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「ユーザビリティーは攻めの部門」――サイボウズ、ユーザビリティーテストを公開

2006年06月26日 21時44分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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サイボウズ(株)は26日、東京・飯田橋の同社オフィスにおいて同社のビジネスソフトウェアの開発現場、およびユーザビリティーテストの様子をプレス関係者に公開するプレスツアーを開催した。

開発本部UI/HPグループの香村信二郎氏開発本部UI/HPグループの香村信二郎氏

同社では昨年から2~3件の製品開発において、社外のコンサルティング企業に委託する形でユーザビリティーテストを行なってきたが、今年3月より社内でユーザビリティーテストを行なう体制を整え、実施しているという。現状では今年入社した新入社員など10名を対象に実施し、1人あたり3~4日/1日あたり2時間(ウォーミングアップの時間を含むため、テスト対象のアプリを操作するのは1時間程度)のテストを行なっているという。

ユーザビリティーテストの様子1 ユーザビリティーテストの様子2
ユーザビリティーテストの様子

同社のユーザビリティーテストは「まだテスト段階」(開発本部UI/HPグループの香村信二郎(かむらしんじろう)氏)というように、会議室を時間借りして機材を臨時に設置しながら行なっている。部屋には被験者のほか、モデレーター(進行役)と、ストップウォッチで操作時間を計測しながら被験者の発言や行動をメモしていく記録係、および被験者の表情を記録するビデオカメラが置かれ、ビデオカメラで撮影・記録した映像と音声はHDD/DVDレコーダーに保存して分析しているという。

ユーザビリティーテストの模様は別室でモニタリング
ユーザビリティーテストの模様は別室でモニタリングされるとともに、HDD/DVDレコーダーに記録され、後ほど分析される

去年までの他社でのテストは、ウェブサイト構築に当たってのユーザビリティーテストを主に行なってきたが、同社のウェブアプリケーションとは狙いや項目が異なると判断し、今年から自社でノウハウを蓄積することを目指してテストの内製化に踏み切ったという。

ユーザビリティーテストを通じて、UIのAjax化に踏み切る

同社のテストでは、最初にYahoo!で天気やサッカーの結果を調べるといったウォーミングアップ(被験者がテストに向かうという緊張を解きほぐすための簡単な設問)を行なった上で、ある企業のユーザーになったという設定で題目にある同社アプリの使い方をマニュアルなどを見ずに操作させる。このとき、被験者には自分の考えていることや操作しようとする目的、結果などを発声させるようにしている。黙って操作していると、誤った操作をしたかどうかがモデレーターや記録係に分からない場合があるためだ。

こうしたユーザビリティーテストを通じて、あるアプリケーションのユーザーインターフェースをAjax化するなどの具体的な成果も出ているという。ユーザーが操作したスケジュールのナビゲーション機能について、その更新がわかりにくかったためで、画面全体(変更したスケジュール以外の情報を含む)の更新よりもAjax(JavaScript+XML)による画面の非同期更新のほうがネットワークにもユーザーにも負荷が減ると判断したためだとしている。

執行役員開発本部本部長の山本泰宇氏執行役員開発本部本部長の山本泰宇氏

今回のプレスツアーを説明した、執行役員開発本部本部長の山本泰宇(やまもとひろたか)氏は、「ユーザビリティーテスト(を通じたユーザーインターフェースの改良)は、ユーザーサポートのコストを下げるための守りの姿勢と捉えられる場合があるが、我が社ではそう思っていない。(グループウェアの“サイボウズ”シリーズは)使いやすさで指示されており、その使いやすさを追求することは攻めの姿勢、ユーザビリティーテストを行なうのは攻めの部門だと認識している」と述べ、同テストの重要性を強調した。

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