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どれを選ぶ?クラウド/SaaS 第1回

全体像を把握する

最新クラウド/SaaSのサービスを一気に網羅

2009年05月25日 20時00分更新

文● デジカル・田口和裕

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 NECや富士通が、SaaS体制を強化し(関連記事)、オラクルがSaaS向けのプラットフォーム製品群を発表(関連記事)、さらに、マイクロソフトも遂に独自のSaaS形態「Software + Service」による「Business Productivity Online Suite(BPOS)」を開始するなど、SaaS……というよりも、“クラウド”に関する状況が、急激に変化し始めている。

 現在、クラウド/SaaSで提供されるサービスはどのようなものが存在するのか? すでに把握しきれない状況になりつつある。

 そこで本稿では主なSaaSをジャンル毎にまとめ、現在クラウド/SaaSで提供されているサービスを俯瞰した。

SaaSの花形CRM/ERPで
目立った動きをするのは、 やはりSaleceforce

Salesecorce

SalesforceのWebページ

 企業の基幹業務を担うこの分野ではやはりSalesforceが目立つ。CRM(Coustmer Relationship Management)、SFA(Sales Force Automation)、カスタマーサービス&サポート、マーケティング、代理店管理など充実の機能を持った主力製品「Salesforce CRM」はもちろんだが、サードパーティーがERPやSCMなどの業務アプリケーションを低コストで開発できる、クラウドコンピューティングモデルのプラットフォーム「Force.comプラットフォーム」が順調だ。SaaSと共にクラウド時代のキーとなるPaaS(Platform as a Service)には、NTTグループやNEC、富士通といった日本の大手ベンダーも参入を始めており、今後の動向が注目される。

 「Salesforce CRM」の対抗馬となるのはやはり「NetSuite」だろうか。他ベンダーにもプラットフォームを開放するなどオープンな設計思想を持つSalesforceと対称的に、Netsuiteはその名の通り、ERP、CRM、Eコマースといった、一般的な企業が業務上必要とする機能をすべて用意し、ワンストップで安価に基幹業務を完結することができるスイート(一式、一揃い)形式を売りにしている。自由にカスタマイズできる柔軟性ではSalesforceに劣るが、それを補ってあまりあるコストというメリットがあるため、SIにコストをかけられない中小規模の企業から注目を集めている。

 国内メーカーも負けてはいない。楽天、阪急交通公社などが導入している統合CRMパッケージ「Synergy!」や、400社以上の中堅企業で利用されているERPのSaaS版「GRANDIT-ASP・SaaS」など、注目すべきサービスは多い。 「Skit」、「T-CON SOLUTION」といった特定業種に用途を絞ったものや、プレスリリース・ニュースリリースの周知のみを行なう「News2uリリース」のような、単機能に特化したものも現われている。

主なCRM/ERPサービス

サービス名 企業名 特徴 価格
Salesforce CRM (株)セールスフォース・ドットコム 全世界で5万社以上が導入、150万を超えるユーザーが利用するSaaS界のリーダー。CRM・SFAを中心に、多数の機能をWebサービスの形で提供する。外部ベンダーに仕様を公開しているのも大きな特徴。 1ライセンス 1000/月から
NetSuite ネットスイート(株) CRM・ERP・Eコマースなど、企業が利用するであろう多数のアプリケーションをまとめて提供するSaaS型統合業務アプリケーション。財務諸表や手形決済など日本の商慣習にも対応。 1ユーザー 1万3000円/月
Synergy! シナジーマーケティング(株) ユーザーデータベースを中心に、アンケート、メール配信、問い合わせ管理、携帯CMSなどの中から必要な物だけを利用することができる統合顧客管理システム。 月額1万5000円から
Oracle CRM On Demand 米オラクル 営業、マーケティング、サービスなどあらゆる部署が活用できる統合CRMパッケージ。オラクルが買収したシーベル社の主力製品「Siebel CRM」がベースになっている。 1ユーザー 7609円/月額
Skit (株)エヌ・ティ・ティ・データ・セキスイシステムズ 主に卸売業種をメインターゲットとしたSaaS型統合基幹業務システム。販売・仕入・在庫管理、会計、情報分析などの基幹業務をリアルタイムに連携しながら利用できる。 35万円/月
Ecセンターfor奉行 TIS(株)  受発注、納期回答、出荷状況などの企業間データ交換を容易に行なえるECプラットフォーム。OBCの奉行シリーズと連携できる。 発注側企業:2万5000円/月、受注側企業:3000円/月
ZAC (株) オロ プロジェクト管理、販売管理、購買管理、ワークフローなど様々な業務に対応できるSaaS型統合業務システム。幅広い業種に対応できる汎用性を謳う。 初期導入費用15万円/10ユーザー、 893円(10ユーザー)/月
GRANDIT-ASP・SaaS NECネクサソリューションズ(株) 400社以上の中堅企業で利用されている国産ERP「GRANDIT」のSaaS版。販売、経理、ワークフロー、生産管理、原価計算など全12領域の業務をカバーしている。 7500円/月(1ユーザー)
T-CON SOLUTION 東芝ファイナンス(株) リースやレンタルにおける申し込み受付、審査、契約処理、保守保険、請求回収、資産管理などの業務プロセスをSaaS化した統合型業務プラットフォーム。 (利用システムにより変動)
News2u リリース (株)ニューズ・ツー・ユー ニュースリリースを一度に多数の提携Webサイトに配信、掲載するサービス。自社商品はもちろんキャンペーンやイベントなどのPR活動に使用できる。 10万5000円/月

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