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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第44回

超定番解凍ソフトLhazはなぜ無料なのか

2009年03月24日 10時00分更新

文● 古田雄介

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自分の誕生日を記念して「Ver.1.00」を発表した

―― まずはLhazを開発したきっかけを教えてください。

ちとら氏。休日は私的なプログラミングに明け暮れる毎日という。ただし、自分がLhazの作者であることは、一部の友人を除いて、家族や同僚にも明かしていないとのこと。「自分のことが色々知られていると好きなことが言えなくなるといったことがあるので、ソフト作者の顔は現実社会と切り離しています」という

ちとら 一発解凍型のソフトを自分がほしかったんですよ。1999年当時はすでに定番の圧縮・解凍ソフトがいくつかありましたが、解凍したフォルダの置き場所が自由に指定できなかったり、解凍までの手順が少し多かったりしたので、それなら自分で作ろうと思い立ちまして。開発にかかったのは1ヵ月弱ですね。

 完成して使ってみたらけっこう便利だったので、皆さんにも喜んでもらえたらいいなと思い、そのまま公開した流れです。


―― ソフトを公開する際は、ご自分のサイトにアップするだけですか? それともVectorや窓の杜などのオンラインソフトの大手ポータルに自分で登録申請するのがスタンダードでしょうか?

ちとら 私の場合は両方でしたね。自分のサイトにアップして、Vectorにも掲載依頼のメールを送りました。Vectorの場合は掲載依頼が届くと、あちらの編集部で内容を審査して問題がなければ掲載してくれるという流れです。

 窓の杜は作者による掲載依頼ではなく、編集部がピックアップしたものを載せるスタンスなのでメールは送りません。しかし、まもなくして初版のLhazが窓の杜の小さな記事で取り上げられて、そこから注目度が一気に上がったと思います。

大手オンラインソフト総合サイト「Vector」にLhaz最新版のダウンロードページが用意されている。なお、月に2万回のダウンロードを記録しながらも、最新の総合ランキングは37位だったという。「上位のソフトは相当な勢いでダウンロードされていると思います」とのこと


―― なるほど。ちなみに、初版がVer.0.3のベータ版で、その後2001年12月4日に正式版ともいえる「Ver.1.00」となりました。それまでは、機能拡張やバク修正のたびに「Ver.0.7」や「Ver.0.98」といった小数点以下のバージョンアップでしたが、どんな機能をきっかけにメジャーバージョンアップしたのでしょう。

ちとら メジャーバージョンアップをする際は特別な思い入れはありますね。ただ、それまでに「Ver.0.99」まで進んでいたのと、ちょうど12月4日が自分の誕生日だったのが大きな理由です。機能云々というよりは気持ちの問題で、けっこう適当なんですよ(笑)

 そういう理由で、今年の6月にLhaz公開10周年を迎えるのを期に「Ver.2.00」を公開したいと思っています。特に目玉の機能拡張などは考えていませんが、Windows 98とMeのサポートはストップしようかなと考えていますね。


―― 古いバージョンまで動作を確認し続けるのは大変ですよね。現在はご自宅にWindowsの各バージョンが揃っていたりするんですか?

ちとら いえ、正直なことを申しますと、Windows XP Home Editionを搭載したノートPCしか使っていません。最近になってようやくWindows Vistaを入手したくらいですね。すべての環境を揃えるとなると、コストも馬鹿にならないんですよ。新バージョン開発後に旧型OSでの不具合などがあった場合は、ユーザーからの連絡で対応するといった感じですね。

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