このページの本文へ

スイスNemeriX、低消費電力と高感度を特徴としたGPSチップセットを国内市場にアピール

2006年08月30日 15時43分更新

文● 編集部 小林久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

スイスのGPSチップセットメーカー・NemeriX(ネメリックス)社は30日、同社のCEOを務めるロン・トーテン(Ron Torten)氏の来日に伴い、都内で記者会見を開催した。会見には日本事務所代表の土井道生(どい みちお)氏も出席した。

ロン・トーテン氏
ロン・トーテン氏(中央)

NemeriXは、高感度/低消費電力を両立したGPSチップセットの開発を標榜し、2002年6月に創立された新進メーカー。GPSベースバンドチップセット『NJ1030』、RFチップの『NJ1006A』などを主力製品としており、2005年には300万デバイスを出荷。約1000万ドル(11億7100万円)の収益を上げている。また、欧州宇宙機関(ESA)が進める欧州版GPS(=Galileoプロジェクト)に対しても積極的にコミットしているという。

NemeriX製品が国内で採用された例はまだないが、2007年以降に携帯電話機の発表を予定しているセットメーカー数社と現在商談中であるという。国内におけるパートナー企業(NemeriX製チップ採用メーカー)に関しては、年内に発表される見通しだ。

土井氏日本事務所代表の土井氏

土井氏によると「GPSチップセットの市場は年平均17%程度の伸びとなっているが、今後携帯電話機にGPS機能が搭載されることで、その市場が飛躍的に伸びる可能性がある」という。総務省は携帯電話会社に対して、緊急連絡時に通話者の位置情報を通知するため、GPS機能を搭載するよう働きかけている。2007年4月からは少なくとも各セットメーカーから1機種はGPS対応の携帯電話機がリリースされること、2009年には全携帯電話機の約半数(50%)がGPS機能を搭載することが、目標に掲げられている。

「緊急電話で携帯電話機の位置情報を伝えることは、国内に限らず、米国連邦通信委員会(FCC)による“E911”、欧州議会による“E112”など、世界的にニーズが高まっている。」(トーテン氏)

なお、国内の携帯電話機は、(株)KDDIの端末がすでに幅広くGPS機能を搭載しているが、これらの端末は米クアルコム社製チップを採用している。そのため、同社ではまずはボーダフォン(株)や(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの端末をメインターゲットとする模様だ。トーテン氏は、NemeriXはこうした携帯電話機へのGPS機能の搭載に加え、子供向けや介護用の位置情報サービス、ハンディーGPSなど、携帯機器向けのGPSチップの販売にも注力していくとした。

製品ラインナップ 消費電力と感度の比較
現在販売されているのはRF『NJ1006A』とベースバンド『NJ1030』が主力。これに最近A-GPS対応の『NJ2020』が加わった。将来的には、これらの機能をワンパッケージにまとめた『NJ1836A』(ローパワータイプ)、『NJ2026』(高感度タイプ)を用意していく予定競合製品と比較した感度と消費電力の比較。-158dBmの感度と25mW以下の低消費電力が特徴
デモンストレーション
A-GPSとは、携帯電話機の基地局情報とインターネット上のサーバーに蓄積されたGPS衛星情報を利用して、ビル間や屋内などでも高精度な測位を行なう技術。会場では室内でGPSを使うデモが行なわれた
GPSチップセット
左上のモジュールがNJ2020を載せたもの。右下の大きなチップがこれにRFのチップを追加したモジュール。左下の小さなモジュールは携帯電話機向けに、これらを1チップ化して小型化したもの。携帯電話機への搭載を考えた『NJ2026』は、5mm角で厚さ1.4mmのBGAタイプを想定しており、非常にコンパクトだ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン