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100人規模の企業ではスパムに1人日の無駄!!――シマンテックが調査結果を発表

2006年06月20日 17時59分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)シマンテックは20日、東京・溜池山王の赤坂インターシティ内同社オフィスにプレス関係者を集め、同社と第三者機関(詳細は非公表)が4~5月に実施した調査結果として、企業におけるスパム(迷惑メール)の現状を管理者側とエンドユーザー(企業内個人)側の双方の認識として発表した。発表会ではSMB&エンタープライズマーケティング部セグメントマーケティングマネージャの田上利博氏が、調査結果の詳細や立場の違いによる認識のずれなどを報告した。

田上利博氏
SMB&エンタープライズマーケティング部セグメントマーケティングマネージャの田上利博氏

調査は第三者機関への登録会員に対するオプトインメール(希望登録者向け配信)で行ない、ネットワーク管理者からは有効回答数572件、エンドユーザーからは608件が集まったという。最初に回答者の属性として、従業員数と業種がそれぞれ発表された。それによると、どちらも100~500人規模の企業が最も多く、100人未満の企業は全体の約1/3、1000人以上の企業も約1/3というバランスになった。なお、同社が企業向けリサーチの結果を発表するのは今回が初だという。



スパムメールは1社あたり1日1万5400通、1人19通
しかし、管理者とエンドユーザーに認識の差が歴然

企業の管理者が回答した、スパム受信比率 エンドユーザーが回答した、スパム受信比率
企業の管理者が回答した、スパム受信比率エンドユーザーが回答した、スパム受信比率
管理者とエンドユーザーでのスパム受信比率

システム管理者に聞いた会社全体に届くメールの件数とそのうちのスパムメールの比率は、企業規模がまちまちのため一概には判断できないが、平均すると1日7万7126通が届き、そのうちの20%程度がスパムと認識されている。ほとんどスパムを受信していないという回答が22.9%ある半面、10~30%程度との回答は合計で63.1%を占め、50%以上という回答も13.8%と少なくなかった。

エンドユーザーが受信するメールのうち、業務連絡以外のメールの内訳
エンドユーザーが受信するメールのうち、業務連絡以外のメールの内訳

この傾向はエンドユーザーにおいても同様で、1日あたりの受信メール数は平均91通、スパムメールと認識されるメールの受信比率は平均21%となった。これを受信件数に換算すると、企業全体では約1万5400通、エンドユーザーでは19通となる。

企業におけるスパム対策の実態 スパム対策を一括導入しない企業の理由
企業におけるスパム対策の実態スパム対策を一括導入しない企業の理由

しかし、この実態に対する認識は管理者とエンドユーザーで差が見られる。まず、企業においてIT部門/担当者が一括したスパム対策を施しているのは全体の38.8%にとどまり、対処法やツールを提供している企業は12.2%。47.5%の企業はエンドユーザー自身の対処に任せているという。その理由について管理者に聞くと、42%が“スパムの受信件数が少ない”、31.1%は“特別な被害を受けていない”などと答えている(複数回答)。このほか、23.5%は“スパム対策ツールの価格が高い”、16%は“ユーザーからの要望を受けていない”などの理由も挙がっている。

エンドユーザーにおけるスパム対策の実態 エンドユーザーがスパムの対応に費やす時間
エンドユーザーにおけるスパム対策の実態エンドユーザーがスパムの対応に費やす時間

一方、エンドユーザーはスパムに対して、57.7%が“手動で削除している”、40.6%が“メールソフトの機能で対処”、20.1%が“セキュリティーソフトで対処”と答え、一番悪い対応策(※1)と言われる“配信不要・拒否の返信を行なう”は4.9%にとどまる(複数回答)。

※1 一般的に、スパムメールに対して何らかの返信を行なうと、そのメールアドレスの到達性(メールアドレスが有効であること)が配信者側に認識されてしまい、ほかのスパムを呼び込む可能性が高まる。そのためメールを単に削除する、配信元のアドレス/件名などをフィルタリングする、などの対処法が推奨されている。

スパム受信比率による、スパムメール処理に費やす時間の違い
スパム受信比率による、スパムメール処理に費やす時間の違い

スパムの対処(不要メールの削除、隔離)にかかる1日あたりの時間は平均4.4分。これを100人規模の企業に換算すると約7時間=1人日(にんにち、1日あたり1人分の労働力)がスパムの対処に浪費されている。特にスパムの受信比率が高い(スパム比率が30%以上)に限ってクロス集計すると、その時間は11.2分と3倍近くに増え、さらに多くの労働力が浪費されることになる。

エンドユーザーが感じるスパムの影響 エンドユーザーからIT管理部門へのスパム対策要請の実態
エンドユーザーが感じるスパムの影響エンドユーザーからIT管理部門へのスパム対策要請の実態

さらに、エンドユーザーからIT部門に全社的なスパム対策を要請しているかを聞いたところ、要請しており導入予定(10.7%)/要請しているが導入のめどはない(13.3%)/要請していないが今後要請したい(26.0%)と潜在的な需要が合計50%に上ることが分かった。ちなみに、すでに導入している(スパム対策がなされている)企業は30.9%、対策を要請する必要がないという答えは18.4%となった。

シマンテックではこうした調査結果を受けて、

  • エンドユーザーの約70%がスパムによって何らかの影響(作業効率の低下など)を受けている
  • IT管理者はスパム受信数が少ない(40%)/被害や影響は受けていない(30%)と認識し、スパム対策を導入していない企業が少なくない
  • 対してエンドユーザーは半数以上が手動で削除するなど、スパム対策に時間を割かざるを得ない状況にあり、一括対策の導入を求める声が高まっている

などとまとめた。



300万の囮アカウントで1日3000万通のスパムを収集

最後にシマンテックのウイルス(メール添付型)/スパム解析機関についても簡単に紹介があった。スパム解析機関は台湾/香港/米国サンフランシスコ/英国ダブリンの4拠点にあり、全世界で300万以上のメールアカウントを取得して囮(デコイ)ネットワークによるスパム収集(1日で約3000万通)を行なっているという。その結果を踏まえて1日に平均1万5000件のフィルターを作成して最短で10分おきのフィルター配信を行なっており、最近増加傾向にある日本語のスパムにも対応・対策を行なっていること、などが示された。

シマンテックの全世界でのウイルス/スパム対策機関の配置と役割
シマンテックの全世界でのウイルス/スパム対策機関の配置と役割

この300万の囮アカウントは、各ISP(インターネットサービスプロバイダー)に協力を仰ぎ、非公開のメールアドレスを付与されている。非公開のため、スパムが到着するのはランダムな文字列で生成されたユーザー名とISPのドメイン名の組み合わせが、たまたま囮アカウントと一致した場合のみだが、それでも1日で1アカウントあたり10通程度のスパムが届くことになるというのは驚きだ。

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