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インテル、クアッドコアCPUのロードマップやパフォーマンスを説明

2006年10月16日 20時17分更新

文● 編集部 小西利明

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11月に登場予定のクアッドコアCPU搭載Xeon“クアッドコア インテル Xeon プロセッサー 5300番台”の実物 クアッドコアXeonを掲げる、インテル マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の平野浩介氏
11月に登場予定のクアッドコアCPU搭載Xeon“クアッドコア インテル Xeon プロセッサー 5300番台”の実物クアッドコアXeonを掲げる、インテル マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の平野浩介氏

インテル(株)は16日、東京都内にて開催した報道関係者向けの説明会で、2006年11月に発売予定のクアッドコアCPUの特徴やロードマップなどについての説明を行なった。

DPサーバー向けのClovertownを搭載するデモマシン。2つのClovertownを搭載する デモシステム上でベンチマークテストを実行している様子。4つのコアが2つ分で計8CPUが動いている
DPサーバー向けのClovertownを搭載するデモマシン。2つのClovertownを搭載するデモシステム上でベンチマークテストを実行している様子。4つのコアが2つ分で計8CPUが動いている

今回行なわれた説明会の内容は、9月に米国で開催された“Intel Developer Forum Fall 2006”を踏まえたもので、サーバーからデスクトップパソコンに渡るクアッドコアCPUに関する具体的なロードマップや、おおまかなアーキテクチャー上の特徴などが説明された。説明を担当した同社マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の平野浩介氏は、ムーアの法則の追求によりトランジスターの集積度は向上を続け、2006年には多数のデュアルコアCPUを市場に投入するなど、“当たり年”になったと述べた。

2006年に登場した/今後登場するサーバーとデスクトップクライアント向けCPU MPサーバー向けのXeon 7140Mと、同カテゴリーのAMD Opteronとの性能比較。インテルがOpteronとの性能比較を公表するのは珍しいことだ
2006年に登場した/今後登場するサーバーとデスクトップクライアント向けCPUMPサーバー向けのXeon 7140Mと、同カテゴリーのAMD Opteronとの性能比較。インテルがOpteronとの性能比較を公表するのは珍しいことだ

2006年11月に投入予定のクアッドコアCPUは、ハイエンドデスクトップ向けの“Core 2 Extremeプロセッサー”(コード名Kentsfield)と、デュアルプロセッサー搭載サーバー(DPサーバー)向けの“クアッドコア インテル Xeon プロセッサー 5300番台”(コード名Clovertown)の2種類。また2007年には一般的なデスクトップパソコン向けに、“インテル Core 2 Quadプロセッサー”のブランド名で投入される。平野氏はクアッドコアCPUの性能について、現在最新のCore 2 Duo系列CPUと比べて、最大50%の性能向上が期待でき、ソケットやプラットフォームは既存のシステムを流用できるとしている。気になる価格については、「クアッドコアにしたからと言って倍にはならない。(デュアルコアと)まったく同じというわけではないが、1番上の製品だけが(価格帯で)飛び出る感じ」と述べて、クアッドコアCPUでも現状とそれほど価格面で変わることはないと示唆した。

Coreマイクロ・アーキテクチャーベースのクアッドコアCPUの構造と特徴
Coreマイクロ・アーキテクチャーベースのクアッドコアCPUの構造と特徴

KentsfieldやClovertownなどは、現行のCore 2 Duoプロセッサーのダイを使い、1つのCPUパッケージに2つのダイを収納する形でクアッドコアを実現している。その設計方針については疑問の声があがることもあるが、平野氏はこの設計の利点について、現存技術を有効利用することでの迅速な製品投入や、1ダイでクアッドコアを実現するよりも歩留まりが高い点、デュアルコア製品とウェハーを共有できるためコストメリットもあるといった利点を挙げた。また消費電力についても、クアッドコアXeon 5300番台と現行のXeon 5100番台では、メインストリーム製品は80W程度と、同等になると述べている。

ロードマップについては特に目新しい話題はなかったが、2007年以降クアッドコア化を大幅に進展させることが表明された。まずデスクトップパソコン向けは、ハイエンド(エクストリームセグメント)向けの『Core 2 Extreme QX6700』が11月に登場するほか、2007年にCore 2 Quadがパフォーマンスが高めのパソコン向けに投入される。その後は45nm製造プロセスで製造されるクアッドコアCPU“Penryn”“Nehalem”が投入される。これらはシングルダイでクアッドコアを実現する方向性で検討されているが、技術やコスト面次第で、Kentsfieldと同様のマルチダイを選択する場合もあるとした。

デスクトップ向けCPUのロードマップ。水色の部分がクアッドコアCPUで、エクストリーム/メインストリームそれぞれの最上位から導入される サーバー向けCPUのロードマップ。少ないCPU数で高パフォーマンスを実現したいDP/UPサーバーから導入が進む
デスクトップ向けCPUのロードマップ。水色の部分がクアッドコアCPUで、エクストリーム/メインストリームそれぞれの最上位から導入されるサーバー向けCPUのロードマップ。少ないCPU数で高パフォーマンスを実現したいDP/UPサーバーから導入が進む

サーバー市場向けについては、前述のようにDPサーバー向けのXeon 5300番台が11月に投入される。またシングルプロセッサー搭載サーバー(UPサーバー)向けの“クアッドコア Xeonプロセッサー 3200番台”が、2007年早々から投入される。平野氏はCPUパッケージの搭載数に制約のあるUPサーバー市場向けは、「1番クアッドコア化が早く進む」との見方を示した。4CPU以上のマルチプロセッサー搭載サーバー(MPサーバー)向けについては、DP/UPサーバーよりはやや遅く、2007年中頃に投入予定のコード名“Tigerton”がクアッドコアCPU第一弾となる。その後はコード名“Dunnington”と呼ばれるCPUに移行するもようだ。

クアッドコア時代のプラットフォームについても言及された。特にMPサーバー向けプラットフォームは、現行の“Truland”に対してTigertonに合わせて2007年第3四半期に登場する“Caneland”では、CPU(パッケージ)とチップセットをポイントツーポイントで接続し、システムバス帯域を34GB/秒へと高速化する(現在は12.8GB/秒)。またメモリーシステムにFB-DIMMを採用し、最大容量256GB、メモリーバス帯域も32GB/秒を実現するとしている。

4プロセッサーシステムのプラットフォームの違い。現行プラットフォームからシステムバス、メモリーシステムが一新され、パフォーマンスが大きく向上すると期待されている
4プロセッサーシステムのプラットフォームの違い。現行プラットフォームからシステムバス、メモリーシステムが一新され、パフォーマンスが大きく向上すると期待されている

これらのクアッドコアCPUの投入よって、サーバーシステムは最大約50%、デスクトップでは最大約70%のパフォーマンス向上が実現するとして、クアッドコアCPUの投入拡大を続けていくとされた。

DPサーバーシステムのCPUを、現行のデュアルコアXeonからクアッドコアXeonに移行した場合、パフォーマンスは最大50%向上するという デスクトップの場合、現行のCore 2 Extreme X6800とクアッドコアのCore 2 Extreme QX6700とでは、最大70%の性能向上が見込まれる
DPサーバーシステムのCPUを、現行のデュアルコアXeonからクアッドコアXeonに移行した場合、パフォーマンスは最大50%向上するというデスクトップの場合、現行のCore 2 Extreme X6800とクアッドコアのCore 2 Extreme QX6700とでは、最大70%の性能向上が見込まれる

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