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KDDI、携帯電話機向けコンテンツ保護技術を発表

2006年05月17日 19時03分更新

文● 編集部 橋本優

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KDDI(株)、(株)KDDI研究所、NHK放送技術研究所は17日、動画や音楽といった携帯電話機向けコンテンツの保護技術を開発したと発表した。実用化の時期は未定という。

技術説明を行なう(株)KDDI研究所 取締役 副所長の松本修一氏

同技術はKDDI研究所が3月に発表した暗号化アルゴリズム“K2”をベースに、配信サーバー側で暗号化したストリーミング映像などのコンテンツを、受信する携帯電話機側で複号化する、というもの。データを一定の長さ(64bitや128bitなど)に区切って暗号化する“ブロック暗号”ではなく、1bitまたは数bitごとに暗号化を行なう“ストリーム暗号”方式を採用する。K2は携帯電話機のような処理能力の低い端末でも高速に暗号化/複号化が行なえるのが特徴で、W-CDMA標準のブロック暗号アルゴリズム“KASUMI”(三菱電機(株)開発)と比較して約40倍、第三世代携帯電話用ファイルフォーマットである“3GPP2”に採用されている暗号化アルゴリズムである“AES”と比較しても約4倍高速に処理が行なえるという。また同じストリーム暗号方式である“MULTI-S10”((株)日立製作所が開発)と比べても約5倍高速だとしている。

発表会場でのデモの様子。送信されている映像コンテンツに暗号化が施されており、現在市販されている携帯電話機(左)は画面が真っ黒で映像を取得できない。またライセンス(暗号鍵)を取得していない試験機(中央)では「ライセンスを取得してください」という旨のメッセージが表示され、ライセンス取得済みの試験機(右)では映像が表示されている

映像、音声、番組情報などのデータに対し、個別に暗号化をかけることができ、暗号化されたデータは複号用の暗号鍵をダウンロードすることで再生が可能になる。これにより、コンテンツに対して細かく著作権保護機能をかけられるほか、ユーザーがどのようなコンテンツを見たかが暗号鍵のダウンロード履歴で判別でき、ユーザーの視聴統計などのデータに利用できるという。

ライセンスの取得は、コンテンツ提供元のサイトなどから暗号鍵データをダウンロードすることで可能ライセンスを取得すると映像が表示される

暗号化されたコンテンツの複号/再生を行なうには、複号化機能を実装した携帯電話機が必要となる。ただこの複号化機能はアップデートが可能で、暗号化アルゴリズムを強化(バージョンアップ)した場合でも対応できる。また携帯電話機でのコンテンツの暗号化も可能で、撮影した動画データなどを暗号化し、ほかのユーザーの携帯電話機に送信する、といったことも可能だという。

なお、東京・世田谷のNHK放送技術研究所では、25日から28日まで“公開展示2006”という技術公開イベントを開催するが、その中で今回の技術に関する展示も行なわれる予定。

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