次期Officeは「コア部分ができた」
── 今、最も力を入れていることは何でしょうか?
ジェフ氏:バージョン2008のサービスリリースや、ウェブサービスを利用して共同作業を促進する「Document Collaboration Companion」の開発、EntourageのExchangeサーバー対応の強化、Visual Basicのサポートなどに取り組んでますが、やはり最優先事項は次期Officeの開発でしょう。発売日はまだ公表できませんが、3つ目の大きな節目(マイルストーン3)までは作業完了し、コア部分が出来上がりました。
── では、もう最適化やユーザーインターフェースを整える段階ですか?
ジェフ氏:いいえ。現在はインフラ、つまりアプリケーションのベースとなるレイヤーが出来上がった状態です。ユーザーインターフェースなどはまだ先の話ですね。
── 最近のソフトはCocoa APIを使って開発しているので、同じようなインタフェースになりがちです。しかし、OfficeはWindows版と共通の操作性を持たせつつ、Macの作法にも合わせなければなりませんよね。
ジェフ氏:その点には3つのポリシーを持って取り組んでます。第1に「ユーザーが非常にMacらしい体験をできるようにする」、第2に「正しいツールを提供して最大限の価値を提供する」、第3に「将来に向けて正しい方向に構築していく」です。
Visual Basicはメジャーアップデートで対応
── ところで、Windows版とMac版の開発に大きな違いはありますか?
エリック氏:Mac BUに移る前、私は長らくWindows版のOfficeを開発していましたが、開発そのものについての違いはあまりありませんね。構築していく方法も対象も似ています。もちろん異なる点もありますが、それは2つのプラットフォーム間で顧客のニーズに違いがあるために生じる違いです。
まずは顧客が何を求めているのかを把握し、それに合わせて必要なツールを開発する。これはWindows版でもやることなので、結局は同じです。
── 組織の雰囲気はどうでしょう?
エリック氏:これは確かに大きな違いがありますね。Mac BUのほうが人数が少ないぶん、意志決定に関わる人数も少なく仕事が早く進みます。ひとりひとりがカバーする範囲が広く、緊張感があって楽しいですよ。最終的なマーケティングにも到達しやすいし、お客さんの声も拾いやすい。
── 最近ではどんな声が多かったですか?
エリック氏:やはりVisual Basicへの対応ですね。これは我々も必要だと思っているので、現在作業中です。
── 対応に時間がかかっているようですが、技術的に困難な理由は何でしょうか?
エリック氏:Intel Macへのシフトが最大の問題です。Visual Basicはエミュレーションでただ動けばいいのではなく、高速に動作させる必要があります。CPUと密接に関係したローレベルの技術なので、CPUが変わると対応に時間がかかってしまうのです。
── Visual Basicは、サービスリリースで対応するのでしょうか?
エリック氏:進捗は順調ですが、まだ準備は整っていません。次のメジャーリリースを期待して待っていてください。
── 実はASCII.jpでは、Macで仕事をしている人間が私しかいません。Windowsしか使っていない編集者から「本当にMacで仕事ができるのか?」とも言われたりしますが、Macでもきちんとビジネスができるとアピールしていただけないでしょうか。
エリック氏:われわれもマイクロソフトという企業の中で毎日、Macを使っています。それがMacでも仕事ができるという証明です。
ジェフ氏:われわれの使命は、MacユーザーがOfficeを使って必要な仕事をやりとげられるようにするということです。Macのプラットフォームに高い関わり合いを感じていますし、時間とともにチームを大きくしてきて、マイクロソフト社内でも役割が大きくなってきています。
Windowsを使っている同僚と十分コラボレーションできるように、最大限仕事の生産性を高められるように、これからも努力を続けていきたいです。