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BOOM BOOM SATELLITESや髭(HiGE)のMV監督が語る

ニコ動MADにイジられる喜び――長添雅嗣氏に聞く

2009年03月18日 14時15分更新

文● BUBBLE-B、西川仁朗/トレンド編集部

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映像ディレクターの長添雅嗣氏(左)のクリエイティブの秘訣に、ニコ動でもよく知られているBubble-B氏(右)が切り込んだ

 MV(Music Viedeo)や映画のビジュアル・エフェクツのツールとして、世界中のクリエイターに愛されるアドビ システムズの「Adobe After Effects」。

 このAfter Effectsを駆使した作品で、いま最も勢いがある映像ディレクターが長添雅嗣氏だ。

 同氏はBOOM BOOM SATELLITESや髭(HiGE)などのMV、映画「DMC」をフィーチャーした「パルコ」のCM映像、さらに宇川直宏氏のオリジナルプロジェクト「UKAWANIMATION」への参加など、多岐に渡る活動で熱い注目を集めている。

 2月に開催された、After Effectsの実制作現場で役立つTipsや最新テクニックを紹介するイベント「After Effects Night Vol.02」のバックステージで、同氏のクリエイティブの源泉について、映像リミキサーのBUBBLE-B氏が聞いた。

「After Effects Night Vol.02」のイベントで自身のオリジナルテクニックを紹介する長添監督

長添監督が実際に作成したタワーレコードのCMを元に実技を披露。あえてキヤノンの「EOS 5D Mark II」を使って撮影したそうだ


クリエイティブのルーツはストリートカルチャー

熱い注目を集める長添雅嗣氏。1979年生まれ。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後。クリエイティブ・スタジオteevee graphicsに参加。デザイナーとして数々のCF・MVを手掛けた後、映像ディレクターとして活動。最近ではCF、MVのみならずライブ映像、映画タイトルバック、プロダクトUI開発、TVブロードキャストデザインなども手がける。2008年夏に独立

BUBBLE-B 長添さんのMVをいくつか拝見しました。全体的なテイストとして感じたことなのですが、CGのクールな感じを前面に出すのではなく、どちらかというとアナログっぽい質感が際立ってますよね。手書きっぽい感じとか、雑なものを整然と見せている。特にイラストが映像の中で効果的に使われているように感じました。

 自分はあまり絵が得意じゃないんですが、長添さんの作品は色彩感覚が気持ちイイですよね。イラストが描ける人なんだろうなぁと考えながら、見ていたのですが。

長添 子供のころから絵は好きで描いてたんですけど、それこそドラゴンボールとかビックリマンとかの絵を描いてましたよ。中学ぐらいからスケボーやグラフィティアートなんかのストリートカルチャーにどんどん興味を持ち出したんですよ。これは言っていいかどうか分かりませんけど、結構描いてましたね。

 その辺がバックボーンに繋がっているのかなぁと思います。綺麗にまとまってなくてもいいから、とにかくアウトプットしたい、とにかく絵を描きたいという感覚で映像を捉えています。きれいに撮るのも好きですが、フィルムじゃなくてデジカメでもいいんじゃないのと。

 きれいなものはもっと大御所の人に作ってもらって、自分は「とにかくやりたいんだ」という勢いを大事にするようにしています。男らしいのが好きなので。

BUBBLE-B 確かに髭(HiGE)の「黒に染めろ」のMVでもそうですが、暴力的というか、ハードな感じはしましたね。長添さんはMVのお仕事が多いようですね。


黒に染めろ/髭(HiGE)


長添 もともと音楽は好きですし、MTVなどは見ていましたが、「MVを作りたい」とずっと思っていたわけではないですね。映像作品を作っていったら、いつの間にかMVの依頼が来るようになったという感じです。

 自分は1つ新しいものを作ったら何か壊したいんですよ(笑)。ロックじゃないけど、自分自身の中に破壊願望と言うか、「とにかく何か価値観を壊したい」という気持があります。それをやろうとすると、MVが一番いいフィールドなのかなぁと感じています。ロックのミュージシャンなんかは「誰もやっていないことをやろうよ」と言ってくれるので、仕事がやりやすいですよね。

 新しい価値観の創造をしたいし、「こういうのもカッコいいよね」と新しい提案をして、それを突き詰めていくと「破壊」に行き着くんです。

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