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商品を紹介する本文の書き方(1)――編集のコツをつかんで推こうする

2008年06月26日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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その文章を書く目的を考える

 Webサイトをつくるにあたっては、あいさつ文、店の紹介文、お客さまの紹介文、ブログなど、いろいろな文章が必要ですが、みなさんがいちばん緊張する場面は、なんといっても「商品を紹介する文章を書くとき」でしょう

 これまで繰り返し伝えてきたことは、「売れるWebサイトでいちばん重要なのは本文である」ということです(第5回参照)。キャッチコピーも写真もデザインも、本文を読ませるためのけん引役。本文こそが勝負の分かれ目です。
 どうすれば見込み客や新規の読者に商品をアピールする本文を書くことができるのでしょうか。

 まずは、商品を紹介する文の目的を考えましょう。
 キャッチコピーをつくる時と同じです。モノを販売する商用のWebサイトにとって、答えはひとつだけ。そう、
Webサイトを訪れた人がその文章を読んで、商品を買ってくれること」です。
 文章を書いているうちについ格好をつけてしまい、見込み客にはとうてい読んでもらえそうにない文を延々と書いてしまう……。ありがちなことです。文章を書くときも推こうをするときも校正を行うときも、常に「見込み客はこの文章で商品を買う気持ちになるのか」という意識を持って取り組むべきです。

本文を書いて、編集を行うポイント

 次の文章は、弊社の顧客である某アパレル系ECショップのWebサイト上に実際にあった文章です。
※文章の隣に、販売する商品の写真が入っています。ショップ名などは仮に「アスキー」としています。

 街はバーゲンのシーズンです。だから当店も、街のバーゲンに負けじとアスキーサマーバーゲンを開催しています! 今年の夏こそワタシらしくきめたいから、アスキーオリジナルのホワイトのクロップドパンツにホワイトのカットソーで、さわやかに涼しそうな感じに演出! カットソー¥1800、パンツ¥2800。売れています! しかも、上下で買えば当店自慢のピアスをプレゼントにつけます! チャンスです!

 ではここで、この文を見込み客の購買意欲を書きたてるように書き直してみましょう。次の訂正ポイントを参考にしてください。

●推こう&修正&校正=編集のポイント

1.文章の書き出しでひきつける
書き出しには商品の具体的な特徴、情報を記してガツンと印象づける。最後まで読んでもらえるかどうかの決め手となることが多い。
2.無理に個性を強調しない
ホワイトのクロップドパンツとカットソーは、どこにでもある商品。この文の「ワタシらしさ」とは、何を指しているのかがわからない。特徴をつくったり強調しすぎると不自然になり、不信をかうこともあるので注意。あくまで自然体で。
3.ブランド名は明記
「アスキーオリジナルの」という部分、ブランド名はないのか? 聞けば、「アスキーン」(仮名)という名があった。ブランド名など個別情報は重要事項と心得る。ちなみに、ブランド名は英字表記ではなくカタカナで記す。英字はお客さんからすると読みにくい。読みたくない。SEO対策としてもよくない。
4.「言い回しが重なると削除」が鉄則
「ホワイトのクロップドパンツとホワイトのカットソーで」の部分、ホワイトが2度も出てきてくどい。文はシンプルに。
5.商品の特徴をとらえて具体的に
「さわやかに涼しそうな感じに演出」という部分、他のどんな商品にも適用することばは使わない。何がどうさわやかなのかを明示する。「感じ」「演出」ということばの使い方も安易で幼稚な印象をあたえる。表現にひと工夫を。
6.料金情報にはパフォーマンスを
この文はバーゲンを呼びかけたいのだがら、定価がいくらで何%の割引なのかを明記する! 「カットソー¥1800、パンツ¥2800」は売り手だけがわかっている情報で手抜きな表記。ショップに聞いてみると、これらの商品は「50%割引後の価格」で、今回のバーゲンでは全商品を50%割引にしているということ。それを書いてくれ! 
価格は本文中ではなく、写真のキャプションに移動したほうが読みやすい。また、料金のお買い得情報はいちばんアピールしたい点なので、強調して表記する。読者の視点に立つ!
7.何がどこでどう売れているのか
「売れています」とあるが、具体的にデータを明記して初めて説得力が生まれる。”楽天ショップ関東エリア同業者250店で○○○○(商品名)が7月の売り上げベスト3に入りました!”など、誰が見ても理解できる情報を明記する。
8.敬語は正しく
「上下で買えば」という表現が稚拙でお客さんに失礼。「上下セットでお買い求めのお客さまには…」など、丁寧に語りかける。
9.アピール点は具体的に明示する
「当店自慢のピアス」ではどんなピアスなのかがわからない。もったいをつけるだけではダメ。何が自慢なのかを具体的に提示する。
10.購買への最後のひと押しを
「チャンスです!」とあるが、何がどうチャンスなのか。店側の熱いメッセージを謙虚にシンプルに伝える。
11.購入に必要な情報は網羅する
バーゲン期間の記述がない。見込み客が疑問を持たずに安心して購入できる文章になっているかどうかを再度検証する。

 次回、編集した例文を紹介します。

※今回は演習のため、「付録★小学生でもわかる文章力アップ講座」はお休みにします。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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