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T-Engineフォーラム、8bit CPUでも動く組み込み向けリアルタイムOS“μT-Kernel”の開発を発表

2006年12月01日 19時01分更新

文● 編集部 小西利明

μT-Kernelのリファレンスコードが開発された“Dice”のCPUを掲げる、T-Engineフォーラム会長の坂村健氏
μT-Kernelのリファレンスコードが開発された“Dice”のCPUを掲げる、T-Engineフォーラム会長の坂村健氏

ユビキタスコンピューティング技術の標準化・推進団体である“T-Engineフォーラム”は1日、8bitや16bitの小規模CPUを対象としたリアルタイムOS“μT-Kernel”(マイクロティーカーネル)の開発に成功したと発表した。リファレンスコードは、フォーラム会員向けに無償公開を開始したほか、一般公開も2007年度に予定されている。

μT-Kernelは、32bit以上のCPUをターゲットとしたリアルタイムOS“T-Kernel”を元に、小型の組み込み機器向けに開発されたOSである。同日、東京都内にて開催された説明会では、同フォーラム会長で“YRPユビキタス・ネットワーキング研究所”(以下YRP)の所長でもある坂村健 東京大学教授により、μT-Kernelのコンセプトと特徴などが説明された。

坂村氏はまずμT-Kernelについて、「世界最小のOSを目指す」「小さいもので動かすことに注力した」と述べ、メインターゲットとする8~16bitのCPUに対応するために、T-Kernelから一部機能を省略したサブセット版とする一方で、小型組み込み機器に求められる機能は逆に追加を行なうなど、単なる縮小版ではなく、小型組み込み機器での用途に合わせて決定された仕様であるとした。

T-Kernelファミリー中でのμT-Kernelの位置づけ。家電の中のマイコンに使われる用途を想定している T-Kernelファミリー間の互換性およびμITRONとのミドルウェア流通を示す図。既存のソフトウェア環境との互換性/共通性の高さが特徴である
T-Kernelファミリー中でのμT-Kernelの位置づけ。家電の中のマイコンに使われる用途を想定しているT-Kernelファミリー間の互換性およびμITRONとのミドルウェア流通を示す図。既存のソフトウェア環境との互換性/共通性の高さが特徴である

既存の組み込み機器向けリアルタイムOSとの互換性も重視されている。T-Kernel、MP T-Kernel(※1)とは、サービスコールや型定義を原則共通化している。またデバイスドライバーの管理機能を持たせたり、リアルタイムOSとしての挙動も統一するなど、ソフトウェアの移植を容易にしている。同様に、μITRONとの間でもソフトウェアの移行を容易にする配慮も行なわれている。μITRON 4.0で導入された、ミドルウェア互換性を保つルールと言える“ベーシックプロファイル”に則して作成されたミドルウェアであれば、容易に移行が行なえるという。坂村氏は後述する開発環境と合わせて、このミドルウェア互換性によるミドルウェアの流通の重要性を強調した。

※1 マルチプロセッサー/マルチコア対応版T-Kernel

μT-Kernelの提供については、まずYRP製のRFIDタグ“Dice”(ダイス)と、ARM7に対応したリファレンスコードを同フォーラムが開発。それを無償で公開する。またリファレンスコードを元に、CPUベンダーが自社の組み込み向けCPUに移植を行なう。μT-Kernelの発表に合わせて、富士通(株)、ルネサス テクノロジ(株)、NECエレクトロニクス(株)が、それぞれのCPUで動作するμT-Kernelの開発を発表している。坂村氏は現時点ですでに、リファレンスの2CPUと3社の4CPUの計6種類のCPU上で、μT-Kernelが移植されている点を挙げて、μT-Kernel自体の移植が容易であるとしている。

YRP製のRFIDタグ(アクティブタグ)向けシステム“Dice” 英アーム社のARM7ベースのシステム
YRP製のRFIDタグ(アクティブタグ)向けシステム“Dice”英アーム社のARM7ベースのシステム
μT-Kernelのリファレンスコードが対応するシステム
ルネサス テクノロジの“M16C/62P” ルネサス テクノロジの“SH7145”
ルネサス テクノロジの“M16C/62P”ルネサス テクノロジの“SH7145”
富士通“Ansel-Tea/FR” NECエレクトロニクス“V850E-MA3”
富士通“Ansel-Tea/FR”NECエレクトロニクス“V850E-MA3”
リファレンスコードが移植されたCPU

また開発環境については、オープンソース開発環境として幅広く利用されている“Eclipse”向けに、μT-Kernel用プラグインを提供する。これにより、Windowsベースの統合開発環境で、比較的容易にソフトウェア開発が行なえるとしている。

統合開発環境“Eclipse”向けμT-Kernel用プラグインのデモ。メニューから簡単にμT-Kernelのコードを加えられる
統合開発環境“Eclipse”向けμT-Kernel用プラグインのデモ。メニューから簡単にμT-Kernelのコードを加えられる

μT-Kernelのライセンス方法としては、“T-License”と称するライセンス契約に基づき行なわれる。リファレンスコードはライセンス契約に基づいて無償公開されるが、“GPL”(GNU General Public License)とは異なり、ベンダーが独自にコードを改変しても、改変コードの公開は要求されない。坂村氏はこれを「見せたくないものは、見せなくていい」と、簡潔な言葉で表現した。組み込みCPU向けにμT-Kernelを実装する場合には、最適化のためにリファレンスコードを改変することは避けられない。しかしこうした改変作業はベンダーのノウハウが詰まったものであるため、改変コードの公開を必須としてしまうことは、組み込みCPUに求められる環境ではそぐわないということだ。

μT-Kernelについては、5日から東京国際フォーラムにて開催される展示会“TRONSHOW 2007”会場で、対応ボードやデモシステム、アプリケーション例が公開される予定。また開発者向けのセミナー(すでに満員)や体験デモも行なわれる予定である。

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