このページの本文へ

事前に広報担当者を選んで教育をしておく。 小さな会社の広報担当者を選ぶ方法とは?!

2007年07月04日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

小さな会社、ショップの広報は、社長みずからが担当する!

 前回から、マスコミへの対応法を詳述していますが、読者からこのような質問がありました。
「うちは小さなネットショップです。一応、法人にはしていますが、妻とアルバイトスタッフ2名だけの家業です。プレスリリースを作って宣伝をがんばりたいのですが、広報やPRの担当者は用意できません。我々のような零細会社は、どうすればいいのでしょうか?」(愛知県名古屋市中区・南善彦さん)

 はい、ずばり、広報は社長が担当しましょう。そのうえで、連絡役など補佐程度をスタッフの誰かに受け持ってもらいましょう。
 声を大にして言いますが、会社のいちばんのPRマンは社長です。社長は会社の看板であり、顔ですね。まちがっても、妻やスタッフに押し付けてはいけません。零細ショップの社長は、プレスリリースを自分で作り、自分で発送し、自分で電話に対応し、自分で取材を受ける。これが基本姿勢です。マスコミも、社長に話を聞きたがっていますよ。

 そもそも、日本の企業は欧米にくらべ、PRマインドに欠けています。トップは歩く宣伝マンであるべきで、社長たるもの、その顔は会社の看板だ、ロゴだと自覚すべきです。 
 じつは、広報部を持っている会社は、日本の企業数多しといえども、ごく一部です。中小企業のほとんどは、広報担当などはいません。なぜなら、日ごろマスコミに対応する場面がなく、広報部を設ける必要性がないからです。
 しかしながら、プレスリリースをつくってマスコミに宣伝を打って出る限り、広報担当者が必要になってきます。ここで、実際の取材などには社長が対応するとして、他にもう一人、何かの仕事と兼任でいいので、適任者を選んで事前に教育しておくことが重要です。

 ビジネス本やウェブサイトでマスコミ対応への情報を収集し、経験者に話を聞いているうちに、情報の輪が広がっていきます。また、あまりにマスコミというものがわからない、どのように対応するべきなのかきちんと勉強しておきたいという場合は、外部のコンサルタント会社に依頼するのもひとつの手です。

「清潔感、クイックレスポンス、連絡マメ。」 広報担当者を選ぶ適正ポイント

 大企業の場合は、「広報部」というのが存在しますが、中堅企業になると、サービス業なら営業企画部や販売促進部といった部署が広報を担当もしくは兼任しています。「営業企画部パブリシティ担当」「販売促進部広報課」といった部署の人が、「広報の者です」と名乗られる場合がほとんどです。
 よって、社員数名だけという規模の会社で広報担当者が存在するほうが、マスコミから見ると不自然に映ります。無理して広報部をつくって体裁を取りつくろったつもりが、逆に不信感をかってしまいます。小企業の場合、広報担当に部署や肩書きは不要です。「私が今回、広報担当をさせていただきます」と名乗り、いつもの名刺を出して、誠意で接すればいいのです。

 広報担当者を選ぶにあたって、適正をどのように見分ければいいのでしょうか。

「初めて会うマスコミの人と渡り合えるだけの度量がある人」がいればいいのですが、なかなかそのような人材に恵まれることはむずかしいのが現実です。
 マスコミの人と真剣に話すのは社長の役割ですから、そこを間違えずに、「あくまでマスコミと社長をつないでくれるスタッフ」と考え、次の要点に即して適任者を選びましょう。

  • 笑顔がよくて明るい雰囲気
  • 清潔感がある
  • 服装など、見た目が業界のTPOを心得ている
  • 時間を守る、敬語が正しいなどマナーがいい
  • 伝達が早く、クイックレスポンス
  • 情報収集能力がある
  • 宣伝が好き
  • 雑学が好き
  • 発想や対応が柔軟
  • 電話、FAX、メールなど連絡マメ

 要するに、人と接するにあたって好感をもたれ、連絡がすばやいタイプがいちばんです。全部を満たすのはむずかしくても、どれか2~3項目に適するスタッフはきっといるはずです。
 スタッフを選んだら、さっそく、研修や教育をはじめましょう。

 ここで要注意ですが、ネットショップの一スタッフに、いきなり「おまえが今日からマスコミ担当だ」と告げても、たいていは腰がひけて逃げてしまいます。「マスコミ」は、接した経験がない人にはかなりハードな存在に思えるでしょう。さらに自社の宣伝がかかっているとなると、並みの精神力では引き受けられません。
 そのあたりのスタッフの心理を察し、
「新商品の宣伝をするために、プレスリリースというものをつくって、マスコミに向けて情報を発信することにした。もちろん、マスコミから問い合わせがある可能性がある。マスコミには社長が全面対応するが、連絡係が必要だ。君のその明るい対応力ならできる。やってみないか。勉強になるぞ」と、まずは広報が必要になった理由とそうなるに至った経緯を十分に説明してください。そのうえで最初は打診という形をとり、あとは社長の説得でやる気にさせる、という手はずで人材選択を試みてください。
 それでも誰も適任者がいなくて、または一人でショップを運営しているなどの場合は、すべて自分で引き受ける覚悟を決めましょう。

 気をつけておきたいのは、広報担当者の選択と教育は、プレスリリースを作成する前にとりかかっておくことです。さらにその前に、社長が「自分で宣伝するぞ!」と決意をしておくことこそがいちばん大事です。
 つまり、パブリシティ計画は、社長が決意して広報担当者を選ぶことからはじまります。そして、ともにプランを練ってリリースを作成して……と進んでいきましょう。それでこそ会社の士気、スタッフのPR意欲が高まり、掲載にいたった時の喜びもひとしおです。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事