こんな女性だらけのApple Store、見たことがない──。
去る3月27日、東京・銀座にあるアップル直営店「Apple Store Ginza」で開催している学生向けイベント「Dream Classroom」の第3回が実施された。坂本龍一氏、宇川直宏氏に次いで招かれたのは、ミス・ユニバース・ジャパンのナショナル・ディレクターであるイネス・リグロンさんだ。
ミス・ユニバースといえば世界を代表するミス・コンテスト。イネスさんはフランス出身で、世界各地のファッション業界でキャリアを重ねて1998年より現ナショナル・ディレクターの仕事に就いた。2006年に知花くらら(ちばなくらら)さんを世界大会2位、2007年に森理世(もりりよ)さんを世界1位に導いた実績を持つ。また、ジェニファー・ロペスさんなど、来日する外国人セレブのコーディネーターも務める人物だ。
人選が人選なだけあって、会場となったシアターは9割以上が女性(!!)という普段はあまり見られない光景になっていた。とはいえ、トークはIT系の人がまったく関心を持たない内容ではなく、学生や新社会人にとって学ぶべきところが多いものだった。イネスさんのアドバイスは、以下の5つに簡単にまとめられる。
特に向上心が強い人、成功したいと願う人なら、イネスさんの言葉は心に響くことだろう。筆者が印象に残ったのは、「バッグを買うお金で、まずあなたの歯をきれいにして美しい笑顔を作りなさい。そうすればよりいい仕事がもらえて、高いバッグが買えるでしょう」というアドバイスだ。
講演は写真をスライドで見せながら、イネスさんが自身の哲学を語るという流れだった。トークのお相手は、2008年ミス・ユニバース日本代表の美馬寛子(みまひろこ)さんだ。早速、イネスさんの授業を聞いていこう。
※編集したため、ライブとは発言の順番が異なる部分があります。
「大切な人々に囲まれなさい」
イネス:(「夢を叶えるために?」という質問に対して)小さなことでもひとつずつ、少しずつやっていけば、私は夢を叶えていけると思います。そのときにとても重要なのは「自分の周りに大切な人を置く」ということ。大切な友達、特に大切な家族に囲まれることで夢を叶えていけると思います。
私はそんなにおしゃれではないフランスの田舎で育ちました。確か200から300人、東京のナイトクラブと同じくらいの人口しかいない小さな村です(笑)。小さい頃から乗馬が好きで、いつも馬に乗っていました。
美馬:以前、イネスやそのお母さんたちと一緒に、イネスの出身地を馬で回ったことがあります。(写真を指差しながら)馬のうしろにずっと車が並んでいるのを見ても分かるように、日本の田舎と違って馬でも普通に車道を走るんですよ。それが私にとって恐かった。でも、馬で皆となりの牧場に行ってみたりというのは、イネスのところでは日常なんです。
イネス:私はいつもファイナリスト(ミスユニバースの最終選考に残った人々)にこう言っています。「自分が田舎から来たからといって、自分を小さく感じる必要はない。育ったところから何を得たか、それを自分のものとしてとらえて、将来に向けてどう使っていくかを考えなさい」と。
美馬:私はファイナリストのときから「ダイエットが必要だ」とずっと言われていたんです。それでミス・ユニバース・ジャパンになったとき、(知花)くららさんが「私も一緒に走ってあげる」って言ってくれて、イネスと私とくららさんとで一緒に皇居の周りを走ろうということになりました。
ダイエットは「しなきゃいけない」って思ってても、なかなか前に進めないものです。でも、一歩踏み出して頑張ってみると、みるみる結果として体に出てくる。それを見ればアドレナリンが出て楽しくなってきて、楽しい自分をまた見たいと思ってエクササイズを続けられる。じゃあ「はじめの一歩」をどう踏み出すかといえば、一人でやるんじゃなくて、やっぱり友達と一緒に楽しみながらやるというのが一番の方法かなと思います。
ちなみにさっきのジョギングですが、皇居の前まで3人一緒に車で移動したあと、イネスは私とくららさんを下ろして去っていってしまったんです(笑)。しかもイネスは皇居一周を「2kmくらいじゃない?」と言ってましたが、実際は5kmでした。このときはホントに疲れた(笑)
イネス:また一緒にジョギングに行く必要がありますね(笑)
(ショップで働いている写真を見せながら)この写真に写っている21歳の頃、私は最初のビジネスを始めています。大学を終えた私はファッション関係の仕事を希望していましたが、会社に入っても絶対に自分のやりたいことができないと思っていました。
だから、「自分のビジネスを始めたい」と両親に相談したんです。そのときに両親が「分かった、一緒に銀行に行ってローンを組めるように協力する」と言ってくれて、自分のお店を持つことができました。
両親とコミュニケーションを取るというのは、学生にとってとても大切なことです。自分に自信を持ち、「5年後に何をしたい、10年後には何をしたい」と両親に相談してサポートしてもらうのは、成功するために必要なことだと思います。
そして私は21歳でビジネスを始めて、同じ頃に子供を授かりました。よく「(女性は)家族を持ちながら、仕事を持つことができない」と言われますけど、その言葉は信じないでください。できます。私の家族はとても親しくしていて、チームみたいなものです。ケンカをすることもありますけど、最後は必ず「愛してるよ」のひと言で終わりますよ。