このページの本文へ

マイクロソフト、“Live Search”“Live.com”の正式版を提供開始――Webサービスによる新たな広告収入拡大を狙う

2006年09月13日 19時47分更新

文● 編集部 小西利明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
Windows Liveの日本語化されたサービスを提供するサイト“Windows Live Ideas”
Windows Liveの日本語化されたサービスを提供するサイト“Windows Live Ideas”

マイクロソフト(株)は13日、ベータテスト段階にあったウェブサービス“Windows Live”のうち、検索サービス“Live Search”とパーソナライズドホームページサービス“Live.com”(日本名Live.jp)の正式版を提供開始したと発表した。同日、同社赤坂オフィスにて開催された説明会ではWindows Live全体の戦略についての説明が行なわれ、Windows Liveをプラットフォームとして、新しい広告ビジネスモデルを展開する戦略が説明された。

同社は現在“MSN”にて、ポータルサイトや検索サービス、ウェブメール(MSN Hotmail)、インスタントメッセージング(IM)などのサービスやアプリケーションを提供している。これらに“Web 2.0”と総称される新しいインターネット技術を組み合わせて、新しいウェブサービスを提供するのがWindows Liveである。現在のMSNが提供している検索サービスやメールサービスは、Live Searchや“Windows Liveメール”などに移行していく。

マイクロソフトのLive戦略。Windows VistaとリンクしたWindows Liveだけでなく、Office、ゲーム(Xbox)にも、それぞれに向けたサービスが提供される
マイクロソフトのLive戦略。Windows VistaとリンクしたWindows Liveだけでなく、Office、ゲーム(Xbox)にも、それぞれに向けたサービスが提供される

MSNのサービス概況とWindows Liveのコンセプトについて説明した同社執行役 オンラインサービス事業部 事業部長の塚本良江氏は、MSNが世界47ヵ国/地域で提供され、4億6500万のユーザーが利用しているなど、巨大なサービス基盤に成長していることを説明した。そのうえでこのユーザー基盤を元に、ソフトウェアとウェブサービスを組み合わせた新しいサービスで成長著しいオンライン広告市場に広告媒体として参入し、新たな収益の柱としていくのがWindows Liveのコンセプトであるという。“Live”の名称が付くサービスはWindows Liveだけでなく、すでに実施されている“Xbox Live”や、Office製品向けの“Office Live”などもある。またプラットフォームとなる機器はパソコンだけでなく、Xbox 360や携帯電話機、PDAなどもターゲットとされている。

iモード対応携帯電話機向けに提供されている、Windows Live Messengerのベータ版
iモード対応携帯電話機向けに提供されている、Windows Live Messengerのベータ版

Live.comでは、ユーザーがオリジナルのホームページ(Windows Liveのトップページ)をカスタマイズできる。基本機能としては各種ニュースサイトの更新情報を表示する機能が用意されているが、“Gadget”(ガジェット)と呼ばれるコンポーネントを追加することにより、メールクライアントやビデオ表示など、さまざまな機能を追加することが可能となっている。追加のガジェットは“Windows Live Gallery”で公開されている。またガジェットの制作方法は公開されており、サードパーティーが開発して提供することも可能となる。同社ではユーザーがカスタマイズを行なうことで、Liveのサービスに必要な機能を集約していく点を、“User in Control”と称して、Windows Liveの重要な戦略に位置づけている。

個人用に作成したLive.comのトップページ。表示するニュースを追加したり、表示位置を変更したり、ガジェットの追加などのカスタマイズが行なえる “Windows Live Gallery”で公開されているガジェットの例。MSN Videoのガジェットは、自分のホームページからMSNのニュース映像を検索、表示できる
個人用に作成したLive.comのホームページ。表示するニュースを追加したり、表示位置を変更したり、ガジェットの追加などのカスタマイズが行なえる“Windows Live Gallery”で公開されているガジェットの例。MSN Videoのガジェットは、自分のホームページからMSNのニュース映像を検索、表示できる

検索サービスのLive Searchでは、“マクロ”と称するカスタマイズされた検索機能を特徴としている。マクロでは、たとえば検索対象のサイトのジャンルを指定することができる。マクロを利用して検索することで、単にキーワードを入力して検索するよりも、不要な情報の少ない検索が可能になる。マクロの作成方法も公開されるので、ユーザーが自分の用途に適したマクロを作成し、それを公開することも可能となる。

Live Searchでは画像検索や、ニュースに絞った検索も可能。画像検索の結果表示は、サムネイルサイズをVistaのエクスプローラに似た操作パネルで変更できる
Live Searchでは画像検索や、ニュースに絞った検索も可能。画像検索の結果表示は、サムネイルサイズをVistaのエクスプローラに似た操作パネルで変更できる

Windows Liveではオンライン広告を収益基盤としているが、広告配信の基盤となるプラットフォームは“AdCenter”と呼ばれている。塚本氏は広告主にとってのオンライン広告の課題を、“効率的な配信”にあると定義。そしてWindows Liveの競合他社(米グーグル社や米ヤフー社)に対する利点として、全世界で2億を超えるMSN Hotmailのアカウント情報を活用した、より精度の高いターゲッティングにあると述べている。AdCenterによる広告配信は、当初はLive Searchによる検索時のリスティングが対象となるという。将来的にはWindows Liveで提供されるさまざまなコンテンツ(たとえばMSN Videoのニュース映像に付いたCM映像)にも展開されていくと思われる。

Windows Liveのサービスには本日正式版がスタートしたLive.com、Live Search以外にも、以下のようなさまざまなサービスやアプリケーションが提供されている。これらの正式版についても、Windows Vistaのリリースにタイミングを合わせる形で、順次提供されていくもようだ。

Windows Live Mailのベータ版。Outlook風のインターフェースを採用している。スパムメールの排除も分かりやすい操作で可能
Windows Live Mailのベータ版。Outlook風のインターフェースを採用している。スパムメールの排除も分かりやすい操作で可能
Windows Live Mail
ウェブメールクライアントサービス。複数のメールアカウントを一括して管理する“Windows Live Mail Desktop Beta”も提供されている。
Windows Live Messenger
IMアプリケーション。ビデオチャットやピア・ツー・ピアでのファイル共有機能も持つ。
Windows Live Spaces
ブログサービス。
Windows Live Favorites
Internet Explorerの“お気に入り”をオンライン上で管理。共有も可能。
Windows Live Local
航空写真を利用した地図情報サービス。米国と英国では正式版が開始された。
Windows Live OneCare
オンデマンド型のウイルス・スパイウェア対策サービス。常駐型アプリケーションも有償で提供予定。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン