このページの本文へ

パソコンの新たな使い方を実現!?――ターボリナックス、携帯OS『wizpy』の価格やサービスを発表

2007年01月31日 20時27分更新

文● 編集部 小西利明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ターボリナックス(株)は31日、ポータブルメディアプレーヤー機能と“携帯OS機能”をあわせ持つ独自の機器『wizpy』(ウィズピー)を、2月23日から同社直販サイトで発売すると発表した。3月9日からは量販店店頭での販売も開始される。価格は2GBモデルが2万9800円。4GBモデルが3万3800円。なお2006年11月の発表時の情報は、こちらの記事を参照のこと。

OSを持ち運び、接続したパソコン上で自分の環境を構築する異色のデバイス『wizpy』
OSを持ち運び、接続したパソコン上で自分の環境を構築する異色のデバイス『wizpy』
wizpyでTurbolinux FUJIが実行されたノートパソコン。低スペックのパソコンでも、インストールの手間なしでLinux環境にできる
wizpyでTurbolinux FUJIが実行されたノートパソコン。低スペックのパソコンでも、インストールの手間なしでLinux環境にできる

wizpyは単体ではMP3やMPEG-4の視聴が可能なポータブルメディアプレーヤーとして機能するが、USB経由でパソコンに接続してパソコンを起動すると、wizpy内に内蔵するLinux(Turbolinux FUJI)が起動して、どのパソコンでも自分の環境やデータが扱えるという変わり種のデバイスだ。あえて言うなら、携帯OSマシンといったところだろうか。

同日、同社本社にて開かれた記者説明会で、代表取締役社長の矢野広一氏はwizpy開発に至る、同社の考えや取り組みについて説明した。矢野氏はオープンソースソフトウェア、中でもLinuxのビジネス領域がサーバー用途主体になるなかで、同社はデスクトップOSとしてやっていこうと3年ほど前に決めたと、過去を振り返って述べた。そしてパソコンにインストールせずに使えるOSを実現すべく、開発を始めたのがwizpyであったという。矢野氏や同社wizpy事業部の中尾貴光氏は、wizpyの大きなメリットとしてOSごとデータを持ち歩ける点を挙げ、固定電話が携帯電話へと移行したように、据え置かれたパソコンを使うことから、wizpyによってどのパソコンでも自分のパソコンに変えてしまうことで、パソコンの新しい使い方を提案したいとしている。

wizpyは小型(幅42×奥行き84×高さ11mm)のボディーに、2GBか4GBのフラッシュメモリーを内蔵している。OSやアプリケーション用領域として1GBがあらかじめ確保されているほか、残りの領域はWindowsからも見えるストレージ領域として残されている。パソコンがUSB接続CD-ROM経由で起動できる場合、wizpyをUSB経由でつないで起動するだけで、wizpyからTurbolinuxが読み込まれて、そのパソコン上で起動する。そのため、どんなパソコンでもwizpy経由で起動するだけで、同じLinuxマシンに早変わりする。CD-ROM 1枚で起動するタイプのLinuxを、USB接続フラッシュメモリー上で実現したものとイメージすれば分かりやすい。USB経由での起動ができないパソコン向けに、起動用CD-ROMも製品に付属する。

Linux自体の軽さもあって、Linuxが実際に稼働する“ホストPC”は、CPUが1GHz以上、メモリー256MB以上(推奨512MB)と、Windows Vistaに比べれば低スペックのパソコンでも動作可能であるとしている。同社では低スペックな休眠パソコンや中古パソコンでも最新のOSが使用できる利点を挙げている。

wizpy内にはTurbolinux FUJIのほかに、ウェブブラウザーとして“Firefox”、メールクライアント“Thunderbird”、IP電話ソフト“Skype”、オフィススイート製品“OpenOffice”(4GB版のみ)などがプレインストールされている。作成したデータの保存はwizpy内に行ない、Linuxが実際に稼働している“ホストPC”側のHDDは、読み込みも書き込みもできないようにされている。これによって作成データもwizpyと共に持ち歩けるメリットが生まれるほか、間借りしているホストPC側のHDDを覗き見たり、データを盗み出すようなセキュリティー上の問題も防げるとしている。

wizpyにプレインストールされるソフト

インターネット関連
ウェブブラウザー Firefox
メールクライアント Thunderbird
IP電話 Skype
オフィス
オフィススイート OpenOffice.org 2.1
PDF閲覧 Adobe Reader 7.0
マルチメディア
CDリッピングソフト
DVDリッピングソフト(ベータ版)
メディアプレーヤー Turboメディアプレーヤー/RealPlayer 10 for Linux
Flash再生 Flash Player for Linux
言語ツール
日本語IME ATOK for Linux
フォント リコーフォント 5書体

OS丸ごととデータを持ち歩ける利点を生かして、同社ではいくつかの利用シーンを定義して、wizpyの利便性をアピールしている。たとえばビジネスユーザーの場合、wizpyがあれば出張先のパソコン(例えば日本語以外のOSが入っているパソコン)でも、自分の使い慣れた環境とアプリケーションで作業が行なえるとしている。また学校教育の現場ではLinuxの採用事例が増えているとのことで、学校と同じLinux環境を、生徒が自宅のWindowsパソコン上に持ち込んで作業できるとしている。

また同社では2月23日から、wizpyユーザー向けのオンラインサービス“wizpy Club”を開始することも発表した。wizpy向けのOSアップデートや“プラグイン”としてのアプリケーション配信、500MBのネットワークストレージサービスなどが用意されるほか、wizpyユーザー同士のコミュニケーション促進を目指したSNS“wizpyコミュニケーション”も展開する。wizpy Clubの利用料は、初年度は製品価格に含まれるため無料。次年度以降は有料(年間4800円程度を想定)となる。

wizpyの販売スケジュールだが、本日から同社直販サイトで“初回限定品”(Turbolinuxのロゴ入り)の予約受付が開始されている。2月23日には同サイトにて限定品の販売が開始され、3月9日にはパソコン量販店等での一般販売が開始される予定である。また3月10日には秋葉原にて、先着で割引クーポンがもらえるwizpy製品体験会が開催される。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン