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イーフロンティア、『Shade 9』シリーズを発表──ユーザーコミュニティーも拡充

2006年11月06日 21時35分更新

文● 編集部 広田稔

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(株)イーフロンティアは2日、3Dグラフィックス作成ソフト“Shade”シリーズの最新版となるバージョン9を12月8日に発売すると発表した。ラインアップと価格は以下のとおり。

製品名 対象 価格
『Shade 9 Professional』 上級者向け 10万5000円
『Shade 9 Standard』 標準版 4万5000円
『Shade 9 Basic』 入門者向け 1万2800円
Shade 9
『Shade 9』パッケージのイメージ。実際のパッケージは変更される可能性がある

Basicには、ほかのグラフィックスソフトのユーザーが購入できる3000本限定の“優待版”が用意される(価格は1万2800円)。アカデミック版は、Professionalが4万9800円、Standardが2万4800円、Basicが8500円となっている。

このほか旧バージョンからの乗り換えになる“バージョンアップ”、旧バージョンから上位バージョンに乗り換える“グレードアップ”も同社のオンラインショップで取り扱う。

各パッケージには、Windows版とMac OS X版の2種類がある(価格は同等)。対応OSはWindows XP SP2/XP x64 Editipn/2000 SP4、Mac OS X 10.3.9以上で、Windows Vistaにも対応予定だ。対応機種は、Pentium III以上/Athlon XP以上のCPUを備えたPC/AT互換機(64bit版ではEM64T/AMD64対応のCPU)、PowerPC G4/G5かインテル製CPUを備えたMac。

主な新要素としては、レンダリングの高速化、インターフェースの改良、煙などを作る“パーティクルフィジックス”や毛髪を作成する“ヘアーサロン”といった機能の追加などが挙げられる。

パーティクルフィジックス

パーティクルフィジックス 物理演算
ProfessionalとStandardに追加されたパーティクルフィジックス。パラメーターの設定で、煙、爆発、竜巻、噴水、炎などの静止画/動画オブジェクトを作れる。写真右のように物理演算の機能も備えており、引力や空気抵抗といった周囲の環境を設定可能だ

ヘアーサロン

ヘアーサロン
ヘアーサロンを使った作例。この機能もProfessionalとStandardが備えている。今まで時間がかかっていた毛髪のモデリングが、マウスのドラッグ操作などで短時間で作れるようになった
オリジナル はさみでカット
バリカンでカット ドライヤーで整える
ヘアーサロンの利用例。オリジナルの人物(左上)に毛を生やし、はさみツールや(右上)、バリカンツールで短くカット(左下)。髪の毛のテクスチャーを貼り付けて、ドライヤーツールで形を整える(右下)──といった流れになる。レイヤー機能も備えており、例えば髪の毛を2層に分けて作成して、上の層の髪だけ編集することも可能だ

パララックスバンプマップ

バンプマップ パララックスバンプマップ
そのほか、新たに“パララックスバンプマップ”機能もすべてのグレードに追加された。単なるバンプマップ機能は従来も備えていたが、これはオブジェクトの表面に凹凸があるように見せかけるもので、例えばバンプマップ上に影を落とすと凹凸が反映されなかった(左図)。一方、パララックスバンプマップでは、高さのパラメーターの入力で形状として凹凸が付くので、落とした影にも段が付いている。Shadeが得意とする建築物の分野では、石畳やレンガの上に影を落す際に役立つだろう

ちなみにレンダリング速度に関しては、同社の社長室CG Studio 開発準備委員長、園田浩二氏が、「レイトレーサーは2倍ほど速くなっている。簡単に2倍と言うけど、CPUのクロック周波数が倍になるのと同じ効果」とコメントしていた。


「日本のクリエーターを応援していきたい」

イーフロンティアの代表取締役、安藤健一氏
イーフロンティアの代表取締役、安藤健一氏

製品発表に合わせて、2日に開催された説明会では、イーフロンティアの代表取締役、安藤健一氏が登壇。Shadeが国産ソフト、かつ20年以上の歴史があることに触れ、「パソコンのクリエイティブツールの世界では、日本製以外のものが非常に多いと実感している。パソコン自体のハードやソフトが米国から発信されることが多い中、かたくなに日本製を貫いてきた」と、自社製品への自信を見せた。

また安藤氏は、今回発表したShadeを軸に、3Dキャラクター作成ソフト『Poser(ポーザー)』、3D景観作成ソフト『Vue(ビュー)』、今年6月に買収した仏エオビア・ヨーロッパ(Eovia Europe)社の3Dグラフィックソフト『Amapi(アマピー)』といった同社の一連の3Dグラフィックスソフト群を「イーフロンティアのグループをあげて、日本以外のクリエイタ-にも普及させていこうという活動を続けている」と発言した。

一方で「日本のクリエイターの作品が世界に羽ばたけるように応援していきたい。そのために、ソフトのような技術面だけでなく、サービスやコミュニティーなども提供していく」と、新サービスの展開を明らかにしている。

具体的なプランとしては、同社の社長室 アライアンスプロデューサー、今井宏紀氏が、3Dデータの受託作成を行なう“EF-Studio”事業の設立、オンラインコミュニティー“Shade online”の拡充、同社初となるインターンシップ制度の導入などを解説した。



EF-Studio
Shadeを使った3Dグラフィックス作成を請け負うEF-Studio事業。Shadeを使う個人クリエーターで、一人で完結できない作業などをイーフロンティアに発注できる。Shade 9 Professionalの通常版には、初回の作業費用を割り引くクーポンが付属する
コミュニティー
自分で作ったCGを投稿し、海外のグラフィックスユーザーと意見交換できるようなコミュニティーサイトを構築する予定
コミュニティーの関連
今井氏によれば、ウェブコミュニティーやインターンシップの導入によって「学生、プログラマー、一般ユーザーの間で情報が開示され、よりよい作品作りが可能になる」ことを目指すという


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