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アクテル、バッテリーを5倍長持ちさせる携帯機器向けFPGA製品を発表

2006年09月12日 22時58分更新

文● 編集部 橋本優

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米アクテル(Actel)社と日本法人のアクテルジャパン(株)は12日、携帯機器向けFPGA(Field Programmable Gate Array)の新製品となる“IGLOO”(イグルー)の発表会を東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで開催した。IGLOOの提供開始は2007年第1四半期の予定で、価格は1.5ドル(約180円、25万ユニット発注時)となっている。

“IGLOO”
“IGLOO”

FPGAとはユーザーによってプログラムの書き換えが可能なLSIのこと。携帯機器においてはプロセッサーとマスストレージ、キーボード、ディスプレーなどの機器を接続するためのブリッジとして利用されることが多い。

フラッシュメモリーベースのIGLOOは、集積度が3万システムゲートから300万システムゲートの製品で、8×8mmのサイズに196のピンを配置する(チップ・スケール・パッケージ)。消費電力が低いことが特徴で、特にスタティック電力(リーク電力により消費する電力)は5μWを実現。これにより競合製品(PLD)と比較し約1/4の消費電力で済み、バッテリーも5倍長く持たせられるという。また携帯機器向けFPGA製品では唯一、1.2Vの電圧に対応するという。

IGLOOは以下の3つの電力モードを搭載する。

  • 低電力アクティブモード:IGLOOがシステム電力を直接制御する。プロセッサーの動作クロックスピードを落としたり、止めたりすることも可能。消費電力は25μW。
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  • Frash*Freezeモード:プロセッサーのクロックを停止するが、コアレジスターとSDRAMの状態は維持する。消費電力は5μW。
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  • スリープモード:FPGAのコアの部分をパワーオフする。消費電力は25μW以下。

特にFrash*Freezeモードは専用のピンを用意し、1μ秒以下でモードの切り替えが可能としている。同社はこれらの低電力機能をデバイス設計者が簡単に利用できるようにするため、電力解析機能である“SmartPower”を含む統合設計ツール“Libero Integrated Design Environment”を提供する。

Martin Mason氏
米アクテル社のシリコン製品マーケティングディレクターであるMartin Mason(マーティン・メイソン)氏

米アクテルのシリコン製品マーケティングディレクターであるMartin Mason(マーティン・メイソン)氏によると、携帯機器向けのブリッジとしては現在、CPLD(Complex Programmable Logic Device)が利用されるケースが多いという。しかしスマートフォンなど携帯機器のシステムがどんどん複雑化している現状において、機能が少ないCPLDでは対応できないレベルになってきているという。またASIC(Application Specific Integrated Circuit)では、その設計の難しさから失敗した場合のリスクが非常に大きく、柔軟性にも欠けるとしている。IGLOOは豊富な機能に加えて高集積な設計や低消費電力を実現しいるため、これらの代替として使われることを狙っていくという。

ちなみにIGLOOは“エスキモーの住居”の意味で、「クールな感じ」という製品イメージに合わせたという。

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