このページの本文へ

巻き戻しや早送りがスムーズな韓国の動画配信システムが日本に上陸

2006年09月22日 19時23分更新

文● 編集部 西村賢

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

オンライン配信の高画質化は進んでいるが、使い勝手の上ではDVDなどオフラインのコンテンツには及ばない――。そうした先入観を覆す韓国発のオンライン動画配信システム“SEEMEDIA”が日本に上陸した。SEEMEDIAは、バッファリングが一瞬で完了し、最大32倍速のスムーズな巻き戻し・早送りが可能なほか、音声ピッチを変えずに再生速度を変更する機能や、映像にブックマークを付ける機能、字幕や静止画を重ねる機能、チケット認証方式による不正アクセス防止機能を備える。

SEEMEDIA
SEEMEDIAのクライアント画面

エアコンのダイキン工業が業務提携

ダイキン工業(株)は22日、韓国のDideoNETと業務提携し、同社が開発した映像配信技術を用いた企業向けの配信システム『インターネット映像配信システムパック』を10月1日から販売すると発表した。同時接続数50までの配信ソフトウェア、エンコーダー、サーバー1台の基本システムで価格は315万円から。同時に、帯域20Mbps、ディスク容量10MBのASPサービスも月額31万5000円から提供する。

インターネット映像配信システムパックで用いられているのは、DideoNETが開発した“SEEMEDIA(シーメディア)”という技術。コーデックにはH.264採用しつつ、独自技術を用いることで動画のバッファー読み込み時間を、大幅に短縮。即時再生を実現し、再生までの時間が短いほか、巻戻しや早送りがスムーズに行なえる。また、チャプターブックマーク、字幕・テロップ、音声多重、マルチ画面ライブ、静止画オーバーレイ、音声つき倍速再生など、DVDなどで採用されている豊富な機能が盛りこまれている。

コンテンツ表示例 黒板の文字
500kbpsのストリームの表示例。全画面表示にしてもドットの荒さが目立たない黒板の文字もクッキリ見える。韓国ではSEEMEDIAを採用した予備校が売り上げを伸ばしているという
ブックマーク レコーディング機能
DVD同様にチャプターが扱えるほか、ユーザー自身が任意の場所でブックマークできる(画面下)。ブックマークをクリックすると再バッファリングをほとんど待つことなく瞬時に画面が切り替わる映像をローカルに保存することもできる
音声のピッチを変えずに再生速度を小刻みに変えられる。巻き戻しや早送りも、従来のストリーミング技術からすれば信じられないぐらい滑らかだ
テキスト送信 静止画重ね合わせ
講義の概要などテキストを送信することができる映像に静止画を重ねてクリッカブルな広告を入れることができる

2001年に韓国で設立されたベンチャーのDideoNETは、韓国のYahoo!をはじめ、eラーニング市場や官公庁、オンラインショッピングサイトなどで150以上の採用例がある業界大手。韓国で人気を博している動画を使ったブログサービスや動画共有サイトでも採用されている。

ダイキン工業は一般には空調設備で知られているが、映像制作・処理技術関連事業を1982年に立ち上げ、CGコンテンツやDVDコンテンツ制作ソフト、2002年からはIPを使った映像配信システムを販売を手がけるなど、技術面でもビジネス面でも蓄積があるといい、特にDVDコンテンツ制作分野では同社のソフトが「市場の約90%を占めるのではないか」(電子システム事業部 事業部長 中嶋清氏)と話す。こうした実績からDideoNETとの提携にいたった。中嶋氏は、「今は次世代DVD向けで新たな戦いが始まっている。いっぽうオンライン配信サービスが立ち上がろうとしている」と話す。アップルで映像配信サービスが始まるなど動きがあるが、むしろ日本はデバイス系コンテンツの規格や機器でリードしているぶん配信サービスでは米国に遅れている、と指摘。「現在、日本では高品質映像はDVDやテレビで見るだろうという感覚が強いが、いずれネット配信でもHD-DVD並みの画質のものが出てくるのは誰も疑えなくなってきた。今回の製品は新たなニーズの展開につながるのではないか。ただ単に製品を売るだけでなく、新たな文化の担い手になりたい」と話した。

インターネット映像配信システムパックは、予備校や企業内のeラーニングシステムや商品紹介といった用途で、企業、店舗、自治体、教育機関などを対象に、コンサルティングを含めて提供していく。販売から1年間で30セット、4億円の売り上げを見込む。

中嶋清(なかじまきよし)氏
ダイキン工業 電子システム事業部 事業部長 中嶋清(なかじまきよし)氏

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン