このページの本文へ

マスコミに持ち込む「プレスリリース」をつくろう(1)――大手企業のプレスリリースを研究する

2006年09月06日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 こんにちは! 前回までは、雑誌の研究をして、あなたの商材はどんな雑誌のどのコーナーに紹介してもらえそうなのかの目標、目途を立てました。
では、その雑誌社にあなたの商材をアピールするには、何を用意すればよいのでしょうか。

マスコミは、企業から届くプレスリリースで情報を集めている!

 みなさんはこのプレスリリースというものをご存知ですか?
 雑誌社に売り込む際には、「プレスリリース」(press release。ニュースリリース、報道資料などともいい、すべて同じ意味)と呼ばれる、マスコミ向けに制作した情報の紹介資料が必要なのです。
 繰り返し説明しますが、プレスリリースとは、「企業がマスコミ宛に、自社の伝えたい情報を整理して文書化した資料」のことで、大手企業や官庁ではたいてい、広報関係者が制作を行なっています。自社のニュース、商品の広告や販売促進、パブリシティ(後の回に説明します!)を目的に、新聞やテレビ、雑誌、WEB上などに掲載してほしいニュースをマスコミに知ってもらうためにつくっています。

 雑誌や新聞で、「○○社から、新しい大画面テレビが登場!」などという記事が出ているのを毎日のように目にします。そもそも、マスコミにこれらの情報が掲載されているのは、あちこちの企業から雑誌社や新聞社にニュースが持ち込まれているからなのです。マスコミ側からすると、企業から絶えず売り込みがあるために情報を知り得るわけで、分厚い雑誌の情報、連日の新聞記事など大量の情報記事が成立しているしくみの源はここにあります。

 しっかり頭に入れておきたいのは、企業の商品などサービスに関する情報の大半は、マスコミが主体的に企業に情報を求めているわけではなく、企業側がマスコミに持ち込んだ情報をマスコミがセレクトして掲載している、ということです。少ない人数で忙しく編集作業を行なう編集部のスタッフが大量に商品情報などをゲットできるのは、企業側が配るプレスリリースのおかげ、ともいえます。

プレスリリースは、マスコミに売り込むときに必須の資料

 編集部に売り込みに行く際には必ず、プレスリリース売り込む商品の現物を持参します。プレスリリースの存在を知らなかったある服飾雑貨店のオーナーの失敗談を紹介しておきます。
 「商品を売り込むために女性誌の編集部にアポイントをとったまではよかったのですが、商品しか持って行かなかったんですよ。それで編集部の人には、“プレスリリースは?資料は? え、ない? は―?話にならない”というような反応をされてしまいました~。僕はトークには自信があるので一生懸命に口頭で説明したのですが、お忙しそうで、メモもとってもらえませんでした」。

 商品だけ渡されても、商品のプロフィールを記した資料がなければ、あなたの商品は方々から届くいろいろなものにまぎれこんで、その場で忘れ去られてしまいます。もちろん、資料があれば覚えてもらえるというものでもありませんが、ない場合はどうしようもありません。
 編集者の記憶に残せるよう、いつでも商品の詳細を見てもらうことができるよう、編集者にとってわかりやすい、また印象に残るプレスリリースをつくるべきなのです。

 では、どのようなプレスリリースがマスコミの人の印象に残るのでしょうか。
 このごろは、大手企業の多くが、プレスリリースを自社のホームページ上で公開しています。基本的にはマスコミ宛のものですが、誰でも見ることができるWEBの特質上、一般消費者を意識した作り方をしている企業も増えてきました。
 ゆえに、プレスリリースを見たことがない、どういうものかわからない、知っていても作り方の見当がつかないという人はまず、同業の大手企業が発行するプレスリリースのサイトを探して参考にしましょう。

 たとえば、SONYのサイトではトップページにプレスリリースが掲載されています。http://www.sony.co.jp/ 日清食品のサイトにあるニュースリリースhttp://www.nissinfoods.co.jp/news/ は、一般消費者にもわかりやすい商品情報になっています。また、ノエビアのように、各ニュースをPDFファイルにして掲載する企業も多く見られます。http://www.noevir.co.jp/new/ir_info/news02.htm
 大手企業のプレスリリースはマスコミ向けに特化している場合など、トップページからリンクされていないことも多いので、調べたい企業のサイトにサイト内検索があれば「プレスリリース」「ニュースリリース」と検索するか、Yahoo!などの検索エンジンから、「○○社 プレスリリース」と検索してたどりついてください。

 多くのプレスリリースをあたっているうちに、どういうものがいいプレスリリースなのか、何を記すべきなのか、が見えてくるはずです。次回は、「プレスリリースのつくりかた」をレクチャーしますので、それまでにしっかり、できるだけ多くのものを調べて、「よいプレスリリース」を研究してください。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事