Core 2 Quadを置き換えるCore i5
混迷するGPU内蔵のCore i3
さて、そのCore i7であるが、2008年11月にはCore 2 Quadシリーズと同じハイエンド向けと、Core 2 Extremeに代わるエンスージアスト(ウルトラハイエンド)向けに、まず製品が登場した。現在のCore i7 965 Extreme Edition/940/920がそれだ。
これに続くのが、メインストリーム向けCPUであるコード名「Lynnfield」と「Clarkdale」である。それぞれ「Core i5」「Core i3」というブランド名になることがそれとなく公開されており、このまま確定すると思われる。
Core i5/i3は、以下のような共通の特徴を持つ。
- 2チャンネルのDDR3メモリーコントローラーを内蔵
- PCI Express 2.0 x16レーンを搭載
- チップセットとは既存のチップセット間インターフェース「DMI」で接続
一方、主な相違点は以下のようになる。
- Core i5は4つのCPUコアを内蔵し、グラフィック機能を持たない(CPU以外にGPUが必須)
- Core i3は2つのCPUコアを内蔵し、グラフィック機能を内蔵する
先にCore i7を「Core 2 Quadと同じ」ハイエンド向けと書いたが、現実問題としてCore i7の商品構成は、(マザーボードやメモリーのコストも含めると)メインストリーム~ハイエンドデスクトップ向けにはやや豪華かつ高価な構成だ。本当の意味でCore 2 Quadのポジションを担うのは、Core i5と考えていい。その証拠に、インテルは今年5月でCore i7 965/940の生産を中止し、販売も2009年で終了することを明らかにしている。Core i7は言うなれば、Core i5が出るまでの中継ぎと考えるべきだろう。
さて問題はCore i3の方である。デュアルコアのCPUとGPUを統合した製品だが、さすがにインテルもこれをひとつのダイで製造するのは無茶だと思ったらしく、CPUとGPUを別のダイとして、その間をQPIでつなぐMCMの構成で製造することにした。これが「Havendale」というコード名のCPUである。
ところが、当初の予定では45nm製造プロセスでCPUとGPUを製造するはずだったのが、2009年3月に突如方針を変更。Core i3はCPUにNehalemの32nmプロセス版である「Westmere」ベースのコアを使いながら、GPUは45nmプロセスのままという変なプロセッサーとなり、Havendaleはキャンセルとなってしまった。以前には「Havendaleが将来的にはCeleron向けになる」という話もあったが、それもなくなってしまったようだ。
Core i3のややこしい事情には2つの説が
なぜこんな事になったのかは諸説入り乱れているが、比較的説得力があるのは以下の2つの説だろう。
第1の説 45nmプロセスの需要が逼迫しているが、だからといってGPUをいきなり32nmプロセスに持ってゆくのは難易度が高いので、まずはCPUコアだけを32nmプロセスに移行した。
第2の説 GPUの消費電力が予想以上に多く、45nmプロセスのままでTDP(熱設計時消費電力)の枠内に収めようとすると、CPUの動作周波数をかなり下げなくてはならない。そこで、同じTDPならばより高速に動作する32nmプロセスでCPUを作る。
ただ、第1の説には違和感がともなう。というのも、Core i5に関しては、2010年も引き続き45nmプロセスで製造されることが明らかにされているからだ。当初の予定では、Core i7/i5/i3はすべて45nmで製造されて、2010年に32nmに移行するという、割とオーソドックスというかコンサバティブなロードマップだった。
Core i5が32nmに移行できない理由は、この時点では見当たらない。むしろ45nmプロセスの需要が逼迫しているなら、クアッドコアのCore i7/5こそ、32nmに早く移行すべきだろう。この両者は270mm2近い、デスクトップ向けCPUとしては、かなり巨大なダイだからだ。
むしろ考えやすいのは第2の説だろう。インテル製GPUの発熱量の多さは、今に始まった話ではないからだ。ただし、32nmプロセスでの量産には当然時間が掛かるので、当初2009年内の発売を予定していたCore i3は、2010年第1四半期までずれ込むことになってしまった(おそらくは2010年1月のCESで発表されるのではないか)。
現時点でCore i3の動作周波数などはまるで明らかになっていないが、既存のCore 2 Duoの代替となるので、おそらく1.60GHz~2.66GHzあたりではないかと想像される。当初は2.40GHz程度どまりで、その上の動作周波数は後で追加となる可能性もある。
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