これからの音楽は「隙間」でやっていきたい
―― ホームページを見ていると、ウィスット・ポンニミットやユウジローなど漫画家の名前が挙がってきます。PVからはアニメ「FLCL」のようなイメージも浮かんできました。具体的に影響を受けたアーティストはどなたでしたか?
若干P 大学生の終わりごろに短編漫画を描き始めたきっかけが、「コーヒーもう一杯」の山川直人さんでした。絵が可愛くて、話がセンチメンタルだったりシリアスだったりする。
あとは志村貴子さんの「敷居の住人」なんかは大好きで影響を受けてます。もしくは「日本の夏、天狗の夏。」(宙出版)の藤本和也さんなどですね。
ルーツは見る人が見ればすごく分かりやすいと思います。音楽に関して言えば、完全に下地なのはスピッツなんです。歌詞がステキで、メロディが良くて音に骨があるのが好きで。
―― ここまで多作で多方面の創作活動をされている中で、音楽やマンガを職業にしたいとは考えられませんでしたか?
若干P 現状を見たら悲惨ですよね、壮絶な時代の過渡期ですし。音楽で食べるなんて宝くじより難しいのは分かりましたし。今は田舎の海沿いの工場でいろいろ働いてます。
今は音楽も配信の時代になって、CDにするメリットが失われてきたりと、これまでの常識が覆されてるわけですよね。だから、今までみたいな音楽の夢物語みたいなものはとうに終わってるんだろうなと。
むしろ隙間産業的に自分の好きな音楽を自分のペースで発信して、そこで評価が得られればそれで満足なんですよね。
ただ、もちろんプロフェッショナルなパッケージングされた作品も好きですし、それはそれでなければまずいと思います。今は本当にそういうプロフェッショナルな世界と隙間の世界の境界線がアメーバみたいに「もんまり」しているのではないかなと思っています。
――今後はもう初音ミクの曲は制作されないんですか。
若干P 今のところ考えていなかったんですが、捻れたアヒルが新譜を作るという話があるので、そのときに参加できれば楽しそうだなという感じです。
ただ、自分自身の音楽活動もそろそろ再開したいんですよね。そちらはYouTubeに投稿していく予定です。たまに外国の方の意見が伺えるのも面白いですよね。若干Pとしてニコニコ動画に掲載していたのは、あくまで初音さんの発表場所としてふさわしかったからなんですよね。