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勝手広告・神酒大亮監督が語る「もっと勝手に!」

2009年05月06日 12時00分更新

文● ワクテカ編集部

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赤十字にヤマト運輸、勝手広告は今?

―― YouTubeに赤十字の「勝手広告」が掲載されたのが2007年ですね。まずはそもそも勝手広告がどういう経緯で作られたものなのか教えてください。

神酒監督。「面白いものができたので、それをたまたまYouTubeに上げておいたというだけ」と語る

神酒大亮(以下「神酒」) もともとショートフィルムや映画をやっていて、作品づくりの一環としてCMをやってみたくて撮ったのが「勝手広告」だったんです。

 まさに勝手に始めましたからね。ポートフォリオ(作品集)を作るという意識もほとんどなかったです。

 勝手広告は本当に気軽に作っているんです。「赤十字」はここのオフィスで撮ったんですよ。

 同じようにヤマト運輸の勝手広告はオフィスのすぐ裏手にある多摩川沿いで撮影しました。半径5メートルで撮影している感じですね。

 そのときは、面白いものができたのでたまたまYouTubeに上げておいたというだけなんですよ。まだYouTube自体も英語版だけのリリースだったので「できるかな」というくらいの気持ちでした。

 それが気づいたらいつの間にか再生数が増えていて、Yahoo!のトピックスにまで上がっていたので、まさに「これがバイラルマーケティングか」と(笑)

 それと「勝手広告」というネーミングそのものは、アートディレクター・中村至男さんと、メディアクリエイター・佐藤雅彦さんの共著「勝手に広告」(2006年、マガジンハウス刊)から来ています。


―― 同じ勝手広告というジャンルでも古川健介(けんすう)さんなど複数のクリエイターが参加していますよね。現在、勝手広告はどんな立場にあるんでしょうか。

「自主性を持って、それこそ勝手にやっていけるのが楽しいんじゃないかと」

神酒 海外では本当に「勝手に」クリエイターが作った動画を企業が目に止め、正式な企業広告として採用している例がありますが、日本国内ではまだ少ないですよね。

 そもそも勝手広告とはいえ、なかなか簡単には作れないんですよ。「一億総クリエイター」なんて叫ばれていたこともありましたが、そう簡単にはいかないと思います。

 これまで映像作品というのは「業界に入る」しか発表の場がなかったわけですよね。映画を作る人なら、作ったものを上映して収入を得る。そうでなければテレビ番組の制作会社で働くとか。それとはまた別の形で生きていくその手段として「勝手広告」があるんですよ。

 勝手に作ったものが「自分」の宣伝材料になって、映像を作ってくれという注文が来るようになる。恐らく今後、そういった方向で映像を作っていく人も増えてくると思うんですよね。

 ただ、クリエイターは職人気質の人が多くて「受注生産」的なところがあるんです。ぼく自身は草食か肉食かと言われたら肉食なんですが、他の人にはあまりそれを感じないですよね。もっと勝手にやってもいいと思うんですけど。

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