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かりゆし姿で“地震が少ない”“海底ケーブル引き上げ場所”の沖縄をアピール

2006年06月07日 00時00分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“第9回 沖縄情報通信産業振興に関する説明会”を開催

東京・赤坂見附の都道府県会館において7日、“第9回 沖縄情報通信産業振興に関する説明会”が開催された。主催は総務省情報通信政策局と沖縄県で、沖縄におけるIT産業の誘致・発展のための施策やこれまでの事例などを紹介し、沖縄でIT産業を起業・移転するメリットを積極的にアピールした。

“うちなんちゅう”をIT企業が雇用するメリット
沖縄の住民=“うちなんちゅう”をIT企業が雇用するメリット

説明会ではまず、主催者を代表して総務省情報通信政策局長の竹田義行氏と、現在海外出張中で出席できない沖縄県知事の稲嶺恵一氏のメッセージを代読した副知事の牧野浩隆氏らが挨拶した。沖縄の正装であるかりゆし姿で登壇した牧野氏は「沖縄県は東京に比べて地震が少なく、(日本と)大陸本土やアジアの接点に位置する地理的な優位性がある。コールセンターなどのIT関連企業がこれまでに103社進出し、9300人の新たな雇用が発生した。沖縄の人材は素直な人が多く、コールセンターではより親身になって対応するので、期待以上の顧客満足度が得られると好評」などと、沖縄の特性をアピールした。

総務省情報通信政策局長の竹田義行氏
総務省情報通信政策局長の竹田義行氏

これは、沖縄県が推進する“第2次 情報通信産業振興計画”が、昨年(平成17年、2005年)から3ヵ年の計画で開始されていることを受けたもので、IT産業を核とした民間主導の自立経済の確立を目指している。

沖縄県知事の稲嶺恵一氏のメッセージを代読した副知事の牧野浩隆氏
沖縄県知事の稲嶺恵一氏のメッセージを代読した副知事の牧野浩隆氏は、涼しげなかりゆし姿で登壇

具体的な支援策としては

  • 税制面の優遇
  • 若手人材雇用の援助
  • ITスキルを持つ人材育成
  • 通信インフラの整備・無償提供

などが行なわれている。

税制面では、一般地域の法人税(40.9%)に対して、沖縄の情報特区/金融特区では設立後5年間は22.9%、6~10年目までは27.4%に低く抑えられている。人材育成は、最近増えているコールセンター向けの基本的なITスキルの習得を中心に年間500名以上を排出する人材開発センターを設立・運営している。さらに県内の若者(30歳未満)を雇用する場合には賃金の1/3を助成するといった施策も行なって、新たな雇用発生を促進している。

税制面での優遇措置
税制面での優遇措置

通信インフラでは、東京および大阪に直結した光回線を敷設しており、これを県内のIT企業に対して無料で提供している。さらに中国など大陸向けの海底ケーブルの引き上げ地点である沖縄の立地を利用して、“GIX(グローバルエクスチェンジ、障害などが起きた場合の迂回回線の国際版)”を設立する構想も提唱している。

コールセンター データセンター ソフトウェア開発拠点
コールセンターデータセンターソフトウェア開発拠点
現在の沖縄で成功しているIT関連ビジネスモデルの例

「沖縄の開発現場を見に来てほしい」を言えば、いやな顔などされない!

このほか、沖縄県における情報通信関連ビジネスの展開事例として、

  • ソフトウェア開発会社の(株)フロンティアオキナワ21による“オフショア開発(首都圏より人件費などの安い地方で開発を行なう)”
  • 地震などの災害が少なくディザスタリカバリーに強みを発揮するというファーストライディングテクノロジー(株)のデータセンター
  • コールセンター業務を展開する日本アイビーエム・ビジネスサービス(株)
  • 携帯電話向けデータセンターとコンテンツ制作・配信を行なう(株)インデックス沖縄

の4社からそれぞれ代表者が出席し、沖縄に移転した経緯やメリットなどを説明した。特に、「沖縄での開発の現場を一度見に来てほしい」と持ちかけるといやな顔をする人(クライアント)はいない、という観光地としての強みをいかにも楽しげに説明する表情が印象的だった。

フロンティアオキナワ21の開発状況 こうした開発体制で特にメリットとなるのが、大阪/東京受けの高速回線の無償提供
フロンティアオキナワ21の開発状況。クライアントとの打ち合わせ、要件定義までは東京で行ない、実際の開発作業は沖縄で行なっているこうした開発体制で特にメリットとなるのが、大阪/東京受けの高速回線の無償提供だという
ディザスタリカバリー 沖縄で陸揚げされている海底ケーブルを活用したGIX構想
データセンター事業のサービスメニューには、ディザスタリカバリー(災害時復旧)も用意されており、東京のサーバーが落ちても沖縄でバックアップして、サービスの継続が可能という沖縄で陸揚げされている海底ケーブルを活用したGIX構想も検討しているという

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