため、たんなる食品であっても、摂取時期や摂取量などが細かく指定されていると、消費者に医薬品的な効能効果があると期待させてしまいます。従って、あくまで食品の範疇である健康食品、栄養機能食品、特定保健用食品については、医薬品と誤解されるような用法用量を記載することはできません。

 ですが、食品であっても過剰に摂取した場合、健康に悪影響を及ぼすこともあります。ですので、医薬的な誤認をあたえない表現であれば、用法用量についての記載が可能です。具体的に、健康食品・栄養機能食品・特定保健用食品で規定されている表現は、下記のようになります。

◇用法用量:健康食品・栄養機能食品・特定保健用食品
1.食品としての摂取方や調理法を、記載できます。
 ○認められている表現例

  • 「牛乳に大さじ2杯程度溶かすと、おいしくお召し上がりいただけます。」
  • 「苦いので、かまずにお飲みください。」

2.過食を避けるために摂取量の上限を記載できます。

  • 認められている表現例
  • 「食べ過ぎるとお腹がゆるくなることがあるので、多くても1日5個程度にしてください。」

3.食品であることを明示した上で、摂取目安量を記載できます。
 ○認められている表現例

  • 「目安として1日2~3個お召し上がりください。」
  • 「栄養補給の目安として、1日6個程度お召し上がりください。」
  • 「1ヶ月に1瓶を目安として、適宜お召し上がりください。」(※)ある程度の摂取目安量を記載することは問題ありません。

 ×認められない表現例(医薬的表現)

  • 「毎食後2個ずつお召し上がりください。」(※)摂取量の断定はできません。
  • 「食前、食後に1~2個ずつお召し上がりください。」
  • 「お休み前にお召し上がりください。」(※)「食前」・「食後」・「食間」などの表現や、摂取時期を指定する表現はできません。

4.症状に応じた用法用量を記載することはできません。  ×認められない表現例(医薬的表現)

  • 「1日3粒服用後、体調が良くなりましたら、1日1粒に減量してお飲みください。」
  • 「肝臓の悪い方は1日4粒、体調の良い方は1日2粒お飲みください。」

5.医薬品固有の服用方法を記載することはできません。
 ×認められない表現例(医薬的表現)

  • 「オブラートに包んでお飲みください。」

効能効果の記載

 健康食品・健康用品は、医薬品などと違い、病気の治療や予防に役立つことを説明したり、ほのめかしたりすることができません。一般の食品や器具の範囲内で、栄養補給や健康の維持に役立つ旨しか記載できないのです。また栄養機能食品と特定保健用食品については、特別に記載が認められている表現があります。
 ここでは、それぞれの品目ごとにどのような表現が認められているのか見ていきましょう。

◇効能効果:健康食品・健康用品
1.たんなる「健康維持」「美容」に重要である旨を記載できます。
 認められている表現例

  • 「健康維持、美容のためにお召し上がりください。」
  • 「健康増進にお役立てください。」
  • 「赤ちゃんの発育に役立つ栄養素です。」(※)病的状態と関係がなければ、対象年齢等の指定は可能です。

2.通常時の「栄養補給」に役立つ旨を記載できます。
 認められている表現例

  • 「働き盛りの方の栄養補給に。」
  • 「発育時の栄養補給に。」(※)病的状態と関係がなければ、対象年齢等の指定は可能です。

 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「病中病後の体力低下時の栄養補給に。」(※)病的状態時の栄養補給を目的とすることは記載できません。
  • 「目の栄養補給に。」(※)特定部位への栄養補給を目的とすることは記載できません。

3.薬理作用によって痩身効果(ダイエット効果)が発揮される旨を記載することはできません。
 ○認められている表現例

  • 「低カロリーなので、ダイエットに最適です。」
  • 「通常の食事よりもカロリーが抑えられるので、痩せることができます。」(※)たんにカロリーが少ないものを摂取することで痩せる旨を記載することは可能です。
  • 「この器具を使って身体を動かすことで、ダイエットが可能です。」(※)運動することで痩せる旨を記載することは可能です。

 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「体内の余分な脂肪を分解し、体外に排出することでダイエット効果が期待できます。」
  • 「脂肪燃焼効果を発揮します。」(※)体内の脂肪等の分解・排泄を行う旨を記載することはできません。
  • 「肥満の原因となる組織を活性化し、正常にします。」
  • 「成長ホルモンを促し、余分な脂肪を効果的に分解します。」(※)体内組織、細胞等の機能を活性化する旨を記載することはできません。
  • 「腸の働きを促し、宿便をスムーズに排泄します。」
  • 「腸内をキレイに掃除します。」(※)宿便の排泄、整腸について記載することはできません。
  • 「やせにくく、ふとりにくい身体になります。」(※)体質改善の効果がある旨を記載することはできません。

4.伸長効果について記載することはできません。
 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「脚を伸ばします。」
  • 「成長期の過ぎた人でも背が伸びます。」(※)特定製品を摂取するだけで、容易に背が伸びる旨を記載することはできません。

5.豊胸効果(バストアップ)について記載することはできません。
 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「女性ホルモンの分泌を活発にし、胸を内側から発達させます。」
  • 「体の内側から自然にバストアップします。」(※)特定製品を摂取するだけで、容易に豊胸効果が表れる旨を記載することはできません。

6.疾病の治療または予防を目的とする表現はできません。
 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「ガンがよくなります。」
  • 「糖尿病、高血圧、動脈硬化を防ぎます。」
  • 「花粉症の改善効果があります。」

7.身体機能の増強増進を目的とする表現はできません。
 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「疲労回復。」
  • 「体力増強。」
  • 「精力回復。」
  • 「老化防止(アンチエイジング)。」 
  • 「勉学能力を高めます。」
  • 「新陳代謝を高めます。」
  • 「細胞の活性化。」
  • 「デトックス(解毒)効果。」

8.はっきりと治療効果を明記しなくても、効果を暗示させる内容を記載することはできません。
 ○認められている表現例

  • 「不足しがちなカルシウムを50mg含んでいます。」
  • 「EPAは不飽和脂肪酸の一種で、健康維持のために必要な栄養分です。」(※)含有成分や構成成分について、具体的な作用を標榜せず、たんに健康維持に重要であることを表示することはできます。

 ×認められていない表現例(医薬的表現)

  • 「血液をサラサラにする成分を主原料にしています。」(※)含有成分の説明で、医薬的効果を暗示してはいけません。
  • 「漢方薬の原料にもなっている成分を使い、最大限の効果が出るように製造しています。」(※)原料の由来や製法により、医薬的効果を暗示してはいけません。
  • 「便秘気味の方に。」
  • 「糖尿病が気になる方に。」
  • 「体力の低下が気になる方に。」(※)病的症状の方を使用対象にすることで、医薬的効果を暗示してはいけません。
  • 「食品ですので、じわじわとゆっくり効果が表れます。」(※)「効果」、「効用」、「効き目」などの表現により、医薬的効果を暗示してはいけません。
  • 「薬効が認められています。」
  • 「民間薬として使われています。」(※)「薬」の文字により、医薬的効果を暗示してはいけません。

◇効能効果:栄養機能食品
 食生活の乱れなどにより、通常の食生活を送ることが難しく、1日に必要な栄養成分を取れない場合に、その補給のために摂取することを目的とした食品のことで、サプリメントなどが該当します。栄養機能食品は特定の審査や届出は必要とせず、定められた基準を満たしている製品は、栄養機能食品をして位置づけられます。

 栄養機能食品の1日当りの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定める規格基準値の範囲内におさまり、記載が義務付けられた注意書きを掲載している場合、その栄養素の機能表示が行えます。例を挙げると下記のような記載が可能です。

1.亜鉛の栄養機能表示
 ○認められている表現

  • 「亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。」
  • 「亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
  • 「亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。」

2.カルシウムの栄養機能表示
 ○認められている表現

  • 「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」

 栄養機能表示が可能な栄養素は、全17種類あり、記載する際に注意すべき事項も詳細に決められておりますが、今回のコラムでは割愛させていただきます。より深い情報をお知りになりたい方は、下記東京都福祉保健局が運営するサイトをご覧ください。

東京都福祉保健局運営サイト(栄養機能食品)

◇効能効果:特定保健用食品
身体の機能に影響を与える保健機能成分を含んでおり、血圧、血中コレステロール、お腹の調子などが気になる人が、健康の維持増進や特定の保健のために利用する食品であり、「トクホ」の略称で呼ばれるものです。こちらは製品ごとに国による審査を受け、許可を得ることではじめて、特定保健用食品として位置づけられます。

 特定保健用食品についても、記載が義務付けられた注意書きがありますが、国の審査を通過し許可を得ることで、製品ごとに下記のような表現が認められます。

1.特定保健用食品で現在認められている表現例
 ○認められている表現

  • 「お腹の調子の整える食品」
  • 「血圧が高めの方に適する食品」
  • 「コレステロールが高めの方に適する食品」
  • 「血糖値が気になる方に適する食品」
  • 「ミネラルの吸収を助ける食品」
  • 「食後の血中の中性脂肪を抑える食品」
  • 「虫歯の原因になりにくい食品」

 今回は特定保健用食品について、詳しく解説いたしませんが、より詳細な情報を知りたい方は、下記東京都福祉保健局が運営するサイトを参考にしてください。

東京都福祉保健局運営サイト(特定保健用食品)

 Yahoo!登録を行う上で、もっとも審査基準が厳しく登録の難しい薬事法関連サイトについて、その重要項目について、お話させていただきました。このコラムでご紹介してきた薬事法の内容は、その一部に過ぎず、実際にはもっと多くの注意点がございます。そのすべてを掲載することはできませんでしたが、Yahoo!登録の審査で指摘されやすい代表的な項目については、ご紹介できたのではと思います。
 薬事法関連サイトのため、Yahoo!登録の審査基準が分からずお悩みの方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
(文・李 泰成)

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著者プロフィール

権 成俊
名前 権 成俊(ごん なるとし) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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