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イカを釣り、建設重機を遠隔操作! “「今年のロボット」大賞2006”展示会

2006年12月22日 19時47分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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東京・北青山の青山TEPIAで22日、“「今年のロボット」大賞2006”の優秀賞受賞ロボットの展示会が開幕した。会期は23日までで、入場は無料。主催は経済産業省/(社)日本機械工業連合会/(独)中小企業基盤整備機構/(株)日本経済新聞社。

青山TEPIA「今年のロボット」大賞2006の展示会が行なわれた青山TEPIA

大賞に選ばれた“エレベーター連動清掃ロボットシステム”『RFS1』(富士重工業(株)/住友商事(株))を始め、10のロボットたちが展示され、その多くが動作デモを行なった。受賞ロボットは以下の通り。

「今年のロボット」大賞2006(経済産業大臣賞)

  • “ロボットによるビルの清掃システム”(富士重工業/住友商事)

中小企業特別賞

  • 『KHR-2HV』(近藤科学(株))

審査員特別賞

  • 食事支援ロボット『マイスプーン』(セコム(株))

優秀賞(上記3件を含む全10件)

サービスロボット部門
アザラシ型メンタルコミットロボット『パロ』((株)知能システム/(独)産業技術総合研究所/マイクロジェニックス(株))
産業用ロボット部門
人共生型上半身ロボット“MOTOMAN”『DIA10』、腕ロボット“MOTOMAN”『IA20』((株)安川電機)
人の能力を超えた高速高信頼性検査ロボット((株)デンソー)
公共・フロンティアロボット部門
遠隔操縦用建設ロボット『ロボQ』(国土交通省吸収整備局九州技術事務局/(株)フジタ)
深海巡航調査機『うらしま』((独)海洋研究開発機構)
中小企業・ベンチャー部門(部品含む)
移動ロボット用の小型軽量な測域センサー“URGシリーズ”(北陽電機(株))
はまで式全自動イカ釣り機((株)東和電機製作所)

ASCII24ではおなじみの、犬型ロボット“AIBO”(ソニー(株))やパーソナルロボット“PaPeRo(パペロ)”(日本電気(株))、生活支援ロボットの“apri君(アプリくん)”((株)東芝)などの姿は見られず、すでに実用化され稼働実績のあるロボットが表彰されたようだ。

アザラシ型ロボットのパロ 子どもは飽きずに触っていた
子どもに人気だったアザラシ型ロボットのパロ。左写真の右側は市販されていないチャコールグレーのモデル

例えばアザラシ型ロボットのパロは2005年の発売から国内で800台を売り上げ、欧州や北米など海外にも研究目的で出荷されているという。800台の内700台は研究対象やレンタル業務などだが、100台は個人・福祉施設などに販売され、高島屋では店頭販売も行なわれている。会場には市販のホワイト/ゴールドの2色のほか、2005年の愛・地球博向けに限定生産されたチャコールグレーとサクラ色も展示され、会場に来ていた子どもたちに人気を博していた。

高速光信頼性検査ロボット エラーを発見したところ
丸い部分が緑色LEDライトのフラッシュになっており、中心のカメラで決められた角度から完成品を瞬く間に撮影する撮影した画像はモノクロで、正しい映像と比較検討した上で、エラーがあるとそのポイントを図示する。画面は必要なネジ1本が欠けているため、スコアが0.534(最大値は1.000)と規定に達せず、エラーがあることを発見したところ
デンソーの高速光信頼性検査ロボット
富士重工業と住友商事のビル清掃ロボット ビル清掃ロボットの機能図解
2001年4月に東京・晴海の晴海トリトンスクエアに導入されており、累計5060時間の稼働実績があるというビル清掃ロボットの機能図解。上部の光伝送措置からエレベーターを呼び出し、指定フロアーに移動して清掃を続ける
「今年のロボット」大賞2006を受賞した、富士重工業と住友商事のビル清掃ロボット
マイスプーン
食事支援ロボットのマイスプーン。フォークはスプーンよりも飛び出さない構造になっており、口を傷つける心配はない

審査員特別賞を受賞したマイスプーンは、四肢に障害がある方でもあごでジョイスティックを操作することによる食事が行なえる介護支援ロボット。あらかじめ決められた4マスの弁当箱に固形の食べ物を配膳しておけば、介護者がなくとも一人で食事ができるという。

手順はこうだ。まずジョイスティックの4方向(上下左右)で4マスのいずれかを選択する。選択されたマスの左端にスプーンとフォークを組み合わせたアームが伸びて準備完了。続いて上下と右にスティックを動かして食べ物のそばまでスプーンとフォークを動かす。最後にスティックを左に倒せばスプーンですくってフォークで挟むように食べ物を持ち上げ、あらかじめキャリブレーションしておいた口元に運んでくれる。あとは唇がスプーンに触れるとフォークが引っ込み、食べられるという仕組みだ。

適切なタイミングでボタンを押すといった複雑な動作を省いて、4方向の入力だけで済むこと、また万一頭を傾けるなどしてスプーンとフォークが体に当たりそうになっても、触感センサー(静電誘導方式)で緊急停止し、モーターのトルクも手や指を挟んだりしない程度の弱さ(食事は50g程度まで)になるなど、“フェイルセーフ(安全性優先)”の設計となっている。なお、スプーンとフォークで挟める食べ物は、柔らかいものでは豆腐でも大丈夫で、ご飯は小分けにせず普通に盛りつけても口に運べるという。

ショベルカーのコックピットに装着したロボQ本体 説明員に装備してもらったところ
危険な場所での重機操縦を、遠隔地から行なえるロボQ

“男の子ゴコロ”をくすぐる展示としては、フジタの遠隔操縦用建設ロボットのロボQがユニークだ。土砂崩れの現場など人が入るのは危険な場所で、ブルドーザーやショベルカーなど建設用の重機を遠隔地から操縦できるロボットで、左右の無限軌道(いわゆるキャタピラー)とスコップなどを個別に操縦するアームを空気圧で操作し、頭部のカメラで操縦席や前方の様子を映像で伝送する。

操縦者のほうは、ビデオ用バッテリーと受像器を納めたバックパックを背負って、3本のジョイスティックとスロットルなどを持つコントローラー(操縦送信機)を手に、ヘッドマウントディスプレーを装着して、運転席をバーチャル体験しながら操作できる。無線伝送方式は429MHzの特定省電力無線で、操作可能距離は150m程度。取り付けは2~3人がかりで3時間程度で行なえるという。

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