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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第70回

iidaで革新性から調和へ進化するケータイ

2009年04月25日 13時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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iidaの狙いは
ケータイと生活に感性を持ち込むこと?

 ケータイの販売台数が伸び悩む昨今、売り方に変化を与える必要性はどのキャリアも認識しているはずだ。iidaはその点にもキチンと対応するブランドである。

 「端末ごとにかなり狭くターゲットを絞って出していきたいと思っています。ユーザー1人1人はまったく違う個性で、私生活も違っています。お客様の生活に合わせてケータイをデザインすると語った高橋 誠(コンシューマ商品統括本部長)の発表会での言葉のとおり、いくつコンセプトがあってもよいと考えています」(松井氏)

 店頭での売り方も、iidaとして違う什器を用意するなど、これまでのケータイとは違う点を強調していく。また春モデル夏モデルといった新製品のサイクルとは直接関係しない形で、新しいケータイに触れてもらうチャンスを増やしていく予定だ。

 アーティストとのコラボレーションにも、より重要な意味がある。

 「現代のアーティストのアンテナに引っかかっているものをヒヤリングしながら、それをユーザーのニーズにぶつけていく端末作りをします。アーティストとのコミュニケーションによる物作りでは感性が大切。これまでの作り方に捕らわれずにやっていかなければならない」(松井氏)

 感性に訴えるケータイを世に送り出す。細分化されるニーズに最大限応える。iidaの取り組みはユーザーに響いていくだろうか。

 たとえば感性の点で言えば、インターフェイスやインタラクション、そしてコミュニケーションのデザインなども含めて端末やサービスが一体化して作られていく動きに発展しなければ、なかなかユーザーの視点から本当に「心地よい」ものはできてこない。

 iidaとしてのインターフェイスやサービスへの取り組みは「これから」(松井氏)とのことで、プロダクトデザインと同じくらいこだわってほしいと思う。

 ケータイのイノベーションを総合的に、しなやかに発信するブランドとして打ち出されているiidaだが、先般発表されたソーラーパネルで充電可能なシャープ製端末(関連記事)はiidaブランドとしては出てこない予定。iidaの発表会にもソーラーパネルのケータイのプロトタイプが出ていただけに、一貫性のなさも感じられる。ブランドのわかりやすさもまた必要ではないか。

 とはいえ、触って「いままでのモノとは違う」、見て「びっくりする」ケータイを送り出し始めたiidaの今後には大いに期待したいところだ。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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