改革の成果はいつ? Cellテレビもいずれは登場?
――最後に、今回の機構改革が、成果として表われるのはいつ頃からになるでしょうか。アバウトな話ですが、「テレビにもレコーダーにもパソコンにもCellプロセッサーを載せて、半導体からソフトウェア、プロトコルまで共通された基盤を使おう」という流れには、さすがにならないでしょうかね。
本田 SCEにソニーの人材が出向したことで、ソニーにはCellを使いこなせる技術者が揃いました。PS3がある程度落ち着いて、ソニーに技術者が戻ってくれば、そのうちほかの製品にも載る可能性はありますよ。「でかい」と言われたCellも、90nm世代のプロセッサーですからね。
――今やCPUやDRAMは、半分の45nmプロセス世代ですものね。
本田 半導体はプロセス世代がひとつ進むと半分の面積になるので、45nmなら90nmの4分の1、35なら8分の1のサイズで作れます。
ですので、そのうちCellは家電にも載り始める可能性はあります。実際に東芝は、年内にCell搭載テレビの商品化を予定しています。ソニーから来年~再来年ぐらいにCellを活用する製品が出てきても、おかしくはない。もちろんそれは、明確な効果が得られるならばであり、別の方法のほうが成果を出しやすいなら、Cellにこだわることはないでしょう。
Cellが搭載されるかは、Cellを使って商品の魅力を高められるかどうかにかかっています。それはともかく、機構改革の成果が現れ始めるのは今年末。まずはVAIOに付属するソフトウェアなどで、顕著に現れるのではないかと予想します。例えばPS3との連携が密になるでしょう。BDレコーダーも成果を反映させやすい機器かもしれません。ウォークマンや携帯電話と、VAIOやPS3の繋がりは、今よりスムースになるでしょうね。
でも、機構が変わったからと言って、いきなり何かが変化するなんてことはないですよ。少しづつ変わる。だから、「あれ?ずいぶん製品レベルでも変わったな」と思えるようになるのは、2010年の末ぐらいからじゃないでしょうか。
――パソコンの場合、企画開始から1~1年半程度で商品化が通例のようですので、今から始めると、商品になるのはちょうどそれくらいですね。