ノキア・ジャパン(株)は7日、企業向け携帯電話機の“Eseries(イーシリーズ)”2機種を2006年秋以降に発売すると発表した。ラインアップはストレートタイプの『Nokia E60』と、QWERTY式キーボードを備えた『Nokia E61』。価格はオープンで、ワールドワイドにおける価格の目安は350~450ユーロ(5万円~6万5000円)。
左が『Nokia E61』、中央が『Nokia E60』。右は同じ“Eseries”で参考出品されていた『Nokia E70』 |
ノキア・ジャパンが販売するEseriesは、(株)NTTドコモとボーダフォン(株)のSIMカードを利用できる“SIMロックフリー”仕様となっている。このほか、ボーダフォンの販路を通しても秋以降に販売される予定だ。
音声通話以外にさまざまな機能を備えた“スマートフォン”と呼ばれる携帯電話機で、OSにはSymbian OS 9.1を搭載。海外では2005年10月に発表されている。
WCDMA網での通話に加え、内蔵の無線LANを利用してIP電話(VoIP)やSIPベースの通話サービスを実現できる。『Microsoft Exchange Server』などの企業の電子メールサーバーに接続し、携帯電話で一般の電子メールの送受信が可能だ。
Word/Excel/PowerPoint書類を閲覧できるビューワーソフトが付属する。ノキアによれば、Nokia E60/E61ともにカメラ非搭載のため、機密性を重視する企業に向いているという。主な仕様は以下のとおり。
Nokia E60 | Nokia E61 | |
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通信方式 | W-CDMA/GPRS/EDGE | |
無線通信 | IEEE 802.11g/e/i、Bluetooth、IrDA | |
液晶ディスプレー | 2.2インチ(352×416ピクセル) | 2.8インチ(320×240ピクセル) |
内蔵メモリー | 64MB | 75MB |
メモリーカード | RS-MMC | miniSDカード |
連続通話時間(WCDMA時) | 最大2.5~2.7時間 | 最大2.2~5時間 |
本体サイズ | 幅49×奥行き16.9×高さ115mm | 幅69.7×奥行き14×高さ117mm |
重量 | 117g | 144g |
Nokia E60のメニュー画面 | Nokia E61はQWERTY式のキーボードを採用 |
スコット・クーパー氏 |
製品の発表に合わせて開かれた記者発表会では、フインランドのノキア社からエンタープライズ・ソリューションズ モビリティー・ソリューションズ副社長、スコット・クーパー(Scott Cooper)氏が来日し挨拶を行なった。
クーパー氏は「モバイルフォンのうち、スマートフォンが占める割合は2006年では10%程度だが、2009年には20~30%に増えると予測されている」と切り出し、「アジアパシフィック市場におけるモバイルデータサービスは、2006年は25億円規模だが、2008年には倍の53億円に成長すると予想される」と、スマートフォンが今後伸びる分野であることを強調した。
またクーパー氏は、Eseriesを含む企業向け製品では電子メール機能やセキュリティー機能について特に力を入れて開発していると話し、Eseriesが米IBM社や米オラクル社のソフト、米アバイア社や米シスコシステムズ社などのBPXと連携できることについて触れた。
森本昌夫氏 |
続けてノキア・ジャパンのエンタープライズ・ソリューションズ事業部 カントリージェネラルマネージャー、森本昌夫氏が登壇し、「2006年にノキア・ジャパンとしてフォーカスしたい分野は、VoIPとモバイル環境における電子メールやPIM」と語った。
森本氏は「日本の携帯電話の利用者は8800万人で、そのうち企業の電子メールを携帯電話機で受けているのは40万人。さらに会社のアドレスを使っているユーザーとなると20万人ほど」と国内の現状を解説したうえで、「世界市場は640万人で、国別では米国が75%とリードしている。これに比べてまだまだ日本は普及していないが、そこにチャンスがある」と分析した。
加えて「企業に導入された240万回線以上とも言われるPHSのリプレース市場が大きいととらえている。2006年はノキアをはじめ、複数のでベンダーによる“デュアルモードフォン”(携帯電話網による通話とIP電話の両方に対応した端末)への参入が予想され、爆発的に普及するだろう」と予測した。
森本氏が解説したNokia E61の特徴 |