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【ビジネスシヨウ 2006 Vol.4】明日の“ビジネスの主役”の萌芽を感じた! IPAX 2006展示会場レポート

2006年05月17日 00時00分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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IPAX 2006の“未踏ソフトウェア創造事業の認定者”たち
IPAX 2006の“未踏ソフトウェア創造事業の認定者”たち

今年もビジネスシヨウに併設する形で、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が主催する“未踏ソフトウェア開発者(スーパークリエータ)”を奨励・発掘するためのイベント“IPAX 2006”が開催されている。初日(17日)の午後1時半から、会場内プレゼンテーションコーナーにおいて、2005年度上期の“未踏ソフトウェア創造事業の認定者(12名)”と“2005年度未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)の認定者(6名)”が発表・表彰された(受賞者の一覧はIPAX 2006公式サイトを参照)。



授賞式典の様子
授賞式典の様子

会場には、受賞者(スーパークリエータ)や未踏ソフトウェア開発者、および歴代のスーパークリエータたちの作品が数多く展示されたほか、創造だけに終わらない“ビジネス化”のための手法などをレクチャーする講演も行なわれた。

星月優佑氏&奥野修二氏の“アニメーション向け超低損失動画圧縮.avi” 星月優佑氏と奥野修二氏
アニメキャラを使って従来のMPEG-2との比較デモを行なっていた、星月優佑氏&奥野修二氏の“アニメーション向け超低損失動画圧縮.avi”星月優佑氏(右)と奥野修二氏

IPAX 2006の展示会場で最初に目を引いたのは、“目がぱっちり”のアニメーションキャラクターの画像圧縮にひとかたならぬこだわりをもって独自の画像圧縮技術“アニメーション向け超低損失動画圧縮.avi”を開発した星月優佑(ほしずきゆうすけ)氏と奥野修二氏のブース。アニメーションの画像は、べた塗りや細かいパターン模様など本来はコントラストの高い映像が多く、隣接する色情報をまとめて圧縮しようとするJPEG/MPEGの圧縮方式では本来あるはずのないノイズが出てしまう。星月氏らはこの点に着目して、べた塗り部分はノイズのない正しい色に、細かいパターンもコントラストの高いオリジナルになるべく忠実な映像でありながら、一般的なDVDなどの同等のビットレート(会場ではVBRで8Mbps)/ファイルサイズに収めるオリジナルエンコーダーを開発、デモンストレーションしていた。ただし、現在はエンコードにかかる時間がMPEGなどよりかなりかかるとのこと。両氏は、より使い勝手の向上、画質向上などを目指して研究・開発を続けるという。

“マイコン製作のための手軽なプログラミング環境”を手にしたリカージョンの田村 修氏
“マイコン製作のための手軽なプログラミング環境”を手にしたリカージョンの田村 修氏

(有)リカージョンの取締役の田村 修氏のブースでは、組み込み機器向けの開発環境(コンパイラー)を機器そのものに集約して、プログラマーは開発・作成したプログラムをそのまま機器に転送するだけで実行・テストできるという“マイコン製作のための手軽なプログラミング環境”を展示していた。従来は、開発したプログラムをコンパイルしてエミュレーション環境などでテストするとともに、書き込み装置を使って組み込みチップに記録、最終的に組み込み機器に実装して動作テストを行なうという手順を踏んでいたが、田村氏の本環境(コンパイラ搭載マイコンボード)を使えば、開発者はプログラム開発(デバッグ)に専念できる。ボードにはマイクロチップ・テクノロジー・ジャパン(株)の16bitプログラマブルIC『PIC 16F88』(ROM 4KB、RAM 368バイト、動作クロック20MHz)と出力用のLED(8×8の合計64ドット)を搭載し、開発当初はシリアルポートを使ってパソコンからプログラム(ソースコード)を転送していたが、現在のパソコンにシリアル端子が搭載されなくなってきている事情を勘案して、USB端子に変更・改良した。田村氏は、小ロット生産やプロトタイプの製作が効率的に行なえるほか、プログラミングの知識さえあれば小学生にも扱えるため、なるべく若い人にも組み込み機器に興味を持ってもらいたい、と抱負を語った。



電気通信大学システム工学科助手の西野順二氏 “OZED(バーチャルサッカーロボットキット)”
“OZED(バーチャルサッカーロボットキット)”で“天才プログラマー/スーパークリエータ”に認められた電気通信大学システム工学科助手の西野順二氏“OZED(バーチャルサッカーロボットキット)”

2005年度上期の未踏ソフトウェア創造事業で“天才プログラマー/スーパークリエータ”に認められた、電気通信大学システム工学科助手の西野順二氏は、受賞作品の“OZED(バーチャルサッカーロボットキット)”を展示していた。これは、ロボット同士のサッカー大会“RoboCup(ロボカップ)”の戦略を考えるシミュレーション用に開発したというプログラムで、ロボットに見立てたプレイヤーにボールに対する“指示”と、その指示を実行する“範囲”をマウスで指定する“このへんファジィ制御”機能を開発・実装もの。RoboCupの公式サーバーに準拠したrubyライブラリーを利用し、ルールも準拠している。その上で、インターフェースを極力簡単なものにして、アルゴリズムの選択と場所の指定による戦略的な駆け引きが楽しめる。西野氏は表彰の際に、「このソフトは大学のチームで作ったので、私はいわば(日本代表監督の)ジーコになったようなものですね」と述べて、来場者の笑いを誘った。

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