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手書きの絵が動く“うごうごブログ”をNTTがトライアル実施

2006年09月27日 21時45分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本電信電話(株)(NTT)は27日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内コーポレートニューズルームにプレス関係者を集め、UGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)ビジネスを志向するという新ブログサービス“うごうごブログ”のトライアルを10月2日から2007年3月31日まで実施すると発表した。URLは“http://ugougoblog.com”。閲覧とコメントは登録不要で、投稿するにはユーザー登録が必要。利用料は無料。

柿崎隆夫氏
NTTの理事で第三部門R&Dチーフプロデューサの柿崎隆夫氏

これは同社が3年前から開発しているビジュアルプログラミング技術“Viscuit(ビスケット)”をブログに融合し、ウェブサービスとして提供するもの。プログラミング言語を学ぶことなく、ユーザーが描いたオブジェクトに動き(位置やサイズの変化)をつけるだけで自動的にアニメーションプログラムを生成する技術で、うごうごブログでは最終的にFlashファイルとして出力する。

Viscuitの概念 “うごうごブログ”の画面
Viscuitの概念。現在は無償体験版プログラムを配布しているという“うごうごブログ”の画面。新着アニメと参照数の多いアニメがトップ画面に表示される

オブジェクトを描くツールは、大中小のペンツールと24色のカラーパレット、および消しゴム。これで最大4つのオブジェクトを描いて登録できる。作成したオブジェクトには動きを付けることができ、マウスでキャンバスにドラッグ&ドロップすると最初の位置が決まり、続いて位置変更(回転や平行移動)、拡大縮小などをマウスで行なうと、変化量を自動計算して連続した動きを自動生成する。さらに最大3つの条件分岐を設定でき、元の位置に戻るような動き、別のオブジェクトに変化する動きなど、より複雑なアニメーション表現が可能になる。

“うごうごブログ”に用意された各種機能
“うごうごブログ”に用意された各種機能。タイトルやコメント、作者名からアニメを検索する機能も用意されている

このほか背景も手書きで作成でき、背景の上に動きを設定したオブジェクトをドラッグ&ドロップすることで、秋の空に飛び交うトンボの群れや落ち葉、といった情緒ある手書きアニメが作成できる。

アニメ作成の手順 手書き時計のアニメーション
アニメ作成の手順。簡単なものでは、棒を1本書いて、傾けながら少しずらすと、差分を取って回転するように動く。これを調節して背景を描くと……手書き時計のアニメーションが簡単にできる。動きの早さも調節可能だ

作成したアニメには、タイトル、コメント、カテゴリー(選択式)を設定して公開でき、ほかのユーザーのアニメにはコメントを書くこともできる。他者のアニメを編集することはできないが、自分のアニメは後から編集し直すことも可能で、コメントに応じてオブジェクトを追加したり色味を変える、といった手書きアニメを通じたコミュニケーションが図れる。

なお、現時点では作成したアニメはうごうごブログ内でしか閲覧できず、他者のアニメはできあがった作品しか見られないが、将来的には参照用HTMLの生成機能を追加して、ほかのサイトにある自分のブログから閲覧可能にしたり、他者のプログラム(アニメーション設定)を参照することで新しい動きを見つけるといった上達方法やコミュニケーションのタネになる機能も付加していきたいという。また、公序良俗に反するアニメーションについては、悪質な場合は即時削除、そうでない場合でもふさわしくないと思われる場合は作者に警告を行なうなど、チェック体制を用意している。

トンボが空を舞うアニメ 銀杏の葉が舞うオブジェクトも追加
こちらはトンボのオブジェクトを作って空を舞うアニメを作ったところ。オブジェクトの動きは1つだが、回転して配置することでさまざまな動きに見せる工夫もできるアニメを公開したところすぐに「トンボだけだと寂しいよ」とのコメントがあったので、銀杏の葉が舞うオブジェクトも追加した。このように絵を通じたコミュニケーションや、一つのお題に見合う絵を作り続ける連作のような楽しみ方もできるという

説明会に出席したNTTの理事で第三部門R&Dチーフプロデューサの柿崎隆夫氏は、「コードを学ぶ必要がなく、小さな子供からシニアまで幅広く参加できる。サラリーマン川柳のお絵かき版のようなもの。文章や写真のコミュニケーションから一歩進んで、アートの自己表現世界を提案する。絵を描くことで自分自身も癒されるだろう」と語った。

ビジネスモデルについては、当面バナー広告やRSS広告(アニメーションの新規登録を自動的に告知するRSS配信機能を標準装備する)が主体だが、描画機能を使った短編CMの制作、新商品や新サービスの告知・プロモーション、タイアップイベントなどもトライアルの期間中に実践していきたいと意欲を見せる。

NTTコミュニケーション科学基礎研究所の外村佳伸氏
デモを行なったNTTコミュニケーション科学基礎研究所の外村佳伸(とのむらよしのぶ)氏

さらに、UGCによるキャラクター製品の物販モデルも検討しており、人気キャラクターについてはグッズの製作や販売、アニバーサリーやグリーティングカードなどのサービスも視野に入れたサービス拡充を目指すとしている。

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