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セルシス、電子コミックの拡大に向け、ビューアーの無償提供プランを発表

2006年11月29日 18時30分更新

文● 編集部 小林久

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(株)セルシスは29日、携帯電話機用の電子コミックビジネスの拡大を図るため、iモード用の非営利サイトやユーザーサイトで、ビューアソフト『BookSurfing』を原則無料で利用できるようにすると発表した。2006年12月中旬から、順次対応を進め、来年1月には対応サイトが登場する見込み。

セルシスの川上代表取締役
セルシスの川上代表取締役

BookSurfingは、携帯電話機でマンガコンテンツやグラビア写真集などを閲覧するための電子書籍ビューアー。パケット定額が利用でき、QVGA(240×320ドット)以上の液晶ディスプレーを備えた3G携帯電話機向けのアプリケーションとして、現在普及が進んでいる。セルシス代表取締役の川上陽介(かわかみ ようすけ)氏の話では「1~2万のファイルが毎月増えており、20万を超すコンテンツが利用できる状況にある」という。

現状では、携帯電話キャリアーが提供する“公式メニュー”の中で、電子書籍配信に分類されるサイトのみに有償で提供されているが、今後は利用料金を取らずに電子書籍を配信しているサイトであれば、無償でBookSurfingの再配布が行なえるようになる。

また、有料サイトでも電子書籍以外のコンテンツを中心に扱うiモード公式サイトや、インターネット上にある非公式の電子書籍配信サイトであれば、原則無料でBookSurfingを再配布できるようにする。この場合、無料になるのは月間4万ダウンロードまでで、それを超過した場合は1ファイルあたり2円の追加料金が必要になる。



携帯電話機での利用イメージ
携帯電話機での利用イメージ
拳鋼少女リク/月刊少年ブラッド (C)2006 弐篠重太郎/MOVIDA ENTERTAINMENT株式会社

一方、“au”や“Softbank”ブランドの携帯電話機向けのサイトに対しては、同社の『ComicStudioEnterprise』で作成したマンガコンテンツを、ドラッグ&ドロップでFlashに変換するツールを無料で提供する。変換したファイルは、アドビシステムズ(株)の『Macromedia Flash Lite』で閲覧できる。Flash Liteに変換した際には、携帯電話機のローカル保存できないなど、一部機能に制限が出る。

携帯用のFlash
ComicStudioEnterpriseのEffect Neoで作成したコンテンツを、Flash Lite用に変換したもの。変換ツールのGUIなどは今後作り込んでいくという

さらに、セルシスではパソコン用ビューアーの無償提供も行なう。このビューアーに対応したファイルは、ComicStudioEnterpriseに含まれるオーサリングツール『Effect Neo』と『Effector HandsFrame』から、直接出力することが可能。ファイル形式はこちらもFlashだが、見開き表示や紙芝居表示(コマ単位でエフェクトを付けながら再生する方法)といった、ComicStudioの機能に対応するため、専用ビューアーにしたという。

パソコンビューアー(1) パソコンビューアー(2)
パソコン用のビューアー。全体を見開き表示したり(写真左)、部分的な拡大を行なうことが可能(写真右)

BookSurfingは、現在ここ1年で導入が急速に進み、現在220サイトが利用。そのうちの150サイトは1年以内に立ち上がったものだという。現状では導入サイトのうち、53.4%がコミックの配信サイトで、これにグラビア配信が23%、アニメや動画が11%、電子書籍総合サイトが5.2%が続く。一方で、キャラクターサイトなどで配信されるコンテンツのバリエーションとしてコミックを扱いたいというニーズも増えており、今回のターゲットにはこういったサイトも含まれている。

新サービスの狙い
ユーザー層の拡大が新サービスの狙いだ

同社の試算では、月額利用料金をベースにした市場規模は年間100億円程度。ビューアーソフトの利用料金を原則無償とすることで、この市場をさらに広げていきたいと、川上氏は話していた。

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