このページの本文へ

検索連動型広告とSEOのすみ分け

2007年10月22日 09時00分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役、李 泰成/株式会社ゴンウェブコンサルティング SEMチームリーダー

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 SEOと似た言葉にSEMという言葉があります。SEMはサーチエンジンの集客力を活用したマーケティングを指し、その中にはSEOや検索連動型広告のようなアクセス対策からアクセスした訪問者をどのように成果につなげるかを考えるサイト設計やアクセスログ解析なども含まれます。

SEOによる効果の“限界”を知っておこう

 これまでSEOについていろいろな角度から説明をしましたが、SEOには限界もあります。たとえば、どんなに検索数が多く、購買率の高いキーワードで上位表示が出来たとしても、その効果には限界があります。検索数が30,000回、訪問率が3%、購買率が3%、顧客平均購入額が10,000円だとすると、検索エンジン誘導によってもたらされる毎月の販売額は下記のとおりです。

 30,000回×0.03(3%)×0.03(3%)×10,000円=270,000円

 これだけか?と思う方もおられるかもしれませんが、これは毎月新規で増えていく購入額です。この中にはリピータになる方もいますから、毎月このうちの何割かが積み上がっていきます。単純に毎月30%がリピートしてくれるとすると、1年後の購入額は下記のとおりです。

 270,000円×30%×12カ月+270,000円(当月新規購入者)=1,242,000円

 SEOで集客した質の高い訪問者はこのように、時間をかけてリピーターを増やしていくことで大きな売り上げにつなげていくことができます。

 しかし、このペースで増やしても3年後にやっと300万円を超える程度です。もっと一気に売り上げを伸ばす方法は無いものでしょうか?その一つの方法はサイトのトップページのみならず、下層の他のページでもSEOを行い、並行してたくさんのSEOを行うことです。トップページほどのSEOの効果はありませんが、 1/10の効果でも20ページで対策に成功すればトップページだけで対策を行う3倍の効果が得られるというわけです。
 ですが、実際に下層ページでのSEOを成功させるのは難しいものです。100ページで対策を行い、有効圏であるトップ10に20ページ、30ページが入れば成功というレベルです。トップページと比較するとその費用対効果は極端に見劣りしてしまいます。

検索連動型広告の活用は“適材適所”がカギ

 そんなときに、使われるもう一つの手法が検索連動型広告です。検索連動型広告とはYahoo!やGoogleなどの検索エンジンが提供している検索キーワードごとに掲載内容を関連づけられる広告のことです。リスティング広告、CPC広告、PPC広告など、さまざまな呼び方があります。

 検索連動型広告はその名の通り広告です。キーワード検索の結果ページの上部、右側に表示されます。検索結果と一緒に表示されるため、それ自体が検索結果であると誤認してクリックする方もいるようですが、それでも7:3、8:2程度の割合で検索結果をクリックする方のほうが多いという報告があります。また、検索連動型広告は広告ですから、クリックされるごとに費用がかかります。その費用はキーワードや設定によっても異なります。

 「このような手法があるのであればどんどん活用したい」という方と、「広告よりは費用がかからないSEOの方が良い」という方などいろいろなご意見がありますが、これは一概にどちらが良いというものではなく、商品やキーワードによる使い分けが重要です。

方針1

  • SEOと検索連動型広告を併用し、できるだけ訪問者数を増やす
  • メリット 訪問者が最も多くなる
  • デメリット 予算も最も多くかかる。また、SEOでサイトを訪問した方が検索連動型広告からも再訪問するなど、重複クリックによる無駄なコストもかかる

方針2

  • SEOで上位表示を目指し、実現できないものだけ検索連動型広告を利用する
  • メリット 重複クリックを避けられ、SEOで上位表示できないキーワードでも誘導可能
  • デメリット 検索連動型広告をクリックするのは全体の訪問者の2割~3割程度と言われており、さらにその一部しか自分のサイトを訪問しない。そのため、方針1と比較すると訪問者は少なくなる可能性が高い

方針3

  • 検索連動型広告だけですべてのキーワードをカバーする
  • メリット SEOの手間がかからず、また出したいキーワードに対して速やかの効果を発揮できるため、労力や時間がかからない
  • デメリット SEOと比較して極端に訪問者は少なくなる
SEO 検索連動型
広告
予想される
訪問者数*1
方針1 100 効果は大きいが、費用もかかる
方針2 70 効果はそこそこ、費用は相対的にかからない
方針3 × 30 費用はかかるが、手間がかからない

*1 方針1を100とした場合の相対的な訪問者数

 商品の価格、リピート性やターゲットキーワードの競合度にもよりますが、当社でお勧めしているのは方針2です。特に検索連動型広告で大きく費用がかかるのは人気のある一部のビッグキーワードなので、ここをSEOに置き換えて予算を削減するだけでも大きく費用対効果が上がります。

 今後は、SEOと検索連動型広告の併用によっていかにして広告予算をかけずに多くの訪問者を獲得していくかについて、キーワード有効度調査を活用した方法をお話します。

著者プロフィール

名前 権 成俊(ごん なるとし、左)、李 泰成(り やすなり、右) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事