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事例 カーテンのくれない装飾(1)

2007年12月25日 09時00分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役、李 泰成/株式会社ゴンウェブコンサルティング SEMチームリーダー

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 具体的にカーテン通販のくれない装飾さんの実施手順をご紹介します。

検索連動型広告の運用のポイント

 検索連動型広告の目的はアクセスを増やすことです。しかし、クリックされるごとにコストがかかりますからコストを管理しなければなりません。そのため、検索連動型広告の運用で考えなければならないことは以下の2点です。

 1)いかにしてたくさんの訪問者を獲得するか
 2)いかにしてコストを下げるか

 たくさんクリックされるほどコストがかかりますし、コストを下げるためにはクリック数を減らさなくてはなりません。できるだけ安い予算で一番効果の高い広告出稿をするには何を指標にしたらよいのでしょうか?

 広告出稿の方法を改善できる点はいくつかあります。キーワードの選び方、広告文の内容、訪問先ページの内容などです。

 多くの検索連動型広告の代理店ではまずは多くのクリックを獲得することを考え、その後、訪問者の転換率を上げることを考えているようです。これは転換率はランディングページによって決まると考えているためです。しかし、当社では転換率を決定する要因で最も重要なものはキーワードによる訪問者の質であると考えています。

 たとえば、カーテンを購入したい、と思っている方の中でも「激安+カーテン」と検索する方と「高級+カーテン」で検索する方は同じカーテンを購入したい方でも本質的なニーズは異なります。そのため、自社で販売しているカーテンが激安品であれば前者のキーワードは適してますが、後者のキーワードでのアクセス獲得は意味がないでしょう。これは極端な例ですが、そうでなくてもキーワードごとに訪問者のニーズは大きく異なっているということです。
 そう考えると、検索連動型広告でもまずは多くのアクセスを獲得する、というのではなく、やはり「転換しやすいキーワードを見つける」ということが重要になります。これはSEOの場合と同じです。そう考えると、検索連動型広告でも最初に検討すべきは適切なキーワード選びです。

キーワードの選び方

 キーワード有効度調査によってキーワードのリストアップは済んでいるという前提で、その後キーワードの費用対効果を見ながらキーワードの品質によってキーワードの取捨選択を行います。
 たとえば、くれない装飾さんでは平均購入金額10,000円、粗利から販売管理費を差し引いて利益率30%(=3,000円)だとします。そうなると、一人の方に購入してもらうための広告費用として3,000円かけても損はしないということになります。
(*リピート性の高い商品であれば初回獲得コストはより多くかけることができます。詳しくはアンダス前田さんのコラムをご参照ください。)

 くれない装飾さんではこれまでのアクセスログから、SEOによる質の高いキーワードでの訪問者の転換率が1%程度であることが分かっているため、検索連動型広告でも同程度転換率になると仮定すると、妥当なクリック単価上限は下記のようになります。

  3,000円×1%=30円

 まずはクリック単価30円程度を境界線として、それ以上に高額なキーワードは試行錯誤する以前の価格として、検索連動型広告では扱わないこととします。そのため、最初は見込みのあるキーワードで一定期間広告を出して、そのクリック単価を調査します。調査期間は統計的に有意な検索数が確認できるまでですが、ほとんどの場合は一週間程度でよいでしょう。その期間はできる限り多く表示されるよう、余裕をもって予算を設定します。くれない装飾さんの場合は1日3,500円の予算で表示を開始しました。

 また、キーワードは5つのグループに分け、それぞれ下記のような広告文を設定しました。

結果レポート

 一週間後、以下のような結果が得られました。
この段階では、単純に改善しても費用対効果に見合う可能性が低いキーワードを削除します。
クリック単価が90円程度のものは転換率が3%程度になったとしても損益分岐点ぎりぎり、利益0というレベルです。その可能性は低いため、十分にデータで検証ができていなくても、最初から切り捨ててしまいます。クリック単価63円のレトロカーテンまではまとめて削除します。残ったキーワードで掲載を再開します。

著者プロフィール

名前 権 成俊(ごん なるとし、左)、李 泰成(り やすなり、右) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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