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キーワード有効度調査を活用したアクセス対策手法別キーワード設定

2007年12月04日 09時00分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役、李 泰成/株式会社ゴンウェブコンサルティング SEMチームリーダー

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 自社サイトの見込みユーザーが検索するであろう多くのキーワードをリストアップし、それぞれのキーワードで検索する見込み客を自社サイトに誘導するためにSEOもしくは検索連動型広告のどちらかの手法を用います。両方を併用することもありますが、重複クリックによる無駄なコストを省き、コストパフォーマンスを最大化する方針でキーワードごとに手法を一方に絞ります。

 前回のコラムでSEOと検索連動型広告型広告の競合度の違いから、キーワードを大まかに4つに分類し、それぞれのアクセス対策手法を設定しました。今回は実際にこれを運用する方法としてキーワード有効度調査を活用する方法を説明します。

 キーワード有効度調査については当コラムの最初のテーマとしてもご紹介しました。検索エンジン誘導を考える上で、売上、利益(アクセスではなく)を最大化するためにキーワードを評価する方法として、検索数(人気度)、競合度(上位表示の可能性)、訪問率(検索結果からサイトを訪問してくれる可能性)、購買率(購買、問い合わせなど、レスポンスにつながる可能性)を指標としてキーワードの対策優先度を決定します。もともとの目的はSEOのターゲットキーワードを決定することですので、検索連動型広告の競合度という視点は含まれていません。そのため、まずはSEOで対策すべきキーワードをリストアップし、残ったものを検索連動型広告で補うというステップになります。そのため、SEOのためのキーワード有効度調査を行っていない方は検索連動型広告のためにわざわざ調査を行う必要はなく、その場合は単純にターゲットになりそうなキーワードのリストアップだけを行い、まずはすべて検索連動型広告に投げ込んでみるだけでよいと思います。事前に検索連動型広告に最適なキーワードをリスト化するという方法も考えられますが、SEOと比べると検索連動型広告は設定が容易なうえ、競合の状況も変わりやすいので、現状がどうなっているかを調べて対策を打つよりもまずはやってみて結果で判断する方が手間が少ないのです。

 検索連動型広告を目的としたターゲットキーワードをリストアップするときのコツはとにかく細かいキーワードをすべて網羅することです。キーワード分類のC、Dの場合のように、検索連動型広告型広告の競合がほとんどいない場合の広告はクリック率が高く、またそれだけ競合が少ないキーワードということは十分に意味が絞り込まれており、ニーズが明確であるため、購買に結び付く可能性が高いのです。

 SEOを目的としたキーワードのリストアップでは、ターゲットとして選んだキーワードで上位表示を行うためにはページの制作やSEOのチューニングなど、それなりの手間がかかります。それに対して検索連動型広告はターゲットキーワードを決定してタイトルや文章を設定するだけですから、SEOに比べるとはるかに作業が簡単です。ただし、SEOは無料、検索連動型広告は広告費がかかります。そのため、検索連動型広告はSEOでは敢えて着手しないような検索数の少ないキーワードでも、少しでも効果が見込めそうであればターゲットとして採用してゆきます。
具体的なイメージとしては、SEOでは通常2語検索までがターゲットキーワードとして検討する範囲ですが、検索連動型広告では3語検索まで、月間検索回数で十数回程度のものまでがターゲットキーワードとなる可能性があり、リストアップの対象となります。月間検索回数10回のキーワードでも100語集まれば検索回数1000回です。SEOでは10回のキーワード100語に対して上位表示を行うことはかなりの手間がかかりますが、検索連動型広告ではこの設定が簡単にできてしまうのです。

 例として、カーテンの通販を行っているくれない装飾(http://www.e-kurenai.com/)のキーワードのリストアップを見てみましょう。

 カーテンの通販サイトですから、まず思い浮かぶキーワードとしては1語で“カーテン”というキーワードを考えるでしょう。しかし、このキーワードだと、カーテンを購入したい人だけではなく、カーテンについて購入以外の情報を求めている方も含まれてしまい、逆に購入情報を求めている人にとっては検索結果画面に余計な情報が入り込むため、検索回数の割に訪問率が低く、訪問者数が少なくなってしまいます。そのため、より絞り込んだ最適なキーワードとしては“カーテン+通販”“遮光+カーテン”などのキーワードが考えられます。さらに絞り込んで、“遮光+カーテン+激安”などはより明確なニーズを持った検索キーワードであり、リストアップの対象になりそうですが、キーワードアドバイスツールで見てみると検索回数が12回しかありません。月間検索回数12回のキーワードでSEOで1位になったとしても訪問者数は数名でしょう(通常スモールキーワードで10%~30%)。

 そのためにページを作成し、SEOを行うにはたとえば1時間の作業時間がかかると仮定すると、時給1000円のアルバイトさんにページを制作してもらっても千円のコストがかかります。訪問率30%、購買率5%と高い訪問率、購買率が得られるとしても、月間0.18人の購入、顧客単価1万円とすると言っかん1800円の売り上げ、粗利率50%で粗利900円ということです。(現実的には5ヵ月1位を維持すると1人が購入し、利益が数千円となります。)結果、少なくとも初月は赤字ですし、これにSEOの作業コストを含めると決して割のよい作業ではありません。同じように検索回数の少ないキーワードでのSEOをたくさん行うと、赤字が膨らむばかりということです(ただし、実際はスモールキーワードのSEOは有効な場合もあり、これは別テーマとして改めてご説明させていただきます)。

 しかし、これを検索連動型広告で対策する場合、多くのキーワードをまとめて設定するだけですから、1語あたりの対策費用は数円か、無視できる程度です。それにクリックされた時の広告費が10円から数十円程度です。20人に訪問してもらうために200円程度の予算があればよいということになります。そうなりますと、初月から若干の利益が出て、同じように検索回数の少ないキーワードをたくさん集めることで15600円の利益を出できます。

 つまり、検索連動型広告のポイントは、対策減価が非常に低いことです。そのため、1語では効果の低いキーワードでもたくさん集めることで、手間をかけずに効果を上げていくことが可能なのです。

著者プロフィール

名前 権 成俊(ごん なるとし、左)、李 泰成(り やすなり、右) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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