【Smartphone Show 2006 Vol.1】シンビアンのクリフォードCEO「スマートフォンは、固定電話を“Leapfrog”して普及する」
2006年10月18日 16時28分更新
“Symbian OS”の搭載製品に特化したイベント“Smartphone Show 2006”が、イギリスのロンドンで17日(現地時間)に開幕した。
17日に基調講演を行なった英シンビアン社CEOのナイジェル・クリフォード氏。講演のタイトルは、“Welcome to the Smartphone Lifestyle”(スマートフォンのあるライフスタイルへようこそ)というものだった |
主催の英シンビアン(Symbian)社によると、事前登録を済ませた来場だけでも4000人を数え、総来場者数では昨年の4000人を上回る見通しだという。出展社数は120社と昨年に比べ減っているが、それでも関心の高さがうかがえる。初日には、シンビアンCEOのナイジェル・クリフォード(Nigel Cliford)氏による基調講演が行なわれた。
スマートフォンを牽引するのは
インターネットアクセス手段として利用される第2の世界
Symbian OSを搭載したスマートフォンは、現在100機種を超え、世界250の携帯電話オペレーターを通じて販売されている。2006年上半期までの累計出荷数は8千万台。そのうちの5割にあたる4000万台が、過去18ヵ月以内に販売されたものだという。2008年には、2億台に達する見込みで、2010年までには、デスクトップパソコンやノートパソコンの年間出荷台数(それぞれ2億台弱で頭打ち)を上回る年間3億台に達するという。
クリフォード氏は“Leapfrog”(馬飛び)という言葉で、これから起こる現象を説明した。現在の世界は2つにわかれている。1つ目の世界は「パソコン、ブロードバンド、固定電話回線網が普及している世界」で、もう1つが「パソコンも固定電話回線網もインターネットも普及していない世界」である。後者の世界でも情報に対する需要は高く、ここでは固定回線網が普及するよりも早く、携帯電話によるインターネットへの接続が普及すると同社では考えている。つまり、固定電話の世界を“飛び越えて”、携帯電話の世界を迎えることになる。これらの地域では、“インターネットにアクセスするためのツール”としてスマートフォンの需要が高まるのではないかと、クリフォード氏は話す。
2つ目の世界に属している中国では、2006年上半期のスマートフォン販売台数が、2005年上半期に比べ140%も増えた。世界で販売されているスマートフォンの6台に1台は、中国で販売されたものだ。
同時にクリフォード氏は、5年後に起こる“3つの予測”を示した。第1に、全世界で販売される携帯電話機の約30%がスマートフォンになること。第2に、世界で販売されるスマートフォンのうち、50%は前述の“固定電話の世界を飛び越えた経済圏”で販売されるということ。最後がインターネット接続の50%は携帯電話機を通じて行なわれることである。
クリフォード氏は、5年後の見通しとして3つの予測を示した | シンビアンのシェアは米国では低い | 『Symbian OS v9.3』のロードマップ。OSレベルでのWi-Fi対応が予告されている |
講演終了後の質疑応答で、シンビアンの北米でのシェアが低い点について質問されたクリフォード氏は「北米では、最近になってノキア(Nokia)や、携帯電話キャリアーのシンギュラー(Cingular)が本格的な取り組みを始めたばかりで、それに期待している」と答えた。また、スマートフォン向けのOSとして競合する“Windows Mobile”については「世界的に見ればシンビアンのほうが圧倒的にシェアが高い。シンビアンのエコシステムにおいては、シンビアンに関わっているすべての企業が利益を上げられることを念頭に置いて活動しており、それがSymbianの強みになっていると」と答えた。
Smartphone Show 2006は、ロンドン東部にある“ExCel”(エクセル)というイベントホールで開催されている |