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アクセスログ解析①

2007年04月27日 09時00分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役

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 SEOは、購買意欲の高い新規顧客を誘導するのに、非常に有効な手段です。これを理解し、活用することは、非常に大きなビジネスチャンスにつながる可能性を秘めています。

 しかし、SEOはあくまでウェブページを検索結果の上位に表示させるための“手段”にすぎません。それに対して、ウェブサイトでの最終的な“目的”は、訪問者に商品を購入、資料請求、実店舗への誘導などです。SEOは確かに重要なステップですが、検索順位の変動に一喜一憂するだけでなく、マーケティングの観点から成果に結びついているかどうかを検証しなくては、せっかくのSEOの成功が無駄になってしまいます。SEOで上位表示が出来ればたくさんの見込み客を誘導することが出来、たくさん売れるというのはあくまで仮説です。きちんと仮説の検証を行いましょう。

 では具体的にSEOの効果を検証するには、どうすれば良いのでしょうか?その方法の一つが、アクセスログの解析です。対策前後のアクセスログを比較することで、SEOの効果を検証できます。今回は、このアクセスログの解析について取り上げていきます。

アクセスログ解析とは

 アクセスログとは、サイト訪問者とサーバーの通信履歴のデータです。これを分析することで、訪問者数や平均閲覧ページ数をはじめとした様々なデータを知ることができます。現在では、アクセスログを解析するためのツールが数多くありますので、機能と操作性を考慮してご自身が扱いやすいツールを使用してください。特にお勧めの解析ツールを挙げるとすれば、『google analytics』がよいと思います。こちらは無料で導入できるツールなのですが、非常に高性能で、様々な視点からデータを解析できます。

【google analytics の画面一例】

アクセスログ解析で検証すべきデータ

 アクセスログ解析では、様々な角度から検証を行うことが出来ますが、SEOの効果測定を行う際には、特に下記項目に注目してください。

  • キーワード別訪問者数
  • キーワード別の平均ページビュー(PV)
  • キーワード別転換率

それでは、各項目について、個別に取り上げていきましょう。

1)キーワード別訪問者数
 キーワード別訪問者数を検証することで、SEOによって訪問者が増えたかどうかが分かります。上位表示に成功したら、そのキーワードでの訪問者数を確認すると共に、対策前後のデータを比較して、対策キーワードでの訪問者がどのくらい増加したかも確認しましょう。対策キーワードでの訪問者数が多ければ、また対策前後で訪問者が増加していれば、SEOによる集客は成功したといえます。

 ここで大切なのは、対策後の数字だけを見るのではなく、対策前後の数字を比較することにあります。ただ漫然と対策後の訪問者数だけを見て、その数字が多い少ないと喜んでも意味がありません。対策前後の増減数を比較することで、はじめてSEOによる集客効果を確認できます。

 例えば、対策後に対策キーワードでの訪問者が1,000人になったとします。購買意欲の高い新規顧客が月間1,000人いるのですから、非常に効果的のように思われます。ですが、実は対策前であっても対策キーワードでの訪問者が950人いたとしたら、実質SEOによる集客効果は、50人しか増えなかったことになります。商材や顧客単価にもよりますが、SEOの作業にかけたコスト(費用や時間)とそれによって獲得した訪問者数を比較して、それに見合うだけの効果が得られたのかどうかを判断しなければなりません。もし十分な成果が得られていないのであれば、選定した対策キーワードは本当に妥当であったのか(抽象的なビッグキーワードでは、上位に表示されても“訪問率”が低いことがあります。詳しくは後述します。)、現在の検索順位は十分上位に表示されているといえるのか検証し、別のキーワードで対策するなり、より上位に表示させるため対策を強化するなりしなければなりません。

 また実際に対策を行ったキーワードを評価して、対策キーワードの選定自体に誤りが無かったかも確認します。対策キーワードの評価は、“訪問率”“購買率”の2つの側面から行います。

 先述のコラムの中で、有効な対策キーワードの選定方法として、キーワード有効度調査の紹介を行いましたが、その際に用いた指標が、“人気度(検索数)”、“競合度”、“訪問率”、“購買率”の4つです。これらのうち、“訪問率”“購買率”については、有効度調査の段階では予測しか立てることができませんでした。ですが、アクセスログ解析を行うことで、これら2つの指標についても検証を行うことが可能です。“購買率”については、次回以降のコラムで解説しますので、ここではキーワード別訪問者数と関連のある“訪問率”について紹介いたします。

 “訪問率”とはキーワードの月間検索数に対して、そのうちの何人が実際にサイトに訪問したかという割合です。実は、検索結果の1位表示されたとしても、検索ユーザーの全てがサイトを訪問するわけではありません。キーワードによってもその上限は異なりますが、多くのキーワードでは10%程度が限界で、極めて訪問率の高いキーワードであっても、30%程度です。“訪問率”はキーワード自体の特性の他にも、検索結果に表示されるページタイトル・ページ紹介文にも左右されますが、検索数も多く訪問率も高いキーワードで対策することが理想です。アクセスログ解析で、実際に対策を行っているキーワードの“訪問率”を確認して、本当に効果的なキーワードであるかどうか検証してみましょう。

 例えば、月間検索数が10万回の“A”というキーワードがあり、1位に表示されたとします。しかしこのキーワードAの訪問率は1%しかなかったとしたら、サイトへの訪問者数は1,000人になります。一方、月間検索数は2万回ですが、1位に表示されれば訪問率が10%になるキーワードBがあったとします。そうするとキーワードBでの訪問者数は2,000人になり、キーワードAを上回る逆転現象が起こります。“訪問率”の検証を行うことで、選定した対策キーワードが、本当に有効度の高いものだったのかどうかが分かります。

 “訪問率”の値が十分高ければ、そのまま対策を継続すれば良いですし、もし値が著しく低いようであれば、別キーワードで対策した方が訪問者数が増える可能性があるので、対策キーワードを再考する必要もあります。

 以上のようにアクセスログ解析を行うことで、SEOの効果がどの程度発揮されたのか分かりますし、選定した対策キーワードは、本当に有効度の高いものだったのかも確認できます。SEOは実施して終わりではなく、その効果を検証し、問題点があれば新たな仮説を立てて、再度対策を実施する必要があります。今回は、“キーワード別訪問者数”からの検証について紹介しましたが、次回は“キーワード別の平均ページビュー(PV)”や“キーワード別購買率”の検証についてご紹介させていただきます。

著者プロフィール

権 成俊
名前 権 成俊(ごん なるとし) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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