ついに登場した初のCoreマイクロアーキテクチャー採用のXeon“デュアルコア インテル Xeonプロセッサー 5100番台” |
インテル(株)は26日、“Coreマイクロアーキテクチャー”を採用した初のサーバー&ワークステーション市場向けのCPU“デュアルコア インテル Xeonプロセッサー 5100番台”を発表した。“プロセッサナンバ”5110から5160までの6製品がラインナップされている。システムメーカーへの出荷も開始され、搭載システムやリテール向けボックス製品も近日中に登場するもよう。
Xeon 5100番台の主な仕様
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5160
- 動作周波数 3GHz、FSB周波数 1333MHz、TDP 80W、9万7000円
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5150
- 動作周波数 2.66GHz、FSB周波数 1333MHz、TDP 65W、7万9000円
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5140
- 動作周波数 2.33GHz、FSB周波数 1333MHz、TDP 65W、5万2000円
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5130
- 動作周波数 2GHz、FSB周波数 1333MHz、TDP 65W、3万6000円
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5120
- 動作周波数 1.86GHz、FSB周波数 1066MHz、TDP 65W、2万9000円
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5110
- 動作周波数 1.60GHz、FSB周波数 1066MHz、TDP 65W、2万4000円
発表されたXeon 5100番台のCPUは、従来コード名“Woodcrest(ウッドクレスト)”で呼ばれていた、デュアルプロセッサーシステム向けのCPUである。同社がCoreマイクロアーキテクチャーと呼ぶ新しい64bit CPUアーキテクチャーを採用したCPUとしては、初の製品となる。いずれも2つのCPUコアと4MBの共有型2次キャッシュメモリーを内蔵。システムバス(FSB)動作周波数は1333MHzまたは1066MHzとなっている。
Coreマイクロアーキテクチャーは、ノートパソコン向けCPU“Intel Core Duoプロセッサー”のアーキテクチャーに大きく改良を加えたCPUアーキテクチャーで、今年後半に登場するデスクトップ向けCPU“Conroe(コンロー)”、ノート向けCPU“Merom(メロン)”にも採用される。65nm製造プロセスで製造され、ダイサイズは約240mm2。トランジスター数は未公表。64bit拡張命令“EM64T”やハードウェア仮想化機能“インテル バーチャライゼーション・テクノロジー(VT)”などの機能を持つ。動作周波数自体は従来型のXeonより低下するが、消費電力当たりの性能は80%も向上するとしている。
Coreマイクロアーキテクチャーの新機能 |
東京都内のホテルにて開かれた新製品説明会では、米インテル デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン(Kirk B.Skaugen)氏により、Xeon 5100番台と対応プラットフォーム(コード名Bensley)についての説明を行なった。スカウゲン氏はCoreマイクロアーキテクチャーの利点として、消費電力/パフォーマンスに優れたCPUである点を強調。さらに浮動小数点演算を高速化する“アドバンスド・デジタル・メディア・ブースト”や2次キャッシュの割当量を動的に変化させられる“アドバンスド・スマート・キャッシュ”、負荷に応じた電力制御機能“インテリジェント・パワー機能”などの利点を持つと述べた。
米インテル デジタル・エンタープライズ事業本部 副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏 | Xeon 5100番台とIntel 5000P/Vチップセットで構成される“Bensley”プラットフォームの特徴とパフォーマンス |
新しいXeon 5100番台は、チップセットとして“Intel 5000X/P/Vチップセット”と組み合わせることで、サーバー向けではコード名“Bensley(ベンスレイ)”、ワークステーション向けには“Glidewell(グライドウェル)”と称するプラットフォームを構成する。発表会では特にBensleyプラットフォームに力点を置いた説明が行なわれ、CPU自体の性能向上に加えて、FSBの高速化や新しいメモリーモジュール“FB-DIMM”のサポート、I/O処理の高速化技術“インテル I/Oアクセラレーション・テクノロジー”などにより、プラットフォーム全体で大きなパフォーマンス向上を実現するとしている。シングルコアの2世代前のXeon(Irwindale)と比較した場合、Xeon 5000番台(Dempsey)が性能・消費電力当たり性能は共に2倍程度の向上だったのに対して、Xeon 5100番台では性能が3倍、消費電力当たり性能は3.5倍(※1)に向上しているという。
※1 整数演算性能を測定するベンチマーク“SPECint_rate_2000”による比較旧世代のXeonとXeon 5100の性能、および消費電力当たり性能を比較した図。消費電力当たり性能では2世代前のシングルコアXeonの約3.5倍になるという |
デュアル・マルチプロセッサーのサーバー市場では、競合相手である米Advanced Micro Devices社の“Opteron”シリーズが好調で、シェアを急速に伸ばしている。Xeon 5100番台はOpteron追撃の役目を担っており、今回の発表会でもOpteronベースのシステムとのパフォーマンス比較が何度も登場し、性能面でのリードが強調された。
またXeon 5100番台ベースのシステムを早くから評価していたSAPジャパン(株)と独立行政法人 理化学研究所の担当者がゲストとして講演し、Xeon 5100番台のパフォーマンスが非常に良好であるという見解を述べた。理化学研究所の秦地真弘人(たいじ まこと)氏によると、Xeon 5150と独自開発の分子動力学計算専用LSI“MDGRAPE-3チップ”を組み合わせたクラスターシステムでのテストにおいて、Nocona(3世代前のXeon)/Dempsey世代のXeonと比較して50%程度の性能向上が見られたほか、専用LSIとの組み合わせるとプラットフォームとしての性能の高さが発揮され、Opteron 280-2.4GHzよりも優れた性能を見せたという。
Xeon 5160とOpteron 285-2.6GHzとのベンチマークテストの比較グラフ | 理化学研究所のシステムでの、Xeon 5150と他のCPUとの性能比較グラフ。“MOA”は同研究所の独自LSIと組み合わせてのテストで、Xeon 5150ベースのプラットフォームは優れた性能を発揮したという |
発表会場に隣接した展示スペースでは、国内大手のサーバー&ワークステーションメーカーが、Xeon 5100番台を搭載したシステムを多数参考出展していた。特にTDP(熱設計時消費電力)の低下と、消費電力当たり性能の向上を反映してか、高密度のブレードサーバー製品への採用を行なうメーカーが多いようだ。
(株)日立製作所が出展していた、ブレードサーバー『BladeSymphony BS320』用のサーバーブレード。高密度で小型のブレード上に、2つのXeon 5100番台を搭載する。ブレード製品は各社が出展していたが、これが最もコンパクトで注目されていた | BladeSymphony BS320のシャーシ。1シャーシに10枚のブレードを搭載可能 |
デル(株)が参考出展していたワークステーション『Dell Precision 690』の内部。Xeon 5100番台を2プロセッサー搭載可能なハイエンドワークステーション |