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2000円台からのSaaS 経産省が用意

2009年04月01日 06時00分更新

文● 企画報道編集部

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J-SaaS

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 全国の中小企業を支援するため、経済産業省がSaaS基盤を用意した。その名も「J-SaaS」。言ってみれば、国営のSaaSポータルだ。J-SaaSの特徴は、利用者側である中小企業へのメリットと、構築側である国内アプリケーションベンダーの2つに分けられる。

 顕著なのは、利用者である国内中小企業におけるメリットだ。まず、その安さ。J-SaaSには、「財務会計」「経理」「給与計算」「税務申告」といった企業に必要なものから、グループウェア、経営分析、インターネットバンキング、販売管理など、企業活動をより積極的に展開できる、いわば“攻めのIT”と呼ばれるアプリケーションが揃っているが、一番安いものでは、2000円台から利用できてしまう(ゼロ円の体験版も用意されている)。

 さらに、複数のサービスを一回のログインで利用できるシングルサインオンの仕組みも用意した。J-SaaSの合い言葉自体、「ワンストップ」というもので、これはシングルサインオンだけではなく、業務アプリケーションが、すべてJ-SaaSでそろえられる事を目指しているという意味合いもある。現在は会計系のサービスが多いが、将来的には、中小企業の会計系を代表とする“守りのITシステム”から、CRMなどの“攻めのITシステム”までを、J-SaaSで提供しようというものだ。

アプリベンダーには基盤まで提供

 次に、アプリケーションベンダー側のメリットだが、従来パッケージソフトだけを販売していたベンダーに補助金を出し、J-SaaSへの参画、つまりパッケージソフトのSaaS化を経産省が後押ししている。現在J-SaaSには24社が名を連ねているが、これをきっかけに初めてSaaS化したソフトも少なくない。

 しかも、SaaSが動作する基盤システムも、経産省が用意した。SaaSとしてアプリケーションを提供するためには、基盤となるシステムのセキュリティや堅牢性が大前提で、運用には膨大なコストが発生するはずだが、これも経産省が用意したわけだ。つまり、アプリケーションベンダーは、自前のデータセンターを持たなくても、経産省の基盤システムの上でSaaSビジネスを展開できるというわけだ。

 こうなると、「そもそもITを利用しない層、疎い層にどうやってJ-SaaSをアピールしていくか?」という点が気になる。詳しくは後日掲載予定の経産省へのインタビュー記事に譲るが、こうした点についても、経産省が普段企業と縁のある税理士の先生に呼びかけて普及をはかる活動を行なっている。

 J-SaaSにおける経産省の狙いは、ITを利用したくてもイニシャルコストの大きさに二の足を踏んでしまう中小企業に対し、IT基盤を整備して提供、経済の活性化を促すというもの。国内の中小企業が、ITを使用しないために競争力が弱まっているという弁は、3年ほど前から盛んに言われていたことだが、J-SaaSは、SaaSの利点を活かし、こうした状況に経産省が出した、ひとつの解と言える。

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