フォルマントが見えるボコーダー
──素人目線ではボコーダーが面白いわけですけど、エディターで何か変わったことはできますか?
金森 フォルマント(人声に特有のスペクトラム=倍音列のパターン)の形が画面で見られるんですよ。こんな感じですけど。
Denkitribe おおっ! これは紙のマニュアルには書いてなかったような気がしますよ。
──これはどうすれば出来るんですか?
金森 マイクに向かって声を出しながら「E.F.SENS」を右に回しきると「HOLD」に入ります。すると声を出さなくても、キーボードを押せば鳴るようになるんです。
──ちょっとサンプラーに似た感じですね。
金森 実際には声のスペクトラムを取っているだけなので、サンプリングではないんですけどね。このホールド状態で音色データを本体に保存します。それをエディター側で読み取るとスペクトラムがエディターに表示されるんですね。
──このパターンは人によって違うので、いろんな人にやってもらうと面白いんじゃないかな。
大田 microKORG XLのプリセットに入っている声も、実際の人間の音声を録ったものです(プリセットナンバーと音色名はA38 "A FEMALE"、B38"A MALE")。ホールドするタイミングに大きく左右されますが、女性と男性ではずいぶん違います。
やっぱり合奏が面白い
──他に何か変わったところはありますか?
大田 フィルターバランスと呼んでいますが、ハイパスとローパスの中間のサウンドなんかも作れます。
Denkitribe フィルターのモーフィングってなかなかないですよね。2つあるフィルターの接続順序を変えて、ハイパスとローパスを直列でつなぐこともできたり。そういえば「PUNCH LEVEL」ってなんですか? 確かにパンチは付くんだけど何をやっているんだろうって気になっていました。
大田 これはアタックの部分にオシレーターの波形1周期分を1回だけ出しているんです。タイミングによってはオシレーターの波形と重なって打ち消し合ったりして、毎回出方が違うんですが。
──クリックテクノ派には重宝しそうな仕掛けですね。僕はエディターが使えるようになって、microKORG XLの携帯性が生きてくると思いました。たとえばメールで受け取った音色データで練習して、みんなで合奏とか。
Denkitribe これの合奏やライブは面白いでしょうね。BPMを合わせてアルペジエーターを手シンクで弾くとか、オーディオ入力に対してエフェクトをかけられるので、ルーパーとして使ってみたり。
大田 じゃあもう1曲やってみましょうか。エフェクトのディレイを使って。
Denkitribe こ、これはまたすごい!
──もう仕事を止めて我々も遊びましょう。ではゴキゲンなコルグ本社から、皆さんごきげんよう!