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富士通フロンテックが9万円台の端末を発売!

個人で買えるカラー電子ペーパーが電子書籍も変える?

2009年03月19日 12時00分更新

文● 佐久間康仁/企画報道編集部

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 先週(3月12日)のブラザー工業(関連記事)に続いて、またも電子ペーパー端末が発表された。ブラザーは法人用途の大量のマニュアル/紙文書の運搬に対するソリューションで、モノクロのA4端末だったが、富士通フロンテックが3月18日に発表した「FLEPia(フレッピア)」は、個人向けに最大約26万色表示が可能なカラー8型(A5サイズ)という毎日持ち歩けるサイズを実現したパーソナルユースを目指す製品だ。

FLEPia

「FLEPia」の本体カラーはホワイトとブラックの2色展開。別売で専用ブックカバー(5800円)が用意されている

 といっても、価格は9万9750円と高価で、本を数冊まとめ買いするような気分で気軽に入手できるわけではない。本製品は、同社が2007年にサンプル出荷を開始(関連記事)した後に、さまざまな改良を施したものだ。


タッチパネルを電磁誘導に変えた理由は?

 具体的には以下のような点を進化させたという。

  • 明るさとコントラストの向上(各1.5倍)、書き換え速度の性能改善(1.7倍)
  • 無線LANに加えてBluetooth 2.0に対応し、Bluetooth対応携帯電話を経由して屋外でも電子書籍の購入が可能
  • 電子書籍アプリ「ブンコビューア(XMDF形式)」「T-Time(.Book形式)」をプレインストール
  • タッチパネルを抵抗膜方式から電磁誘導方式(付属ペンで操作)に変更
  • 従来の最高4096色表示から約26万色表示に色表現力を向上
  • SDHCに対応し、最大4GB(動作保証)の大容量メモリーカードを装着可能

 同社の電子ペーパーはカラー表示が特徴だが、従来のRGB16階調(4096色表現)を改良し、RGB各ピクセルの反射/透過の状態を混在させることで、多階調を実現したという。なお画面は反射式で、室内利用では1000ルクス程度の明るさ(読書や学習に適した照明)を推奨している。

 タッチパネルの方式を変えたのは、抵抗膜方式の場合、表側に空気層ができるため反射式の電子ペーパーの画面には不利なため。アクリル板1枚を重ねるだけで済み、透過率の高い電磁誘導方式に変更した。

 OSはWindows CE 5.0で、Webブラウザーやメールソフト、Office Mobileをプレインストール。無線LANアクセスポイントがあれば、単体で電子書籍を購入したり、メールに添付されたWord/Excel/PowerPointのファイルを閲覧することもできる。さらに、動作保証対象外だが、ユーザー自身でアプリの追加も可能だ。


電子書籍購入サイトも同時に立ち上げ
ソリューション展開を図る

ふれっぴ屋

電子書籍の購入ができる「ふれっぴ屋」を18日にオープンしている

 同社では電子書籍を購入したり、購入前の立ち読み(無料サンプルの入手)ができるサイト「ふれっぴ屋」を同時に展開。電子書籍の普及促進に努めている。また、より大きな12型(A4サイズ)や、コンパクトな6型(文庫本サイズ)も開発しており、これらについてもいずれ販売したい意向があるという。

 電子書籍は今、ケータイの小さな画面で読むというスタイルが少しずつ根付きつつある程度だ。この製品も価格ではまだ利用者を選ぶものの、端末とサービス(購入サイト)を同時に発表・展開してきたところに、同社の本気ぶりがうかがえる。


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