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SMSC Japan、HDストリーミング×2の送受信が可能なDLNA対応ネットワークプロセッサーを発表

2006年09月19日 21時51分更新

文● 編集部 橋本優

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『LAN9131』
『LAN9131』

スタンダードマイクロシステムズ(株)(SMSC Japan)は19日、10/100BASE-TXのLAN環境でHDストリーミング映像を同時に2チャンネル送受信できるネットワークプロセッサー『LAN9131』を発表した。サンプル出荷は本日開始され、サンプル価格は20ドル(約2350円)。量産時期は2007年2月の予定。LAN9131はスタックやミドルウェア群などを含め、“RipStream”というブランドネームで提供していくという。

RipStreamの要となるLAN9131は、“ARM926”コアを搭載しTCP/IPスタックを高速に処理できるのが特徴。XTQFPパッケージ(256ピン)とPBGAパッケージ(292ピン)を採用し、コアクロックは200MHzで電圧は3.3Vとなる。

プロセッサーやチップセットなどの主要機能を1チップにまとめた“SoC(System On a Chip)”LSIを採用する従来のデジタル家電製品の場合、TCP/IPスタックおよびDLNAスタックの処理についても本体側のコアプロセッサーで行なう。しかし、その処理のために機器のメインとなる機能(たとえばデジタルテレビのデコード処理など)に影響が及ばないよう、ネットワークの処理能力に制限を掛けられることが多く、HD品質のストリーミングを送受信するまでには至らないのが実情だという。



“RipStream”を組み込んだ場合のシステム構成例
“RipStream”を組み込んだ場合のシステム構成例

しかし、RipStreamをSoCと組み合わせて使用することで、ストリーミングに関する処理をネットワークプロセッサー(LNA9131)が肩代わりするため、60Mbpsのスループットを保証できるレベルで実現。30MbpsのHDストリーミング映像を2チャンネル同時に送受信可能で、これによりHD品質の映像を双方向でやりとりすることも可能という。

また、ホームネットワークを推進する業界団体“DLNA(Digital Living Network Alliance)”が策定した“DLNAガイドライン”に対応しており、国内で広く普及しているDLNA対応テレビやHDDレコーダー、(DLNA対応ソフトを導入した)パソコンなどの機器で映像・音声の送受信が行なえる。さらに暗号化/複合化エンジンを搭載しており、DTCP-IPやWindows Media Digital Rights Management 10(WMDRM 10)などの著作権保護技術で保護されたコンテンツにも対応する。

ユビキタスの代表取締役社長の中山佳久氏
(株)ユビキタスの代表取締役社長である中山佳久氏

今回の発表に合わせ、SMSC Japanと(株)ユビキタスはDLNAに関する業務提携を発表。ユビキタスはRipStream向けに最適化したTCP/IPスタックとDLNA対応ミドルウェアを提供する。この特徴はRipStream上でのカーネル、TCP/PIスタック、DLNA対応ミドルウェアを合わせたコードサイズが200KB程度と非常に小さいこと。HD映像伝送時でも使用メモリーは2MB以下で、さらに独自のアルゴリズムによりCPU負荷を低く抑えることができ、50MHz程度のコアプロセッサーでもHD映像の送受信が行なえるという。ユビキタスの代表取締役社長である中山佳久氏は、ネットワーク処理に関してはコアシステムから切り出して処理させることが重要だとし、「(SMSCとユビキタスが)同じ問題意識を持ち、相互に開発を進めてきたハードウェアとソフトウェアが一体となることによって、メーカー各社のDLMAの取り組みが加速され、真のユビキタス時代が到来が進むこと」を願うと語った。

SMSC Japan代表取締役社長の鈴木康夫氏
SMSC Japan代表取締役社長の鈴木康夫氏

SMSC Japanは、ファブレスの半導体企業である米SMSC社の日本法人。同社は元々コンピューター関連デバイスを扱う企業だったが、3年ほど前から方向性を転換し、現在は約60%がネットワーク関連製品になっているという。SMSC Japan代表取締役社長の鈴木康夫氏は今回の製品について、DLNAを「強く意識」して開発したという。

そのほか、発表会にはDLNA参加企業として、(株)デジオン、(株)ACCESS、アイ・オー・データ機器(株)のマーケティング担当者や執行役員などが招かれ、各社のDLNAに関する製品紹介や、その取り組みなどを説明した。

評価基盤
LAN9131(写真中央)を搭載した評価基盤
右端のNASとパソコンからのHD映像を、中央の2台のディスプレーにそれぞれ表示している
ルームリンク経由での映像表示
ユビキタスのミドルウェアを使い、右のRipStream搭載メディアサーバーから、ソニー(株)の“ルームリンク”を介して、左のテレビにHD映像を表示している。メディアサーバーのプロセッサーは50MHzで駆動している
AVeL LinkPlayer
アイ・オー・データ機器のネットワークメディアプレーヤー『AVeL LinkPlayer』もDLNAに対応している

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