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ハード込みで5万円台から買えるWindows Server

2009年04月22日 22時58分更新

文● 吉川大郎/企画報道編集部

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 中小企業や企業の部門などで使うファイルサーバー/プリントサーバーなどには、クライアント版のWindowsが使われるケースが散見される。本来ならばサーバーOSを導入するのが望ましいのだろうが、コストなどが理由で「さあ、サーバーを導入しよう」ということには、なかなかならない。特にWindows Serverの場合、ハードウェアなどを含めると数十万円の出費になることも。

 そこでマイクロソフトは、15名以下の企業を対象とした、格安のWindows Server「Windows Server 2008 Foundation」を投入した。今まではクライアント系のWindowsをプリインストールしたマシンを購入して共用PCとしていたユーザーに対して、今後はWindows Server 2008 Foundationを購入してもらおうというのが狙いだ。いわば、「初めてのサーバー」として売っていこうというわけだ。

製品位置づけ

Windows Server各製品の位置づけ。汎用サーバー製品群の中では、最下位に位置する

デル

デルのWindows Server 2008 Foundation搭載モデル。Windows Serverをプリインストールしたサーバーマシンが、5万4800円で買えるようになった

 Windows Server 2008 Foundationは、OEMのみの提供で、基本的にハードウェアにプリインストールされる形で出荷される。昨今低価格サーバー普及の折、サーバマシンのトータル価格は、デスクトップPCとほぼ同じ。よって、Windows Server 2008 Foundation搭載サーバも、相当の安値となる。発表会では、デルの「Dell PowerEdge T100」が、5万4800円で提供されることが公表されたが、ほかにもNEC、日本IBM、日本HP、日立製作所、富士通がハードウェアパートナーに加わり、Windows Server 2008 Foundationプリインストールサーバーを市場投入する。

 ソフトウェアパートナーとしては、ソースネクストが「ウイルスセキュリティZERO」のWindows Server 2008 Foundation対応を発表したほか、PFUがドキュメントファイリングソフト「楽2ライブラリ」を富士通のPCサーバー「PRIMERGY ECONEL」にプリインストールした形で提供すると発表している。中小企業の基幹業務ネットワーク構築などを手がけるPCAは、Windows Server 2008 Foundationによる販促施策やキャンペーンを実施する。Windows Server 2008 Foundationには、Windows Server 2008と同等のアプリケーションロゴ要件が適用されるので、Windows Serverと同等のアプリケーション動作環境が保証されている。

機能相違

Windows Server 2008 FoundationとStandardの機能的違い。Windows Server 2008 Foundationは、CALは必要としない

 Windows Server 2008 StandardとWindows Server 2008 Foundationの違いだが、一番大きいのは仮想化テクノロジーである「Hyper-V」および仮想イメージ使用権がないということ。また、扱えるメモリが最大8GB(Standard Editionは32GB)だったり、SMB(Server Messaging Block)接続数やActive Directoryのユーザー数に制限がある。なお、Windows Server 2008 FoundationからStandardへのアップグレードパスも提供される予定だ(詳細は未定)。

Home ServerやNASと比較して

 このように、マイクロソフトは中小企業にWindows Server 2008 Foundationで手軽にWindowsサーバーを導入させたいと考えている。しかし、単に共用PCとしてファイル共有をしたいだけならば、NASや個人向けにはなるがWindows Home Serverなどでも事足りるのではないかと考える読者もいるだろう。

 これについてマイクロソフトは、「確かにHomeをビジネスに使っている人はいるが、用途はデスクトップのバックアップがほとんど。バックアップだけでは“攻めのIT”とは言えない。Windows Server 2008 Foundationは、少ないコストで攻めのITをしていこうというものだ」と回答。またNASについては、共有するという目的だけであればそのとおりだが、個人情報保護が厳しくなってきている中で、情報管理をしっかりしておかなければ仕事の発注対象にならないなど、ビジネスにも影響が出るという点を指摘した。

 最近のマイクロソフトは、BPOSをはじめ“中小企業をITで支援する”というスタンスを明確に打ち出しており、今回の発表もまさにその流れに沿ったものだ。しかし一方では1万円台の低価格サーバーが登場するなど、ハードウェアの低廉化が進み、それにLinuxをインストールして使用するといったシーンも普及しつつある。Windows Server 2008 Foundationは、こうした状況に対する、マイクロソフトの回答のひとつと見ることもできよう。

 マイクロソフトでは、Windows Server 2008 Foundationのリリースに合わせて、ユーザーへの導入支援のためのWebページ「はじめてでも安心!Windows Server 2008 Foundationセットアップガイド」を公開する。さらに、「答えてねっと for Business」で、5月1日から5月31日までキャンペーンを実施する予定だ。

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