SaaS市場に、いよいよソフトウェア業界の巨人であるマイクロソフトが足を踏み入れる。同社では企業向けのオンラインサービスのブランドを「Microsoft Online Services」と命名し、第1弾として「Microsoft Business Productivity Online Suite(以下、BPOS)」の提供を開始したのだ。MSの最新クラウドサービスの利点から使い方までを前後2回にわたってお届けする。
サーバー不要でマイクロソフトの
エンタープライズ製品が使える!
BPOSはメールや社内情報共有、社員間のコラボレーションの機能などをネットワーク経由で提供するサービスだ。エンドユーザー(使う人)から見た場合のメリットは、「Exchange Server」や「SharePoint Server」を自社内で構築することなく利用できる点にある。
自社内でサーバーを構築すれば自由度の高い運用が可能になるが、それと引き替えにハードウェア/ソフトウェアを含めた保守・運用という重い負担が発生する。一方クラウド/SaaSであれば、自社でIT資産を抱え込む必要がなくなり、保守・運用コストを削減できる。
BPOSの利用料金は月額制で、すべての機能を一括して利用する場合は、1アカウントあたり1567円となっている。特定の機能だけの利用も可能だ。提供されるサービスと月額利用料金は以下の通り。
メール+グループウェア | Exchange Online | 1044円/月 |
---|---|---|
社内情報共有 | Office SharePoint Online | 757円/月 |
インスタントメッセージ | Office Communications Online | 261円/月 |
Web会議/アプリケーション共有 | Live Meeting | 800円/月 |
スイート(上記サービスすべてを含む) | 1567円/月 |
またExchange OnlineとOffice SharePoint Onlineに関しては、Webブラウザからのアクセスに限定した「Deskless Worker」と呼ばれるライセンスも提供される。これは1台のPCを複数のユーザーで共有している職場など、特定のPCを持たないユーザーを想定したアカウントで、Outlookなどクライアントアプリケーションが利用できない代わりに安価にしたもの。通常ライセンスとの併用も可能だ。
Exchange Online | 209円/月 |
---|---|
SharePoint Online Deskless Worker | 209円/月 |
Deskless Worker Suite(上記2サービスの両方を利用) | 313円/月 |
なお、250ユーザー以上であればボリュームディスカウントが提供される。さらに同社の既存サーバー製品のクライアントアクセスライセンス(CAL)をソフトウェアアシュアランス(SA 関連記事)付きで利用しているユーザーであれは、通常ライセンスよりも約14〜34%安価なステップアップ価格でのライセンス購入が可能だ。
たとえば100人でExchange Onlineを利用する場合、1044円×100アカウント=10万4400円/月で、年間では125万2800円となる。これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれだろうが、Exchange Serverのためのハードウェアやソフトウェアのライセンスやサポートにかかる費用、そして各種運用コストまでを考え合わせると、割安感のある価格設定ではないだろうか。
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