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東芝、経営方針説明会を開催――SED普及は2008年北京五輪がターゲット! 2010年の売上高9兆円、利益率6%を目指す

2006年05月11日 21時00分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)東芝は11日、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京にプレス関係者やアナリストを集め、2005年度のグループ全体での実績と2008年度までの中期経営計画の進捗状況について、取締役 代表執行役社長の西田厚聰(にしだあつとし)氏が説明した。

西田厚聰氏
取締役 代表執行役社長の西田厚聰氏

最初に発表された2005年度実績は以下の通り。参考値として、昨年8月に公表された2007年度の目標値も示して、この数字にかなり近い好調な業績をアピールし、2006年度計画は2007年度の目標値を前倒しした計画を組むと説明した。

2005年度実績(2007年度目標値)

売上高
6兆3435億円(6兆6000億円)
営業利益率
3.8%(4.0%)
D/Eレシオ(負債資本比率)
92%(100%)
ROE(資本利益率)
8.6%(10%)
2010年度の経営ビジョン
西田氏の掲げた中期経営計画(~2008年度)後の2010年度の経営ビジョン

その後に説明された経営方針は、2005年8月に同氏が発表した内容から変更はなく、

  • “利益ある持続的成長”の実現
  • イノベーションの乗数効果の発揮
  • CSR経営の遂行

の3つを基本方針として掲げた。具体的には、成長に軸足を置いた経営を進めて堅実な収入を確保すること、開発/営業/生産の各プロセスを改革する“i cube innovation(アイキューブイノベーション)”に基づく42件の取り組みを順次行なっていくこと、コンプライアンス(法令遵守)強化に基づく施策に取り組むこと、などを説明し、「2010年度に全事業領域で高成長・高収益を実現」するとして、売上高9兆円、営業利益5400億円(利益率6%)の数値目標を掲げた。

中期経営計画の進捗状況 セグメント別の事業目標
中期経営計画の進捗状況セグメント別の事業目標

その後で具体的にセグメント別事業目標が紹介されたが、特にASCII24読者に関心のある分野では、まず“電子デバイス”事業について。高成長・高収益が見込まれるNAND型フラッシュメモリー(東芝が独自に開発した高速・大容量の不揮発メモリー)に集中的に投資して、微細化技術(70nmプロセスルール)と多値化(同一実装面積での記憶容量の増加)を図って高付加価値製品の開発を進めるとともに、300mmウエハーに対応した製造棟の増設を進めると語った。これはフラッシュメモリーの需要拡大に対応するための施策で、2010年には16GB~40GBとHDDの代替にもなるような大容量フラッシュメモリーが登場し、パソコンなど現在HDDが主流の機器への搭載が進むという市場拡大の予想(2008年時点で2兆6000億円規模)を打ち立てた(数値は調査会社のデータを元にした東芝独自予測)。

NAND型フラッシュメモリーの価格下落&大容量化
NAND型フラッシュメモリーの価格下落&大容量化と、それに伴う用途の多様化

今年3月に量産時期の延期が発表され、「皆さん誤解されているようで、新聞の中には撤退をするのではないかという憶測もある」(西田氏)と苦笑した“SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)”については、改めて「そんなこと(撤退)はございません。50年に一度の大変な映像技術、ディスプレー技術です。これに掛けている」と力説。2008年の北京五輪を販売ターゲットとしてさらなるコスト競争力の増強を進めるために、現在平塚工場で量産準備を進めているという。2007年第4四半期に55インチの最初の製品を市場投入し、その後は姫路の生産拠点で2008年から本格量産を開始すると強い意気込みで語った。

SEDの製品展開スケジュール 映像事業の主要商品計画
SEDの製品展開スケジュール映像事業の主要商品計画

“Qosmio(コスミオ)シリーズ”を始めとしたパソコンについても、年平均5%の成長を見込んでいるという。これは価格下落のリスクも織り込んだ計画で、生産性向上による競争力の強化や高画質&高音質、ユーザビリティー、セキュリティー、省電力など東芝の独自性をアピールしながら高付加価値製品を中心に展開していくと説明した。さらに、映像事業全般についても、「HD DVD、SEDによって“映像の東芝”をさらに印象づけていく」と締めくくった。

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