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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第44回

超定番解凍ソフトLhazはなぜ無料なのか

2009年03月24日 10時00分更新

文● 古田雄介

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お金よりも自由を確保する。それゆえに「フリー」

―― 確かに新OSが登場するたびに経済的な苦労は避けられないですよね。64bit OSやWindows 7に対応する予定はありますか?

「以前、Windows Mobile用にソフトを作らないかと誘われたことがある」と語る

ちとら 今のところは考えていません。特に64bit OSとなるとハードウェア環境から揃えなくてはならないですが、無料でやっているということもあって、そこまでコストをかけるのは厳しいですね。

 ときどきユーザーの方から「Vista 64bitでも使えましたが、関連づけに関してこういう不具合がありましたよ」といった連絡を受けるのですが、こちらでは手の打ちようがないというか(苦笑) Windows 7も対応を検討するのは正式にリリースされたあとになりますね。


―― そうした苦労があると、有料化したいと思いませんか?

ちとら それはないですね。今まで一度も。個人的に、有料にできるほどのアドバンテージはないと思っているのと、シェアウェアの市場があまり発展していないと感じるところが大きいと思います。


―― シェアウェア以外にもカンパウェアにしたり、有名ソフトをきっかけにして企業にビジネスを持ちかけたりと、色々報酬を得る手段があると思いますが、そうした方向には行かないんですね。

ちとら そうですね。お金をもらったら、もっと本腰を入れてサポートしなくてはならなくなりますからね。なにより、趣味でソフト開発していたのに、それが仕事になってしまうのが苦痛だと思います。

 過去に一度、企業から「Windows Mobile用のLhazを開発してほしい」と依頼を受けたことがあるんです。たしかに興味があったんですが、技術的に「絶対できる」と断言できなかったのと、ソフト開発が仕事化するのがつまらないと思ってお断りしました。やっぱり、自分の好きな物、あると便利だと思ったものを好きに作れるということが重要なんですよね。


―― たしかに、ちとらさんのソフトは圧縮・解凍ソフト「Lhaz」や、着モーション作成ソフト「着もと」、 株価情報や売買判定ができるソフト「KB」など、ジャンルがバラバラですね。

ちとら 本当、とりとめもないですよね(笑) 「着もと」はPC内の音源をFOMAケータイの着うたとして利用するためのソフトです。対応がFOMAだけなのも完全に自分用というところから始めたのが理由ですからね。他のキャリアの方には申し訳ないですけど。

 ただ、「KB」は開発中ということになっていますが、あれはもう辞めようと思っています。以前、株をやっていたんですけど、損しかしなくて(笑) そんな人間が作ったところで信憑性がないかなと、やる気がなくなったんですよね。

 そういうふうに意欲に波があるんですが、その波のままに無理をしなくていいのが、フリーソフトの良い点だと思います。これが有料だったり企業と組んだものだったりしたら、責任問題になりますからね。

2004年3月から継続的にバージョンアップを重ねている「着もと」。現在の最新バーションは「Ver.4.1.0.4」となる。音楽データだけでなく、映像付きのファイルも「着モーション」にできる。FOMAユーザー必見のソフトだ

株価の収集や閲覧・売買判定ができるソフトで、こちらも無料提供する予定だったが、Ver.0.0.1の状態のままお蔵入りに

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