OSに「Windows Mobile 5.0 for Pocket PC」を採用するスマートフォントしては、ウィルコムの「W-ZERO3 [es]」(以下[es])がある。先日、編集部の小林が [es]について記事にしているとおり、編集部およびその周囲でも[es]を購入した人間が多い。それだけ魅力的なデバイスである反面、ポケットに収まらない本体サイズがネック、という声もよく聞かれ、筆者自身も購入するまでには至っていない。いや、正確には非常に気になっているデバイスがあり、それが使えるものかを見極めたいのである。そのデバイスが(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)の「hTc Z」である。
現在のところ法人向けのみの販売で、一般の人が入手できるものではないのだが、開発元である台湾のHigh Tech Computer社は日本法人(HTC Nippon(株))を4月に立ち上げ、コンシューマー市場への投入に意欲を見せている。なので今後店頭で一般の人が購入できる可能性もあるわけで、今[es]を買うよりhTc Zを待ってみるのも選択肢かも、と個人的に思っていた。そして今回、実機をお借りすることができたので、気になる部分を[es]と比較してみた。
左から「P902iS」「hTc Z」「W-ZERO3[es]」。 |
[es]をズボンのポケットに入れてみる。ちょっとはみだすのがなんとなくスタイリッシュじゃないかも。 | hTc Zをズボンのポケットに入れたところ。すっぽり収まる。 |
本体サイズは幅58×奥行き21.95×高さ112.5mm(キーボード収容時)であり、NTTドコモの「P902iS」(折りたたんだ状態で幅49×奥行き21×高さ106mm)と比較して若干大きい程度。というか、ズボンのポケットなどにも十分収まるという点ではほぼ一緒。まさにケータイ感覚で持ち歩けるのがうれしい。
[es](上)とhtc Z(下)のキーボード。 |
htc Zのキーボード部。[es]は5段配列だが、htc Zは数字キーがなく4段配列となる。 |
ちなみにキートップは青く光る。このあたりもまたカッコいい! |
ディスプレーサイズは[es]と同じ2.8インチ(透反射型TFT液晶パネル)だが、解像度はVGAではなく240×320ドットとなる。キーボード部は [es]と比較して、数字キーなどがなく、キーの数が少ない。反面で、キーひとつひとつが大きく[es]よりも打ちやすい感じがした。各キートップ左上に表記された数字や記号を打つ場合は、キーボード左下の「・」キーを押しながらキーを押せばいいので、慣れると違和感なくタイプできる。
(縦位置の状態で)本体左側面にあるジョグダイヤル。ダイヤルは押し込むことでクリックと同じ操作が可能。 | キーボードを露出した横位置の状態だと、ジョグダイヤルはキーボード左下になる。この状態でもジョグダイヤルは有効で、写真のような感じでブラウザーのスクロールなどが行なえる。 |
さりげなく便利だったのは本体側面のジョグダイヤル。ウェブブラウザーのスクロールやスタートメニューのフォーカス移動、 Windows Media Player使用時は音量の調整などが可能で、ダイヤルを押し込むとクリックもできる。ウェブページのリンクを辿る程度の操作なら、ジョグダイヤルだけで十分だ。
「Office Mobile」もプレインストール済み。なお「Opera Browser」はデフォルトでは入っていない。 |
もちろん、アプリケーションとして「Office Mobile」(Word Mobile/Excel Mobile/PowerPoint Mobile)や「PDF Viewer」がインストール済みで、パソコンから送信されたメールの添付ファイルなども確認できる。なお、本機では“iモード”や“iアプリ”は使用できないため、ケータイ向けコンテンツを堪能することはできない。
このほか無線LAN(IEEE 802.11b/g)やBluetoothも内蔵しており、動画コンテンツを観たり、ワイヤレスヘッドセットと組み合わせて音楽を聞いたりといったこともできる。コンシューマー向けマルチメディア端末としても十分ウケそうな気がするのだが……。
hTc Zについては追ってレビューを掲載したいと思うが、iモード/iアプリが使えないことや、FOMA端末ということで通信費が割高になるなど、人によって評価が分かれそうな端末だと思う。個人的にはケータイを使う感覚で(ポケットからさっと取り出して)ウェブや会社のメールが見られるのはかなりの好印象である。値段にもよるが、5万円程度でhTc Zが発売されたら即買いし、今使っているケータイと置き換えてしまうかもしれない。