仮想マシンではAeroを使えないのか……
設定が済んだら、早速Windows 7をインストール。Virtual PCのときの失敗を踏まえて、Windows 7のISOイメージを仮想CD-ROMドライブとして割り当てたので、インストールはあっという間に終わった。15分もかからなかったのではないか。作業中のCPU負荷を見ていると、2個の論理CPUが仮想マシンに使われている。
インストール後のWindows 7は、やはりAeroが有効になっていないし、Windowsエクスペリエンスインデックスも評価されていない。だめもとで評価を実行してみると、一見動いたように見えたが最後までうまくはいかず、評価不能となった。
VMwareの場合、チップセットはVirtual PCと同じ440BXだがUSBが有効で、GPUは「VMware SVGA II」という独自の仮想GPUが割り当てられている。いちおうDirectX 9.0c対応GPUとして振る舞うはずだが、Aeroが動くレベルではないようだ。
仮想マシンのパフォーマンスは
ホストの50~90%
仮想マシン上でのWindows 7のインストールと動作が可能なことは分かった。今後登場するであろうWindows 7のRC版(製品候補版)のテストにも、Pro7000の大容量メモリーとCPUパワーは役立つだろう。しかし、Aeroが動かない、パソコン本来のデバイスが認識されない(仮想マシンだから当たり前だが)など、新OSを多角的にテストするのには向かない点も多い。パソコン上でのハードウェア仮想化については、まだまだ始まったばかりという面もあるので、現時点ではしかたないだろう。
最後に簡単なベンチマークテストを行なって、Pro7000で動く仮想マシンのWindows 7が、どの程度のパフォーマンスを発揮するのかを調べてみた。テストに使ったのはいつもの「PCMark Vantage」ではなく、少々古い「PCMark 05」だ。というのも、仮想マシン上ではVantageは完走しそうもなかったのと、PCMark 05はテスト結果が「CPU」「Memory」というイメージしやすい項目で表現されるので分かりやすいからだ。
ただしPCMark 05でも、すべてのテストを仮想マシン上で完走させることはできなかった。例えば「Graphics」の項目は、テストの途中でゲストOSが応答しなくなったりする。Windows 7βという事情もあるかもしれない。仕方なく、とりあえずまともに動いた3項目、「CPU」「Memory」「HDD」だけを比較してみたい。
さて結果を見てみると、Virtual PCはPro7000本来のパフォーマンスの51.7~83%程度、VMwareは81.1~93.4%程度のパフォーマンスが出ているようだ。ただし、VMwareのMemoryの値は明らかに異常で、Pro7000本来の3倍ものスコアが出ている。
細目を比較してみると、VMwareでは「Memory Latency」のテスト結果が異常に(14~1600倍!)高く、これに引きずられて異常な総合値になってしまったようだ。正常に動作していると思われるメモリーのリード/ライト/コピーの項目だけで比較してみると、Pro7000本来のパフォーマンスとの差は平均で約86.6%と妥当な範囲に収まる。
元々速いCore i7 965+12GBメモリー環境で動かしているだけに、仮想マシン自体も、また仮想マシンを動かしている最中のホストOS自体の動作も非常に軽快で、パワーを要する仮想マシンソフトを動かしているという意識はしない。ハードウェア依存度の低いアプリケーションの開発やテストであれば、Pro7000は苦もなくこなせるだろう。
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パソコンのパフォーマンスはもう十分で、「メールとネットだけできれば十分」という声をよく聞く。その具体例がNetbookだ。しかし、裏を返せばその言葉は、「それ以外のことをしたくなったら、結局パフォーマンスが必要」ということでもある。アプリケーションの実行主体がネットの向こうのクラウドになり、クライアントはすべてダム端末のような存在になる、そんな時代も遠からず来るのではあろうが、少なくともそれは今ではないし、3年後でもまだないだろう。
「パソコンで何ができるか、何をしたいか」を狭い用途、狭い可能性に制約してしまうのはもったいない。そしてその可能性を広げるのは、やっぱり速いCPUと豊富なメモリーだ。そう思えば、今速いパソコンに投資をするのは決して無駄ではない。
現状最高速クラスのCPUと大量のメモリーやHDD、高速グラフィックスカードで武装できるPro7000は、今最高の快適さを求めるのに相応しいパソコンと言えるだろう。やっぱり速いパソコンは気持ちいい、それを痛感させてくれるマシンである。